平成30(行ヒ)417 出席停止処分取消等請求事件
令和2年11月25日 最高裁判所大法廷 判決 棄却 仙台高等裁判所
朝日新聞の報道です
最高裁が60年前の判例変更 宮城県の市議会処分めぐり
地方議会の議員処分について、司法はどこまで関与できるか――。宮城県岩沼市議会の出席停止をめぐる裁判の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長=大谷直人長官)は25日、「出席停止について裁判所は常に適否を判断できる」と述べ、市側の上告を退けた。議員処分のうち最も重い除名以外は「裁判の対象外」とした1960年の判例が変わり、これまでより幅広く司法が判断できるようになる。
今回の出席停止を「裁判対象」と認めて審理を地裁に差し戻すとした二審・仙台高裁の判決が確定した。裁判官15人の全員一致の結論。
時事通信の報道です
議員出席停止「裁判の対象」 60年ぶり判例変更―岩沼市の上告棄却・最高裁
大法廷は、出席停止処分を受けると議決など議員としての中核的な活動ができなくなり、「住民の負託を受けた責務を十分に果たすことができなくなる」と指摘。議会に一定の裁量が認められるとしつつ、「裁判所は常にその適否を判断することができる」と述べ、市側の上告を棄却した。15人の裁判官全員一致の意見。
審理は仙台地裁に差し戻され、改めて処分取り消しの適否などが判断される。
最高裁は1960年、自律的な法規範を持つ団体では、法規範の実現は自治的措置に任せるべき場合があるとし、「地方議会の出席停止は裁判の対象から除く」とする判決を出した。
原告の元市議は2016年6月の議会運営委員会で、陳謝処分となった議員をかばい、「(陳謝文で)読み上げられた中身は真実とは限らない」などと発言したことを理由に、9月定例会の全会期23日間の出席停止処分となった。この間の議員報酬約27万円も減額された。
では訴えの内容から見ていきます。
1 本件は,岩沼市議会の議員であった被上告人が,市議会から科された23日間の出席停止の懲罰が違憲,違法であるとして,上告人を相手に,その取消しを求めるとともに,議会議員の議員報酬,費用弁償及び期末手当に関する条例に基づき,議員報酬のうち本件処分による減額分の支払を求める事案である。
事実確認です。
(1) 被上告人は,本件処分当時,市議会の議員であった。
(2) 市議会の定例会の回数は,岩沼市議会定例会の回数に関する条例(昭和31年岩沼市条例第78号)により,毎年4回とされており,同年9月に招集された定例会の会期は同月6日から同月28日までの23日間とされた。
(3) 本件条例によると,市議会の議員の議員報酬は月額36万3000円とされ(2条),一定期間の出席停止の懲罰を受けた議員の議員報酬は,出席停止の日数分を日割計算により減額するものとされている(6条の2,3条3項)。
(4) 被上告人と同一の会派に属するA議員は,海外渡航のため,平成28年4月25日に行われた市議会の教育民生常任委員会を欠席した。市議会は,同年6月14日,6月定例会において,A議員に対し,上記の欠席について,議決により公開の議場における陳謝の懲罰を科した。これを受け,A議員は,市議会の議場において,陳謝文を読み上げた。
国会議員でもいましたよね、無断欠席して温泉にしけこんでいたり海外に行っていたり。
(5) 被上告人は,平成28年6月21日,市議会の議会運営委員会において,上記(4)のA議員が陳謝文を読み上げた行為に関し,「読み上げたのは,事実です。しかし,読み上げられた中身に書いてあることは,事実とは限りません。それから,仮に読み上げなければ,次の懲罰があります。こういうのを政治的妥協といいます。政治的に妥協したんです。」との発言をした。
政治的判断であっても、陳謝したならそれ以降はすべて受け入れなければならないでしょう。腹が立っていたとはいえ、議会での発言は駄目でしょう。
(6) 市議会は,本件発言を問題として被上告人に対する懲罰動議を閉会中の継続審査とすることとし,懲罰特別委員会における審査を経た上,定例会において,被上告人に対し,本件発言について,議決により23日間の出席停止の懲罰を科する旨の本件処分をした。
(7) 上告人は,被上告人に対し,本件条例に基づき,本件処分により出席停止とされた23日間の分に相当する27万8300円を減額して議員報酬を支給した。
当然ですよね
(2)ア 憲法は,地方公共団体の組織及び運営に関する基本原則として,その施策を住民の意思に基づいて行うべきものとするいわゆる住民自治の原則を採用しており,普通地方公共団体の議会は,憲法にその設置の根拠を有する議事機関として,住民の代表である議員により構成され,所定の重要事項について当該地方公共団体の意思を決定するなどの権能を有する。そして,議会の運営に関する事項については,議事機関としての自主的かつ円滑な運営を確保すべく,その性質上,議会の自律的な権能が尊重されるべきであるところ,議員に対する懲罰は,会議体としての議会内の秩序を保持し,もってその運営を円滑にすることを目的として科され議会が行う上記の各事項等について,議事に参与し,議決に加わるなどして,住民の代表としてその意思を当該普通地方公共団体の意思決定に反映させるべく活動する責務を負うものである。
イ 項等について,議事に参与し,議決に加わるなどして,住民の代表としてその意思を当該普通地方公共団体の意思決定に反映させるべく活動する責務を負うものである。
るものであり,その権能は上記の自律的な権能の一内容を構成する。・・・その適否が専ら議会の自主的,自律的な解決に委ねられるべきであるということはできない。
は?自治権はそういうところも含めて自治じゃないんですか?弁護士会の自治権と何が違うんですか?国家管理せよと?
(3) したがって,普通地方公共団体の議会の議員に対する出席停止の懲罰の適否は,司法審査の対象となるというべきである。
結論
市議会の議員である被上告人に対する出席停止の懲罰である本件処分の適否は司法審査の対象となるから,本件訴えのうち,本件処分の取消しを求める部分は適法であり,議員報酬の支払を求める部分も当然に適法である。そうすると,本件訴えが適法であるとした原審の判断は,結論において是認することができる。論旨は採用することができない。
訳分かりません。
裁判官宇賀克也の補足意見は
2 国会との相違
国会については,国権の最高機関(憲法41条)としての自律性を憲法が尊重していることは明確であり,憲法自身が議員の資格争訟の裁判権を議院に付与し(憲法55条),議員が議院で行った演説,討論又は表決についての院外での免責規定を設けている(憲法51条)。しかし,地方議会については,憲法55条や51条のような規定は設けられておらず,憲法は,自律性の点において,国会と地方議会を同視していないことは明らかである。
国会議員の免責特権と何が関係するのでしょうか?論理に飛躍があります。
3 住民自治
もとより地方議会議員の活動は,議会に出席し,そこで発言し,投票することに限られるわけではないが,それが地方議会議員の本質的責務であると理解されていることは,正当な理由なく議会を欠席することが一般に懲罰事由とされていることからも明らかである。
したがって,地方議会議員を出席停止にすることは,地方議会議員の本質的責務の履行を不可能にするものであり,それは,同時に当該議員に投票した有権者の意思の反映を制約するものとなり,住民自治を阻害することになる。
事実をよく見なさいよ。A議員は議会で謝罪したんですよ。理由はどうあれ。にもかかわらず、それをちゃぶ台返しするようなごね方をしたのです。これを懲罰しなくて議事運営ができますか?しかも議会で決めた事なんです。この裁判官はアホですか?
4 議会の裁量
したがって,地方議会議員に対する出席停止の懲罰の適否を司法審査の対象とした場合,濫用的な懲罰は抑止されることが期待できるが,過度に地方議会の自律性を阻害することにはならないと考える。
司法の傲慢さがぷんぷん匂う判決です。
大法廷
裁判長裁判官 大谷直人
裁判官 池上政幸
裁判官 小池 裕
裁判官 木澤克之
裁判官 菅野博之
裁判官 山口 厚
裁判官 戸倉三郎
裁判官 林 景一
裁判官 宮崎裕子
裁判官 深山卓也
裁判官 三浦 守
裁判官 草野耕一
裁判官 宇賀克也
裁判官 林 道晴
裁判官 岡村和美
全員傲慢。特に裁判官宇賀克也の補足意見は論理の飛躍が酷い。
令和2年11月25日 最高裁判所大法廷 判決 棄却 仙台高等裁判所
朝日新聞の報道です
最高裁が60年前の判例変更 宮城県の市議会処分めぐり
地方議会の議員処分について、司法はどこまで関与できるか――。宮城県岩沼市議会の出席停止をめぐる裁判の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長=大谷直人長官)は25日、「出席停止について裁判所は常に適否を判断できる」と述べ、市側の上告を退けた。議員処分のうち最も重い除名以外は「裁判の対象外」とした1960年の判例が変わり、これまでより幅広く司法が判断できるようになる。
今回の出席停止を「裁判対象」と認めて審理を地裁に差し戻すとした二審・仙台高裁の判決が確定した。裁判官15人の全員一致の結論。
時事通信の報道です
議員出席停止「裁判の対象」 60年ぶり判例変更―岩沼市の上告棄却・最高裁
大法廷は、出席停止処分を受けると議決など議員としての中核的な活動ができなくなり、「住民の負託を受けた責務を十分に果たすことができなくなる」と指摘。議会に一定の裁量が認められるとしつつ、「裁判所は常にその適否を判断することができる」と述べ、市側の上告を棄却した。15人の裁判官全員一致の意見。
審理は仙台地裁に差し戻され、改めて処分取り消しの適否などが判断される。
最高裁は1960年、自律的な法規範を持つ団体では、法規範の実現は自治的措置に任せるべき場合があるとし、「地方議会の出席停止は裁判の対象から除く」とする判決を出した。
原告の元市議は2016年6月の議会運営委員会で、陳謝処分となった議員をかばい、「(陳謝文で)読み上げられた中身は真実とは限らない」などと発言したことを理由に、9月定例会の全会期23日間の出席停止処分となった。この間の議員報酬約27万円も減額された。
では訴えの内容から見ていきます。
1 本件は,岩沼市議会の議員であった被上告人が,市議会から科された23日間の出席停止の懲罰が違憲,違法であるとして,上告人を相手に,その取消しを求めるとともに,議会議員の議員報酬,費用弁償及び期末手当に関する条例に基づき,議員報酬のうち本件処分による減額分の支払を求める事案である。
事実確認です。
(1) 被上告人は,本件処分当時,市議会の議員であった。
(2) 市議会の定例会の回数は,岩沼市議会定例会の回数に関する条例(昭和31年岩沼市条例第78号)により,毎年4回とされており,同年9月に招集された定例会の会期は同月6日から同月28日までの23日間とされた。
(3) 本件条例によると,市議会の議員の議員報酬は月額36万3000円とされ(2条),一定期間の出席停止の懲罰を受けた議員の議員報酬は,出席停止の日数分を日割計算により減額するものとされている(6条の2,3条3項)。
(4) 被上告人と同一の会派に属するA議員は,海外渡航のため,平成28年4月25日に行われた市議会の教育民生常任委員会を欠席した。市議会は,同年6月14日,6月定例会において,A議員に対し,上記の欠席について,議決により公開の議場における陳謝の懲罰を科した。これを受け,A議員は,市議会の議場において,陳謝文を読み上げた。
国会議員でもいましたよね、無断欠席して温泉にしけこんでいたり海外に行っていたり。
(5) 被上告人は,平成28年6月21日,市議会の議会運営委員会において,上記(4)のA議員が陳謝文を読み上げた行為に関し,「読み上げたのは,事実です。しかし,読み上げられた中身に書いてあることは,事実とは限りません。それから,仮に読み上げなければ,次の懲罰があります。こういうのを政治的妥協といいます。政治的に妥協したんです。」との発言をした。
政治的判断であっても、陳謝したならそれ以降はすべて受け入れなければならないでしょう。腹が立っていたとはいえ、議会での発言は駄目でしょう。
(6) 市議会は,本件発言を問題として被上告人に対する懲罰動議を閉会中の継続審査とすることとし,懲罰特別委員会における審査を経た上,定例会において,被上告人に対し,本件発言について,議決により23日間の出席停止の懲罰を科する旨の本件処分をした。
(7) 上告人は,被上告人に対し,本件条例に基づき,本件処分により出席停止とされた23日間の分に相当する27万8300円を減額して議員報酬を支給した。
当然ですよね
(2)ア 憲法は,地方公共団体の組織及び運営に関する基本原則として,その施策を住民の意思に基づいて行うべきものとするいわゆる住民自治の原則を採用しており,普通地方公共団体の議会は,憲法にその設置の根拠を有する議事機関として,住民の代表である議員により構成され,所定の重要事項について当該地方公共団体の意思を決定するなどの権能を有する。そして,議会の運営に関する事項については,議事機関としての自主的かつ円滑な運営を確保すべく,その性質上,議会の自律的な権能が尊重されるべきであるところ,議員に対する懲罰は,会議体としての議会内の秩序を保持し,もってその運営を円滑にすることを目的として科され議会が行う上記の各事項等について,議事に参与し,議決に加わるなどして,住民の代表としてその意思を当該普通地方公共団体の意思決定に反映させるべく活動する責務を負うものである。
イ 項等について,議事に参与し,議決に加わるなどして,住民の代表としてその意思を当該普通地方公共団体の意思決定に反映させるべく活動する責務を負うものである。
るものであり,その権能は上記の自律的な権能の一内容を構成する。・・・その適否が専ら議会の自主的,自律的な解決に委ねられるべきであるということはできない。
は?自治権はそういうところも含めて自治じゃないんですか?弁護士会の自治権と何が違うんですか?国家管理せよと?
(3) したがって,普通地方公共団体の議会の議員に対する出席停止の懲罰の適否は,司法審査の対象となるというべきである。
結論
市議会の議員である被上告人に対する出席停止の懲罰である本件処分の適否は司法審査の対象となるから,本件訴えのうち,本件処分の取消しを求める部分は適法であり,議員報酬の支払を求める部分も当然に適法である。そうすると,本件訴えが適法であるとした原審の判断は,結論において是認することができる。論旨は採用することができない。
訳分かりません。
裁判官宇賀克也の補足意見は
2 国会との相違
国会については,国権の最高機関(憲法41条)としての自律性を憲法が尊重していることは明確であり,憲法自身が議員の資格争訟の裁判権を議院に付与し(憲法55条),議員が議院で行った演説,討論又は表決についての院外での免責規定を設けている(憲法51条)。しかし,地方議会については,憲法55条や51条のような規定は設けられておらず,憲法は,自律性の点において,国会と地方議会を同視していないことは明らかである。
国会議員の免責特権と何が関係するのでしょうか?論理に飛躍があります。
3 住民自治
もとより地方議会議員の活動は,議会に出席し,そこで発言し,投票することに限られるわけではないが,それが地方議会議員の本質的責務であると理解されていることは,正当な理由なく議会を欠席することが一般に懲罰事由とされていることからも明らかである。
したがって,地方議会議員を出席停止にすることは,地方議会議員の本質的責務の履行を不可能にするものであり,それは,同時に当該議員に投票した有権者の意思の反映を制約するものとなり,住民自治を阻害することになる。
事実をよく見なさいよ。A議員は議会で謝罪したんですよ。理由はどうあれ。にもかかわらず、それをちゃぶ台返しするようなごね方をしたのです。これを懲罰しなくて議事運営ができますか?しかも議会で決めた事なんです。この裁判官はアホですか?
4 議会の裁量
したがって,地方議会議員に対する出席停止の懲罰の適否を司法審査の対象とした場合,濫用的な懲罰は抑止されることが期待できるが,過度に地方議会の自律性を阻害することにはならないと考える。
司法の傲慢さがぷんぷん匂う判決です。
大法廷
裁判長裁判官 大谷直人
裁判官 池上政幸
裁判官 小池 裕
裁判官 木澤克之
裁判官 菅野博之
裁判官 山口 厚
裁判官 戸倉三郎
裁判官 林 景一
裁判官 宮崎裕子
裁判官 深山卓也
裁判官 三浦 守
裁判官 草野耕一
裁判官 宇賀克也
裁判官 林 道晴
裁判官 岡村和美
全員傲慢。特に裁判官宇賀克也の補足意見は論理の飛躍が酷い。