北海道には、利尻昆布、羅臼昆布、日高昆布など地名が付いたいろいろな昆布がある。しかし、この南茅部の真昆布は、切り口が白く、実も厚いことから、「白口浜真昆布」と呼ばれ、江戸時代から、上浜ものとして、他産地昆布と区別されてきた。北前船で運ばれて、近江商人を中心に、京都や大阪で、一番高く取引されてきた昆布である。
上品な味わいと、すんだダシがとれ、日本料理に欠かせない最高級のダシ昆布として重宝されてきた。今でも関西の一流割烹を中心に人気が高い。
また、松前藩が将軍や朝廷に上納したので、最高級「献上昆布」と呼ばれてきた。今でも、ほとんどが関西方面に出荷され、道内にはあまり出回らないので、道内では意外とネームバリューが低いのが残念である。
ちなみに、恵山岬から津軽海峡に面した前浜で採れるのも真昆布だが、こちらは切り口が黒いので「黒口浜真昆布」と呼ばれる。
画像の昆布は、昭和44年から定着した養殖ものの一等品で、55cmの長さに折りたたんだ規格ものである。旧南茅部町大船(現函館市大船町)に勤めた昭和59年から、地元漁師からその年の出荷価格で分けてもらって、親戚関係等へのお歳暮に使っている。店頭に出ると非常に高いし、出汁も抜群なので、大変喜ばれている。
2人の子供たちも、小学生のうちからコンブ干しのアルバイトに出掛け、亡妻は製品づくりのアルバイトをしていた。もちろん我が家でも、当時から、味噌汁や鍋物や煮物のダシに使い、それも捨てないで、いろいろ工夫して食べている。