最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

罪の重さより罰金の重い方を選べ

2020-10-10 14:28:08 | 日記
平成30(あ)845  建造物侵入,埼玉県迷惑行為防止条例違反被告事件
令和2年10月1日  最高裁判所第一小法廷  判決  破棄差戻  東京高等裁判所

数罪が科刑上一罪の関係にある場合において,各罪の主刑のうち重い刑種の刑のみを取り出して軽重を比較対照した際の重い罪及び軽い罪のいずれにも選択刑として罰金刑の定めがあり,軽い罪の罰金刑の多額の方が重い罪の罰金刑の多額よりも多いときの罰金刑の多額

新聞報道がないので、事実確認からしていきます。

被告人が,共犯者と共謀の上,盗撮用の小型カメラを設置する目的で,パチンコ店の女子トイレ内に,共犯者において侵入した上,用便中の女性の姿態を同所に設置した小型カメラで撮影し,もって公共の場所において,人を著しく羞恥させ,かつ,人に不安を覚えさせるような卑わいな行為をしたという事案であり,建造物侵入罪埼玉県迷惑行為防止条例2条4項(盗撮)違反の罪(同条例12条2項1号)が成立し,両罪は刑法54条1項後段の牽連犯の関係にある。

エロビデオに販売する気だったのでしょうか。あれはヤラセだと思ってましたが、本気でやる人がいるんですね。

第1審判決は,建造物侵入罪の法定刑は3年以下の懲役又は10万円以下の罰金であり,埼玉県迷惑行為防止条例違反の罪の法定刑は6月以下の懲役又は50万円以下の罰金であるから,最高裁昭和22年(れ)第222号同23年4月8日第一小法廷判決・刑集2巻4号307頁(以下「昭和23年判例」という。)によれば,被告人に対する処断は,各罪の主刑のうち重い刑種の刑のみを取り出して軽重を比較対照した際の重い罪である建造物侵入罪の法定刑によることになり,罰金刑の多額は10万円となるとの判断を示し,これによると罰金刑の選択は相当でないとして被告人に懲役2月,3年間執行猶予の判決を宣告し(検察官の求刑は罰金40万円),原判決も上記判断を是認して被告人の控訴を棄却した。

日本の刑事裁判では、一連の事件の内最も重い刑罰を科すという原則になっています。以前に、幼稚園児を跳ね飛ばして殺した事件は、直前にストーカーもやっていたのですが、なぜかこの論拠でまとめて裁判になったことがあります。流石にあれには納得できませんでしたが。
今回の件は、一連のものとして考えて良さそうです。

所論は,原判決は,罰金刑の多額が10万円となるとした点において,名古屋高等裁判所金沢支部平成25年(う)第65号同26年3月18日判決・高等裁判所刑事裁判速報集平成26年140頁(以下「金沢支部判決」という。)と相反する判断をしているというのである。

引用している金沢支部の判決文が出てきません。どういう事なんでしょうか??

軽い罪の罰金刑の多額の方が重い罪の罰金刑の多額よりも多いときは,罰金刑の多額は軽い罪のそれによるべきものと解するのが相当であるとして,処断刑の罰金刑の多額は30万円となると判示している。

金沢支部の判決はこういう趣旨なんだそうです。

数罪が科刑上一罪の関係にある場合において,各罪の主刑のうち重い刑種の刑のみを取り出して軽重を比較対照した際の重い罪及び軽い罪のいずれにも選択刑として罰金刑の定めがあり,軽い罪の罰金刑の多額の方が重い罪の罰金刑の多額よりも多いときは,刑法54条1項の規定の趣旨等に鑑み,罰金刑の多額は軽い罪のそれによるべきものと解するのが相当である。

選ぶべきは罰金額が多い方であって、つみのおもさではないと。え?罰金刑の場合は軽い方を選べと?
法制度上、罪の重さと罰金が連動していないということそのものが問題ですが・・・まあ、被告人にダメージの大きい方を与えるというのは分かりますが・・・
まあ仕方ないというレベルでしょうか。

裁判長裁判官 深山卓也
裁判官 池上政幸
裁判官 小池 裕
裁判官 木澤克之
裁判官 山口 厚

これは弁護士の勝利というか、よくぞこんなマニアックな判決、少なくとも裁判所のHPにすら掲載されない判決を見つけ出しましたよ。
これは律法の怠慢ですね。というか、罰金刑の場合は刑罰の重い方とかではなく、積み重ねるのでもいいのではないかと思います。