最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

遺留分侵害額請求権よりも遺言書の配分が優先する

2024-02-10 19:30:55 | 日記
令和4(許)14  特別の寄与に関する処分申立て却下審判に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
令和5年10月26日  最高裁判所第一小法廷  決定  棄却  名古屋高等裁判所

 遺言により相続分がないものと指定された相続人は、遺留分侵害額請求権を行使したとしても、特別寄与料を負担しない。

あまりいい解説記事がなかったので、事実関係から見ていきます。

亡Aの親族である抗告人が、Aの相続人の1人である相手方に対し、民法1050条に基づき、特別寄与料のうち相手方が負担すべき額として相当額の支払を求める事案である。

典型的にもめるパターンですね。どういう事情か分かりませんが、この文章から想像するに配偶者と子供がいた可能性があります。おそらく最後まで面倒を見てくれので、そのうちの誰かに全部遺産を渡すと遺言書書いたようです。

(3)相手方は、令和3年3月、Bに対し、遺留分侵害額請求権を行使する旨の意思表示をした。

要するに、全部丸どりじゃなくて少しは遺産相続させろよと言ったようですね。

民法第1050条の5項は
相続人が数人ある場合には、各相続人は、特別寄与料の額に第900条から第902条までの規定により算定した当該相続人の相続分を乗じた額を負担する。

相続人が数人ある場合における各相続人の特別寄与料の負担割合について、相続人間の公平に配慮しつつ、特別寄与料をめぐる紛争の複雑化、長期化を防止する観点から、相続人の構成、遺言の有無及びその内容により定まる明確な基準である法定相続分等によることとしたものと解される。このような同項の趣旨に照らせば、遺留分侵害額請求権の行使という同項が規定しない事情によって、上記負担割合が法定相続分等から修正されるものではないというべきである。

おそらくこの死んだAさんの面倒を見たと言っている相続人がいたのでしょう。だからその分は寄越せよという要求は認めないと言っています。これは個別に寄与度がどんなもんだったのかにもよるんじゃないかなぁという気もします。

遺言により相続分がないものと指定された相続人は、遺留分侵害額請求権を行使したとしても、特別寄与料を負担しないと解するのが相当である。

第一小法廷決定
裁判官全員一致の意見でした。

裁判長裁判官 安浪亮介
裁判官 山口 厚
裁判官 深山卓也
裁判官 岡 正晶
裁判官 堺 徹