最高裁判所裁判官の暴走を許さない

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妥当判決:電気通信事業者は通信内容の守秘義務を守らなければならない

2021-05-01 17:30:08 | 日記
令和2(許)10  検証物提示命令に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
令和3年3月18日  最高裁判所第一小法廷  決定  破棄自判  東京高等裁判所

1 電気通信事業に従事する者及びその職を退いた者は,民訴法197条1項2号の類推適用により,職務上知り得た事実で黙秘すべきものについて証言を拒むことができる
2 電気通信事業者は,その管理する電気通信設備を用いて送信された通信の送信者の特定に資する氏名,住所等の情報で黙秘の義務が免除されていないものが記載され,又は記録された文書又は準文書について,検証の目的として提示する義務を負わない


(2)相手方は(映像販売会社A),動画配信サービス等の提供に係るウェブサイトを管理運営しているところ,同ウェブサイトに設けられていた顧客からの問合せ用のフォームを通
じて,脅迫的表現を含む匿名の電子メールを受信した。本件メールは,抗告人(電気通信事業者)の管理する電気通信設備を用いて送信されたものであった。
(3) Aは,本件メールの送信者に対する損害賠償請求訴訟を提起する予定であり,本件送信者の氏名,住所等が記録され,又は記載された電磁的記録媒体又は文書についてあらかじめ証拠調べをしておかなければその証拠を使用することが困難となる事情があると主張し,訴えの提起前における証拠保全として,本件記録媒体等につき検証の申出をするとともに抗告人に対する検証物提示命令の申立てをした。


恐らく、著作権無視で動画をupした人がいたのでしょう。賠償金請求のために、upした人を特定したい。その証拠を保全したいと言ったところ、プロバイダーは断ったようです。その理由が、お問い合わせフォームに書き込まれたようですが、文章があまりにも脅迫的だったので無視したのではないかと思います。
原審では、脅迫的内容はともかくとして、証拠保全に必要だから教えなさいとしたようです。

(1) 民訴法197条1項2号は,医師,弁護士,宗教等の職(以下,同号に列挙されている職を「法定専門職」という。)にある者又は法定専門職にあった者(以下,併せて「法定専門職従事者等」という。)が職務上知り得た事実で黙秘すべきものについて尋問を受ける場合には,証言を拒むことができると規定する。・・・・電気通信事業法4条1項は,「電気通信事業者の取扱中に係る通信の秘密は,侵してはならない。」と規定し,同条2項は,「電気通信事業に従事する者は,在職中電気通信事業者の取扱中に係る通信に関して知り得た他人の秘密を守らなければならない。その職を退いた後においても,同様とする。」と規定する。これらは,電気通信事業に従事する者が,その職務上,電気通信の利用者の通信に関する秘密を取り扱うものであり,その秘密を保護するために電気通信事業に従事する者及びその職を退いた者に守秘義務を課したものと解される。

電気通信事業法の事業者に守秘義務が課されており、類推適用の形をとっています。

電気通信事業従事者等は,民訴法197条1項2号の類推適用により,職務上知り得た事実で黙秘すべきものについて証言を拒むことができると解するのが相当である。

まあそうなりますね。

電気通信事業法4条1項が通信の秘密を保護する趣旨は,通信が社会生活にとって必要不可欠な意思伝達手段であることから,通信の秘密を保護することによって,表現の自由の保障を実効的なものとするとともに,プライバシーを保護することにあるものと解される。電気通信の利用者は,電気通信事業においてこのような通信の秘密が保護されているという信頼の下に通信を行っており,この信頼は社会的に保護の必要性の高いものということができる。

これがあるから、2chやその類似する書き込みサイトは保護されているわけです。

このことは,送信者情報について電気通信事業従事者等が証人として尋問を受ける場合と,送信者情報が記載され,又は記録された文書又は準文書について電気通信事業者に対する検証物提示命令の申立てがされる場合とで異なるものではないと解するのが相当である。・・・以上によれば,電気通信事業者は,その管理する電気通信設備を用いて送信された通信の送信者情報で黙秘の義務が免除されていないものが記載され,又は記録された文書又は準文書について,当該通信の内容にかかわらず,検証の目的として提示する義務を負わないと解するのが相当である。

要するに誰がどの人に何を伝えたか(動画等含め)について、プロバイダーは開示する義務はないよと言っています。

第一小法廷裁判官全員一致でした。

裁判長裁判官 池上政幸
裁判官 小池 裕
裁判官 木澤克之
裁判官 山口 厚
裁判官 深山卓也

まあ法律が守秘義務を課している以上仕方ありませんね。あまりにも簡単に開示請求に応じられると、内部告発もできなくなりますし、場合によっては仕返しの被害者にもなりえますから。