平成30(受)1447 各損害賠償請求事件
令和3年5月17日 最高裁判所第一小法廷 判決 その他 東京高等裁判所
1 労働大臣が建設現場における石綿関連疾患の発生防止のために労働安全衛生法に基づく規制権限を行使しなかったことが労働者に該当しない者も含む屋内の建設作業従事者との関係において国家賠償法1条1項の適用上違法であるとされた事例
2 被害者によって特定された複数の行為者のほかに被害者の損害をそれのみで惹起し得る行為をした者が存在しないことは,民法719条1項後段の適用の要件である
3 石綿含有建材を製造販売した建材メーカーらが,石綿関連疾患にり患した大工らに対し,民法719条1項後段の類推適用により,上記大工らの各損害の3分の1について連帯して損害賠償責任を負うとされた事例
ファイル空けてびっくりしました。56ページです。補足意見なく全員一致でこのページ数は凄すぎますので、何回かに分割することにします。
NHKの報道です
建設アスベスト 国と企業の責任認める 最高裁が初判決
13年前から争われている全国の集団訴訟で初めてとなる最高裁の判決を受けて、政府が示す和解案を原告側も受け入れる方針を明らかにし、被害者の救済が前進することになりました。
建設現場で働いていた元作業員たちが、建材のアスベストを吸い込み、肺がんや中皮腫などの病気になったとして、国と建材メーカーに賠償を求めた集団訴訟は、平成20年から全国の裁判所に相次いで起こされ、原告は1200人余りに上っています。
このうち、横浜、東京、京都、大阪の4つの地裁に起こされた裁判で、17日、一連の集団訴訟では初めて、最高裁判所が判決を言い渡し、第1小法廷の深山卓也 裁判長は「国は、昭和50年にはアスベストを使う建設現場に危険性があることや、防じんマスクを着用する必要があることを指導監督すべきだった。アスベストを規制しない違法な状態が昭和50年から平成16年まで続いた」と指摘し、国の賠償責任を認めました。
個人で仕事を請け負ういわゆる「一人親方」についても「人体への危険は労働者であってもなくても変わらない。労働者にあたらない作業員も保護されるべきだ」と指摘し、国の責任を認めました。
アスベストをめぐっては、1975年に吹きつけ作業の原則禁止やメーカーや事業者にアスベスト建材への警告表示の義務づけ、1995年に事業者に防じんマスクの着用を義務づけるなど、徐々に規制が強化され、2006年にアスベストの製造や使用などが全面的に禁止されました。
ただ、アスベストが大量に使用されていた時代に建設現場で働いていた人たちの中で病気を発症する人が増えていて、今でも毎年、500人から600人が新たに労災と認められています。
訴えの概要です。
1 原告らは,主に神奈川県内において建設作業に従事し,石綿(アスベスト)粉じんにばく露したことにより,石綿肺,肺がん,中皮腫等の石綿関連疾患にり患したと主張する者70名が集団訴訟を起こした。
原告らが,被告国に対し,建設作業従事者が石綿含有建材から生ずる石綿粉じんにばく露することを防止するために被告国が労働安全衛生法に基づく規制権限を行使しなかったことが違法であるなどと主張している。
被告建材メーカーらが石綿含有建材から生ずる粉じんにばく露すると石綿関連疾患にり患する危険があること等を表示することなく石綿含有建材を製造販売したことにより本件
被災者らが上記疾患にり患したと主張
訴えが始まったのは、安全衛生法の改正2006年から2年後に訴えています。まずは、国家の不作為と原告を雇っていた会社、一人親方からみると発注元を被告としています。
次回は関連法規に入ります。
令和3年5月17日 最高裁判所第一小法廷 判決 その他 東京高等裁判所
1 労働大臣が建設現場における石綿関連疾患の発生防止のために労働安全衛生法に基づく規制権限を行使しなかったことが労働者に該当しない者も含む屋内の建設作業従事者との関係において国家賠償法1条1項の適用上違法であるとされた事例
2 被害者によって特定された複数の行為者のほかに被害者の損害をそれのみで惹起し得る行為をした者が存在しないことは,民法719条1項後段の適用の要件である
3 石綿含有建材を製造販売した建材メーカーらが,石綿関連疾患にり患した大工らに対し,民法719条1項後段の類推適用により,上記大工らの各損害の3分の1について連帯して損害賠償責任を負うとされた事例
ファイル空けてびっくりしました。56ページです。補足意見なく全員一致でこのページ数は凄すぎますので、何回かに分割することにします。
NHKの報道です
建設アスベスト 国と企業の責任認める 最高裁が初判決
13年前から争われている全国の集団訴訟で初めてとなる最高裁の判決を受けて、政府が示す和解案を原告側も受け入れる方針を明らかにし、被害者の救済が前進することになりました。
建設現場で働いていた元作業員たちが、建材のアスベストを吸い込み、肺がんや中皮腫などの病気になったとして、国と建材メーカーに賠償を求めた集団訴訟は、平成20年から全国の裁判所に相次いで起こされ、原告は1200人余りに上っています。
このうち、横浜、東京、京都、大阪の4つの地裁に起こされた裁判で、17日、一連の集団訴訟では初めて、最高裁判所が判決を言い渡し、第1小法廷の深山卓也 裁判長は「国は、昭和50年にはアスベストを使う建設現場に危険性があることや、防じんマスクを着用する必要があることを指導監督すべきだった。アスベストを規制しない違法な状態が昭和50年から平成16年まで続いた」と指摘し、国の賠償責任を認めました。
個人で仕事を請け負ういわゆる「一人親方」についても「人体への危険は労働者であってもなくても変わらない。労働者にあたらない作業員も保護されるべきだ」と指摘し、国の責任を認めました。
アスベストをめぐっては、1975年に吹きつけ作業の原則禁止やメーカーや事業者にアスベスト建材への警告表示の義務づけ、1995年に事業者に防じんマスクの着用を義務づけるなど、徐々に規制が強化され、2006年にアスベストの製造や使用などが全面的に禁止されました。
ただ、アスベストが大量に使用されていた時代に建設現場で働いていた人たちの中で病気を発症する人が増えていて、今でも毎年、500人から600人が新たに労災と認められています。
訴えの概要です。
1 原告らは,主に神奈川県内において建設作業に従事し,石綿(アスベスト)粉じんにばく露したことにより,石綿肺,肺がん,中皮腫等の石綿関連疾患にり患したと主張する者70名が集団訴訟を起こした。
原告らが,被告国に対し,建設作業従事者が石綿含有建材から生ずる石綿粉じんにばく露することを防止するために被告国が労働安全衛生法に基づく規制権限を行使しなかったことが違法であるなどと主張している。
被告建材メーカーらが石綿含有建材から生ずる粉じんにばく露すると石綿関連疾患にり患する危険があること等を表示することなく石綿含有建材を製造販売したことにより本件
被災者らが上記疾患にり患したと主張
訴えが始まったのは、安全衛生法の改正2006年から2年後に訴えています。まずは、国家の不作為と原告を雇っていた会社、一人親方からみると発注元を被告としています。
次回は関連法規に入ります。