最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

期間雇用でも夏休み冬休みを出せ

2020-11-05 22:04:58 | 日記
平成30(受)1519  未払時間外手当金等請求控訴,同附帯控訴事件
令和2年10月15日  最高裁判所第一小法廷  判決  棄却  福岡高等裁判所
 無期契約労働者に対しては夏期休暇及び冬期休暇を与える一方で有期契約労働者に対してはこれを与えないという労働条件の相違が労働契約法(平成30年法律第71号による改正前のもの)20条にいう不合理と認められるものに当たるとされた事例

NHKの報道です。
各地の郵便局で配達や集荷を行う契約社員らが、正社員と同じ業務をしているのに手当や休暇の待遇に格差があるのは不当だと日本郵便を訴えた裁判では、東京高裁と大阪高裁、それに福岡高裁の3件の判決でいずれも不合理な格差があり違法だと判断されました。
しかし、手当や休暇の種類によって2審の判断が分かれていて、契約社員側と日本郵便の双方が上告していました。
15日の判決で、最高裁判所第1小法廷の山口厚裁判長は、日本郵便の手当や休暇のうち、
▼扶養手当、
▼年末年始の勤務手当、
▼お盆と年末年始の休暇、
▼病気休暇、
それに
▼祝日の賃金について、
契約社員側の訴えを認め、不合理な格差があり違法だという判断を示しました。
このうち扶養手当については「日本郵便では、正社員の継続的な雇用を確保する目的があると考えられる。その目的に照らすと、契約社員も継続的に勤務すると見込まれるのであれば、支給するのが妥当だ」と判断しました。


時事通信の報道です。
夏季・冬季休暇は、3件とも高裁段階で不合理な格差とされたが、損害賠償を認めるかで各高裁の判断が割れ、同小法廷は賠償を認めた。年末年始勤務手当は東京と大阪訴訟で争われ、各高裁で支給が認められたが、大阪高裁は「契約期間が通算5年を超える者」と限定。同小法廷は大阪高裁の判断を破棄した。
 非正規労働者の格差をめぐっては、大阪医科薬科大と東京メトロ子会社に勤務した非正規社員らが起こした訴訟の最高裁判決が13日にあり、第3小法廷はボーナスと退職金不支給について正社員らとの職務内容の違いを重視。いずれも「不合理とまでは言えない」と判断していた。


事実確認を見て行きましょう
(1)被上告人は,平成22年6月7日,郵便事業株式会社との間で有期労働契約を締結し,同社及び上告人との間でその更新を繰り返して,郵便外務事務(配達等の事務)に従事する時給制契約社員であったが,同25年12月14日,上告人を退職した。
(2)正社員に適用される就業規則において,正社員の勤務時間は,1日について原則8時間,4週間について1週平均40時間とされている。正社員の中には,被上告人と同様の業務に従事する者があるが,正社員は,業務上の必要性により配置転換や職種転換を命じられることがあり,多様な業務に従事している。また,正社員のうちの一定程度の割合の者が課長代理,課長等の役職者となるところ,正社員の人事評価においては,評価項目が多岐にわたり,組織全体への貢献を考慮した項目についても評価されるものとされている。
期間雇用社員に適用される就業規則において,期間雇用社員は,スペシャリスト契約社員,エキスパート契約社員,月給制契約社員,時給制契約社員及びアルバイトに区分されており,それぞれ契約期間の長さや賃金の支払方法が異なる。このうち時給制契約社員は,郵便局等での一般的業務に従事し,時給制で給与が支給されるものとして採用された者であって,契約期間は6か月以内で,契約を更新することができ,正規の勤務時間は,1日について8時間以内,4週間について1週平均40時間以内とされている。そして,時給制契約社員は,担当業務に継続して従事し,郵便局を異にする人事異動は行われず,昇任や昇格も予定されていない。また,時給制契約社員の人事評価においては,担当業務についての評価がされるのみである。


期間雇用で雇われました。正規雇用と期間雇用では給与体系が異なり、人事異動、店舗間の移動、昇任、昇格がない雇用規則になっていました。

(3) 正社員に適用される就業規則では,郵便の業務を担当する正社員に夏期冬期休暇が与えられることとされている。夏期休暇は6月1日から9月30日まで,冬期休暇は10月1日から翌年3月31日までの各期間において,それぞれ3日まで与えられる有給休暇である。
これに対し,郵便の業務を担当する時給制契約社員には夏期冬期休暇が与えられない。


この状態は労働契約法20条にいう不合理と認められるものに該当するから、休みを寄越せという訴えです。

これについて最高裁は
両者の賃金の総額を比較することのみによるのではなく,当該賃金項目の趣旨を個別に考慮すべきものと解するのが相当である(最高裁平成29年(受)第442号同30年6月1日第二小法廷判決・民集72巻2号202頁)。

この判決文が公開されていません。引用するくらいの重要な判決なら公開してよと思います。これは裁判官の責任ではないようですが。

郵便の業務を担当する正社員と同業務を担当する時給制契約社員との間に労働契約法20条所定の職務の内容や当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情につき相応の相違があること等を考慮しても,両者の間に夏期冬期休暇に係る労働条件の相違があることは,不合理であると評価することができるものといえる。

こっちの方が分かりやすいです。

(2) また,上告人における夏期冬期休暇は,有給休暇として所定の期間内に所定の日数を取得することができるものであるところ,郵便の業務を担当する時給制契約社員である被上告人は,夏期冬期休暇を与えられなかったことにより,当該所定の日数につき,本来する必要のなかった勤務をせざるを得なかったものといえるから,上記勤務をしたことによる財産的損害を受けたものということができる。

そんな大げさなものなのかな・・・

第一小法廷 裁判官全員一致
裁判長裁判官 山 口 厚
裁判官 池 上政幸
裁判官 小池 裕
裁判官 木澤克之
裁判官 深山卓也

こうなってくると、正規従業員と期間雇用の従業員と一体何が違うんでしょう?正規従業員を休ませたいから、ちょっと条件をよくしてでも期間従業員を雇うんですよね。よほど条件を明示して条件をよくしないと夏休み、春休みを働かせられなくなります。しかも、郵便ですから止まると裁判の送達もできなくなりますよね。赤字垂れ流しの郵便にはきつい判決です。
司法の責任ではなく立法の責任でしょうが、これでは自由に人を雇えなくなりますね。