最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

ケイマンの議決権100%の会社経由で取引は課税対象

2024-02-20 09:32:08 | 日記
令和4(行ヒ)228  法人税更正処分等取消請求事件
令和5年11月6日  最高裁判所第二小法廷  判決  その他  東京高等裁判所
 1 内国法人に係る特定外国子会社等の事業年度の途中で当該特定外国子会社等の発行する優先出資証券が償還され、当該事業年度終了の時には、当該特定外国子会社等の発行済株式等が、当該内国法人が有し剰余金の配当等が予定されていない普通株式のみとなった場合において、当該特定外国子会社等の事業年度を当該優先出資証券の償還日の前日までとするなどの方法を採る余地もあったなど判示の事情の下では、租税特別措置法施行令(平成29年政令第114号による改正前のもの)39条の16第1項を適用することができないとした原審の判断には、租税特別措置法(平成29年法律第4号による改正前のもの)66条の6第1項の解釈適用を誤った違法がある。
2 増額更正処分後に国税通則法23条1項の規定による更正の請求をし、更正をすべき理由がない旨の通知処分を受けた者は、当該通知処分の取消しを求める訴えの利益を有する。


日経新聞の報道です
みずほ銀行が逆転敗訴 租税回避地巡る課税処分、最高裁
みずほ銀行が租税回避地(タックスヘイブン)を巡る課税処分の取り消しを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(草野耕一裁判長)は6日、課税処分を取り消した二審・東京高裁判決を破棄し、処分は適法とする判断を示した。みずほ銀側の逆転敗訴が確定した。裁判官4人全員一致の結論。
一、二審判決などによると、みずほ銀は自己資本の増強のため、2008年のリーマン・ショック後にタックスヘイブンのケイマン諸島に複数の特別目的会社(SPC)を設立した。SPCが有価証券(優先出資証券)を発行することで、投資家から約3600億円を集めるスキームだった。
集めた資金を返還する過程でSPCに利益が残ったが、みずほ銀は利益は同行に帰属しないとして課税所得0円で税務申告した。
東京国税局は「利益は銀行本体に合算すべきだ」と問題視した。租税回避を防ぐための「タックスヘイブン対策税制」を適用し、16年3月期に利益約84億円の申告漏れを指摘し、過少申告加算税を含め約20億円の追徴課税処分をした。


では、概要を見ていきます。
1 租税特別措置法(66条の6第1項の規定により、ケイマン諸島において設立された被上告人の子会社の後記2の課税対象金額に相当する金額が、被上告人の本件事業年度の所得金額の計算上、益金の額に算入されるなどとして、法人税等の各増額更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分を受けた。

所謂タックスヘイブンを経由して取引したようです。租税回避についてはどこの国も苦労しているようで、条約で締め上げつつあるようです。

2 関係法令
措置法66条の6第1項は、同項各号に掲げる内国法人に係る特定外国子会社等が、各事業年度において適用対象金額を有する場合には、その適用対象金額のうち、その内国法人の有する当該特定外国子会社等の直接及び間接保有の株式等の数に対応するものとしてその株式等の請求権の内容を勘案して政令で定めるところにより計算した金額に相当する金額を、その内国法人の所得の金額の計算上、益金の額に算入する旨を規定する。

ア 本件各子会社は、にケイマン諸島の法令に基づいて設立された外国法人である。
イ 平成20年12月29日、額面1億円の優先出資証券3550口を発行し、投資家に販売した。原則として、普通株主に優先して配当受領権を有する一方、議決権を有しな
いものとされていた。


法人格否認の法理じゃないですか。

(2)平成27年6月30日、被上告人から本件劣後ローンの全額の返済を受けた上で、これを原資として、本件優先出資証券に係る出資金及び配当金をMCIに送金し、本件優先出資証券を償還した。
(3)ア 被上告人は、本件各子会社の本件各子会社事業年度終了の時における発行済株式等のうちに被上告人の有する本件各子会社の請求権勘案保有株式等の占める割合は0%であり、したがって本件各子会社事業年度における課税対象金額は0円であるとして、本件事業年度に係る法人税等の申告をした。
イ 処分行政庁は、平成29年11月7日付けで、被上告人に対し、本件保有株式等割合は100%であり、本件各子会社の適用対象金額の全額が課税対象金額となるなどとし、法人税等の各増額更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分をした。


やはり法人格否認の法理として課税すると出したようですね。

これについて最高裁は
(1)本件では、前記事実関係等の下において本件規定を適用することが本件委任規定の委任の範囲を逸脱するか否かが問題となるところ、この点を判断するに当たり、まず、本件規定の内容が、一般に、本件委任規定の趣旨に適合するか否かにつき検討する。

実質100%子会社ですからね、委託というより自分でやったんじゃないの?という指摘です。

(2)では同じようなことが書いてありますので省略

結論
(3)したがって、前記事実関係等の下において本件規定を適用することができないとした原審の判断には、本件委任規定の解釈適用を誤った違法がある。

要するに課税対象ですよとなりました。

裁判官草野耕一の補足意見
(1)当該外国法人がその事業年度終了時とは異なる日を基準日として剰余金の配当等を支払ったところ、これを受け取った当該外国法人の株主がその直後に到来する事業年度終了時にはもはや当該外国法人の株主ではない場合において、①当該外国法人が上記基準日においては特定外国子会社等であり、受取株主が当該特定外国子会社等に係る内国法人であるとすれば、当該配当の原資として用いられた当期純利益の額につき、経済実態からすれば、当該特定親会社に対し合算課税をすることが相当であるにもかかわらず、合算課税をなし得ない事態が発生し得る一方、②当該外国法人が直近年度末においては特定外国子会社等であるが、受取株主は特定親会社と資本関係のない者であるとすれば、配当原資金額につき、経済実態からすれば、当該特定親会社に対し合算課税をすることは相当でないにもかかわらず、合算課税がされる事態が発生し得るところ、

何ですかこの文章は。これ1文ですよ。相手に理解させようとする努力が全く見えません。しかも、外国法人が訴えてきた場合、こんなごみ文章を出すのですか?どうやって翻訳しろと?中学校からやり直せと言いたくなりますね。

会計期間の途中で配当金が出たとする。これを受け取った会社は会計年度末には株を売り飛ばしていたとする。このときに海外子会社としていいのか?と言いたいようです。

(2)本件委任規定を受けて政令の定めを設けるに当たり、「事業年度」の意義につき、特定外国子会社等が、その財産及び損益の計算の単位となる期間の末日以外の日を基準日として配当を行った場合には、当該会計期間の始期から当該配当の基準日までの期間をもって一つの事業年度とみなした上で、その翌日から当該会計期間の末日までの期間をもって次の事業年度とみなすことにすれば、過少課税も過剰課税も回避することができる。

認めたら脱税出来ちゃうから駄目よねと言う事のようです。

私は法廷意見の結論及び理由付けに全面的に賛成するものである。

全員一致でした
裁判長裁判官 草野耕一 論旨はともかく日本語をきちんとわかりやすくかけ
裁判官 三浦 守
裁判官 岡村和美
裁判官 尾島 明