最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

繰り返された公務員の痴漢行為で6カ月の停職は重くない

2018-12-19 19:48:51 | 日記
 平成29(行ヒ)320  停職処分取消請求事件
平成30年11月6日  最高裁判所第三小法廷  判決  破棄自判  大阪高等裁判所


地方公共団体の男性職員が勤務時間中に訪れた店舗の女性従業員にわいせつな行為等をしたことを理由とする停職6月の懲戒処分について,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法があるとした原審の判断に違法があるとされた事例

時事通信の報道です。
判決によると、男性職員は2014年9月、勤務中に立ち寄ったコンビニで女性従業員の手を下半身に接触させるなどのセクハラ行為をし、同11月、停職6カ月の処分を受けた。
 岡部裁判長は「厳しく非難されるべき行為で、公務一般に対する住民の信頼を大きく損なった」と判断。処分が重過ぎるとは言えないとし、裁量権の乱用とは認めなかった。


事実認定です。
1ア 地方公務員法29条1項、30条で、公務員の飛行に関して懲戒処分をすることが認められている。
イ 加古川市職員の懲戒の手続及び効果に関する条例4条1項は,停職の期間は1日以上6月以下 とすると定めている。
2 ア 懲戒処分に付すべき標準的な事例における処分の標準例を定めたところ,公務外非行関係の事由で ある「痴漢・わいせつ行為」による処分の標準例は,免職又は停職とされている。 そして,本件指針においては,具体的な処分の量定を決定するに当たり,①非違行 為の動機,態様及び結果,②故意又は過失の度合い,③職員の職務上の地位や職務 内容,④上告人,他の職員及び社会に与える影響,⑤他の行政処分,刑事処分の程 度等のほか,過去の非違行為やその後の対応等も含めて総合的に考慮した上で判断 するものとされている。
イ 被告は公務員である。
(3)ア 平成22年頃から,勤務時間中,上告人の市章の付いた作 業着である制服を着用して,兵庫県加古川市に所在するコンビニエンスストアを頻繁に利用するようになった。その利用の際,被上告 人は,本件店舗の女性従業員らを不快にさせる不適切な言動をしており,これを理 由の一つとして退職した女性従業員もいた。
イ 被上告人は,勤務時間中である平成26年9月30日午後2時30分頃,上 記制服を着用して本件店舗を訪れ,顔見知りであった女性従業員に飲物を買い与えようとして,自らの左手を本件従業員の右手首に 絡めるようにしてショーケースの前まで連れて行き,そこで商品を選ばせた上で, 自らの右腕を本件従業員の左腕に絡めて歩き始め,その後間もなく,自らの右手で 本件従業員の左手首をつかんで引き寄せ,その指先を制服の上から自らの股間に軽 く触れさせた。本件従業員は,被上告人の手を振りほどき,本件店舗の奥に逃げ込 んだ。


この人素面でやったのですよね。しかもアをみると常習犯のような感じです。

イ 平成26年11月7日の神戸新聞に,上告人の職員が勤務時間中にコンビニエンスストアでセクシュアル・ハラスメントをした が,上告人においては店側の意向を理由に職員の処分を見送っている旨の記事が掲 載された。これを受けて,上告人は記者会見を開き,今後事情聴取をして当該職員 に対する処分を検討する旨の方針を表明したところ,同月8日の朝日新聞,毎日新 聞,読売新聞及び神戸新聞に,上記記者会見に関する記事が掲載された。

ここで処分の見送りって何ですか?加古川市は。そりゃ被害者は怒るでしょう。となれば、記者会見を開くという逆襲に出ますよね。

ウ 上告人は,平成26年11月8日以降,関係者から被上告人の前記(3)イの 行為に関する事情聴取を行った。


記者会見で慌てふためいた市役所の対応が目に浮かびます。バックレるつもりだったのでしょうか。


(5) 市長は,平成26年11月26日付けで,被上告人に対し,地公法29条 1項1号,3号に基づき,停職6月の懲戒処分(本件処分)をした。処分の理由として,「あなたは,平成26年9月30日に勤務時間中に立 ち寄ったコンビニエンスストアにおいて,そこで働く女性従業員の手を握って店内 を歩行し,当該従業員の手を自らの下半身に接触させようとする行動をとった。」 ,「また,以前より当該コン ビニエンスストアの店内において,そこで働く従業員らを不快に思わせる不適切な 言動を行っていた。」との記 載がある。なお,上告人は,本件処分の直接の対象は行為1であり,行為2は行為 1の悪質性を裏付ける事情である旨を主張している。
ところがこれまでの裁判では、兵庫県公衆に著し く迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(昭和38年兵庫県条例第6 6号。平成28年兵庫県条例第31号による改正前のもの)3条2項に違反する犯 罪行為であるが,本件従業員及び本件店舗のオーナーは被上告人の処罰を望んでお らず,そのためもあって被上告人は行為1について警察の捜査の対象にもされていない。


ここでは兵庫県の迷惑条例で云々ですが、刑法第176条の強制わいせつ罪ががあり、そちらでは捜査の対象にならなかったのでしょうか。この手の犯罪は、セカンドレイプといって、被害者から聞き取りをするとき追体験を強いるので結構心理的負担が大きいそうです。それもあって、被害者自身が自分を守る意味から立件まではいかなかったのでしょう。
立件されなかったとして、痴漢男は処分が重すぎると主張したようです。

最高裁は
(1) 公務員に対する懲戒処分について,懲戒権者は,諸般の事情を考慮して, 懲戒処分をするか否か,また,懲戒処分をする場合にいかなる処分を選択するかを 決定する裁量権を有しており,その判断は,それが社会観念上著しく妥当を欠いて 裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したと認められる場合に,違法となるもの と解される
(2)①本件従業員が被上告人と顔見知りであり,被上告人から手や腕 を絡められるという身体的接触について渋々ながらも同意していたこと,は客との間のトラブルを避けるた めのものであったとみる余地があり,身体的接触についての同意があったとして, これを被上告人に有利に評価することは相当でない。
②本件従 業員及び本件店舗のオーナーが被上告人の処罰を望まず,そのためもあって被上告 人が警察の捜査の対象にもされていないこと,については、本件従業 員及び本件店舗のオーナーが被上告人の処罰を望まないとしても,それは,事情聴 取の負担や本件店舗の営業への悪影響等を懸念したことによるものとも解される。
③被上告人が常習として行為1と同 様の行為をしていたとまでは認められないことについては、被上告人が以前から本件店舗の従業員らを不快に思わせる不適切な言動をして おり
④行為1が社会に与えた影響が大 きいとはいえないことこれを理由の一つとして退職した女性従業員もいたことについては、勤務時間中に制服を着用してされたものである 上,複数の新聞で報道され,上告人において記者会見も行われたことからすると, 上告人の公務一般に対する住民の信頼が大きく損なわれたというべ きであり,社会に与えた影響は決して小さいものということはできない。


原審は悉く排除されました。

結論
市長の上記判断が,懲戒権者に与えられた裁 量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したものということはできない。
この件については

裁判長裁判官 岡部喜代子  妥当
裁判官 山崎敏充  妥当
裁判官 戸倉三郎  妥当
裁判官 林 景一  妥当
裁判官 宮崎裕子  妥当

訴えた内容が、繰り返される痴漢行為に対するものであって、市役所が処分保留にしようとしたことについてではないので仕方ないのですが、これは行政の不作為を罰せられてしかるべきだと思います。
気になるところは、「市章の付いた作 業着である制服を着用して」です。「公務員の職名を名乗って」ネットに書き込む行為と何が違うのでしょうか?先の判断は大法廷でしたよね。補足意見があってもしかるべきではないでしょうか。

ということで評価をやり直すと
裁判長裁判官 岡部喜代子 今ひとつ
裁判官 山崎敏充  今ひとつ
裁判官 戸倉三郎  今ひとつ
裁判官 林 景一  今ひとつ
裁判官 宮崎裕子  今ひとつ