自民党系の県内議員たちの裏切りによる逆風吹き荒れる中、「県外移設」を謳いながら、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設へ向けた埋め立て承認申請の判断を迫られている、仲井真弘多知事。
安倍晋三首相ら全閣僚が出席して首相官邸で開かれた「沖縄政策協議会」で、知事は普天間の「5年以内の運用停止と早期返還」「牧港補給地区の7年以内全面返還」「日米地位協定改定」「オスプレイ12機程度の分散県外配備」、さらに「沖縄振興予算について概算要求約3408億円の総額確保」「那覇空港第2滑走路の増設や沖縄科学技術大学院大学(OIST)の拡充」「鉄軌道の導入決定と早期着工、基地跡地利用の予算確保」を要求。
産経新聞などで「埋め立て承認へ事実上の条件を提示した形」と報道されているが、そうは言っていない。確かにその会議の中で口頭でさえ県外要請をしなかった知事だが、協議会終了後、記者団に「今でも、普天間は県外移設の思いだ」と語り、県幹部は「(知事が踏み込んだ基地負担軽減策を示したことについて)具体的な負担軽減の担保がないと、県民の理解を得ることは難しい」と、どちら側に立っているかよくわからない言い訳。
知事は「政府からの基地負担軽減策の具体的な回答を待って判断を下す」意向で、回答がない場合、年末にも想定される判断の「先送り」も検討しているという。
しかしこの「先送り」という報道の言葉がいやだ。「どうせ転ぶだろう」と思われているみたいだからだ。
仲井真知事は同日から東京都内の病院に精密検査のため入院。座骨神経痛のため腰から足にかけて痛みやしびれが出ていることからの入院という。仲井真知事は可否判断を年内に示す方針を明言しており、年内に退院しないとすれば、沖縄県民への説明責任を果たしていないことになる。県民に顔向けできない発言を東京でするつもりではないかと、勘ぐる人たちもいる。
逆に言えば、今回はオスプレイについても「配備中止」という従来の表現を使っていない知事は、「オスプレイの県外への分散配備」などが表面上進めば、それを言い訳に「承認」に傾く可能性も出てくるということか。
「不承認」となれば来年1月の名護市長選挙にとっても追い風だが、逆に「承認」の場合は、政府の思惑では、名護市の意志を無視して、埋め立て・基地建設という運びになる。
ここで知事が転ぶことは、「沖縄が承認した」という言質を取られることになる。未来は何十年もそのことによって縛られるだろう。あってはならない。
16日午後3時半ごろ、神奈川県三浦市で、在日米海軍の原子力空母「ジョージ・ワシントン」に艦載されている「MH60S」ヘリコプターが「不時着」との報道。じっさいは、横転して、乗組員2人が重傷。「爆弾のような音がした。この建物に落ちなくて良かった」と住民が言うのだから「墜落」だろう。
県警は翌十七日、在日米海軍と合同で現場検証、捜査員が業務上過失傷害容疑で米軍関係者とともに機体の損傷などを調べたが、検証はわずか九十分間で終了。日米地位協定で乗組員の事情聴取には米軍側の許可が必要な上、米軍側は「厚木基地離発着」としか答えず、飛行経路の詳しい情報提供に応じない。県警は機体の差し押さえを米軍に求める方針だが、米軍が同意するはずもない。
ガイドラインでは事故の発生場所や機種、武器や放射性物質などの搭載の有無の情報を米軍側が把握次第、日本の警察などに提供することになっているが、まったく無視。
二〇〇四年沖国大ヘリ墜落事故の教訓は何も生かされていない。
米国務省のハーフ副報道官は同じ17日、在日米軍基地の管理、運用などを定めた日米地位協定の改定を沖縄県が求めているのに対し「米政府が見直し交渉に同意したことはないし、今後も検討しない」「両国は常にお互いの懸念を共有しようと努めている。これは、既存の枠組みで対応するのが最善だ」と述べ、改定交渉の可能性を強く否定したという。地位協定があるため、米軍基地内で事件や事故が起こった時、政府や自治体は立ち入り調査ができない。国内法令の米軍人への適用も除外されている。
前述の沖縄政策協議会でも、沖縄県から日本政府に日米地位協定の改定の要請が出ていたが、まったく無視された形だ。
安倍首相は、その沖縄政策協議会後の会見で、基地負担軽減や沖縄振興について「沖縄には多くの米軍専用施設が存在し、県民に多くの負担をかけている。一方、沖縄は大きな優位性と潜在力を有し、沖縄振興を総合的積極的に推進しているところだ」「沖縄県と緊密に連携を図りながら、最大限、実現に努力する」と、またも空約束、口先だけの「最大限」「努力」を繰り返した。
石破自民党幹事長は沖縄の米普天間基地移転問題に関して「中国の尖閣諸島地域における活動や防空識別圏設定などを勘案して、あの地域における抑止力は日本の平和と安全そして独立のために相当程度維持しておかなければならない」「平時には日本本土で展開する、しかし有事には沖縄で対応する。沖縄の負担軽減と抑止力維持の両方を考えなければならない」と強調している。
彼らの中には「沖縄県外」という選択肢はないのだ。 それをわかっていて知事が転ぶことは、「戦争」を許容することになるのだ。
普天間移設問題で、沖縄の新聞各社連合の世論調査では、仲井真知事が申請を「承認するべきだ」とした人は22%にとどまり、「承認するべきではない」と答えた人が64%に上ったという。仲井真知事の支持率は57%。知事支持層に限っても「承認するべきではない」が63%。
沖縄県内での内閣支持率は28%。朝日新聞社の7日の全国緊急世論調査では46%あり、かなり少ない。
普天間が固定化されるという政権の姿勢には「納得しない」が71%。自民支持層でも4割、公明支持層では8割に上ったという。
一方、新たな防衛大綱に基づく次年度から5年間の中期防衛力整備計画(中期防)では、総額24兆6700億円。
東シナ海での中国の活動活発化を踏まえ、南西諸島の離島防衛に重点を置き、新型輸送機MV22オスプレイなど、機動性に優れた装備を充実させるという。
オスプレイについては5年間で17機を導入し「離島が外敵に占拠された時に奪還作戦を行う陸上自衛隊の水陸機動団が使用する」という。海兵隊のお荷物、事故多発の問題機であるオスプレイ、そうした資料を彼らは見ても読んでもいないのか。
また、グローバルホークなど、高々度を飛行する無人偵察機を3機導入し、東シナ海での警戒監視能力を高めるという。
どうしてこの国はそんなに戦争をしようとするのか。
米軍ヘリが落ち、「県外移設」が消されようとしている。米側には日米地位協定の見直しを断られ、赤字国家が戦争の準備に莫大な費用を注ぎ込む。たった二日の間に、この問題だけでこれだけのことが起きている。とても平気ではいられない。
安倍晋三首相ら全閣僚が出席して首相官邸で開かれた「沖縄政策協議会」で、知事は普天間の「5年以内の運用停止と早期返還」「牧港補給地区の7年以内全面返還」「日米地位協定改定」「オスプレイ12機程度の分散県外配備」、さらに「沖縄振興予算について概算要求約3408億円の総額確保」「那覇空港第2滑走路の増設や沖縄科学技術大学院大学(OIST)の拡充」「鉄軌道の導入決定と早期着工、基地跡地利用の予算確保」を要求。
産経新聞などで「埋め立て承認へ事実上の条件を提示した形」と報道されているが、そうは言っていない。確かにその会議の中で口頭でさえ県外要請をしなかった知事だが、協議会終了後、記者団に「今でも、普天間は県外移設の思いだ」と語り、県幹部は「(知事が踏み込んだ基地負担軽減策を示したことについて)具体的な負担軽減の担保がないと、県民の理解を得ることは難しい」と、どちら側に立っているかよくわからない言い訳。
知事は「政府からの基地負担軽減策の具体的な回答を待って判断を下す」意向で、回答がない場合、年末にも想定される判断の「先送り」も検討しているという。
しかしこの「先送り」という報道の言葉がいやだ。「どうせ転ぶだろう」と思われているみたいだからだ。
仲井真知事は同日から東京都内の病院に精密検査のため入院。座骨神経痛のため腰から足にかけて痛みやしびれが出ていることからの入院という。仲井真知事は可否判断を年内に示す方針を明言しており、年内に退院しないとすれば、沖縄県民への説明責任を果たしていないことになる。県民に顔向けできない発言を東京でするつもりではないかと、勘ぐる人たちもいる。
逆に言えば、今回はオスプレイについても「配備中止」という従来の表現を使っていない知事は、「オスプレイの県外への分散配備」などが表面上進めば、それを言い訳に「承認」に傾く可能性も出てくるということか。
「不承認」となれば来年1月の名護市長選挙にとっても追い風だが、逆に「承認」の場合は、政府の思惑では、名護市の意志を無視して、埋め立て・基地建設という運びになる。
ここで知事が転ぶことは、「沖縄が承認した」という言質を取られることになる。未来は何十年もそのことによって縛られるだろう。あってはならない。
16日午後3時半ごろ、神奈川県三浦市で、在日米海軍の原子力空母「ジョージ・ワシントン」に艦載されている「MH60S」ヘリコプターが「不時着」との報道。じっさいは、横転して、乗組員2人が重傷。「爆弾のような音がした。この建物に落ちなくて良かった」と住民が言うのだから「墜落」だろう。
県警は翌十七日、在日米海軍と合同で現場検証、捜査員が業務上過失傷害容疑で米軍関係者とともに機体の損傷などを調べたが、検証はわずか九十分間で終了。日米地位協定で乗組員の事情聴取には米軍側の許可が必要な上、米軍側は「厚木基地離発着」としか答えず、飛行経路の詳しい情報提供に応じない。県警は機体の差し押さえを米軍に求める方針だが、米軍が同意するはずもない。
ガイドラインでは事故の発生場所や機種、武器や放射性物質などの搭載の有無の情報を米軍側が把握次第、日本の警察などに提供することになっているが、まったく無視。
二〇〇四年沖国大ヘリ墜落事故の教訓は何も生かされていない。
米国務省のハーフ副報道官は同じ17日、在日米軍基地の管理、運用などを定めた日米地位協定の改定を沖縄県が求めているのに対し「米政府が見直し交渉に同意したことはないし、今後も検討しない」「両国は常にお互いの懸念を共有しようと努めている。これは、既存の枠組みで対応するのが最善だ」と述べ、改定交渉の可能性を強く否定したという。地位協定があるため、米軍基地内で事件や事故が起こった時、政府や自治体は立ち入り調査ができない。国内法令の米軍人への適用も除外されている。
前述の沖縄政策協議会でも、沖縄県から日本政府に日米地位協定の改定の要請が出ていたが、まったく無視された形だ。
安倍首相は、その沖縄政策協議会後の会見で、基地負担軽減や沖縄振興について「沖縄には多くの米軍専用施設が存在し、県民に多くの負担をかけている。一方、沖縄は大きな優位性と潜在力を有し、沖縄振興を総合的積極的に推進しているところだ」「沖縄県と緊密に連携を図りながら、最大限、実現に努力する」と、またも空約束、口先だけの「最大限」「努力」を繰り返した。
石破自民党幹事長は沖縄の米普天間基地移転問題に関して「中国の尖閣諸島地域における活動や防空識別圏設定などを勘案して、あの地域における抑止力は日本の平和と安全そして独立のために相当程度維持しておかなければならない」「平時には日本本土で展開する、しかし有事には沖縄で対応する。沖縄の負担軽減と抑止力維持の両方を考えなければならない」と強調している。
彼らの中には「沖縄県外」という選択肢はないのだ。 それをわかっていて知事が転ぶことは、「戦争」を許容することになるのだ。
普天間移設問題で、沖縄の新聞各社連合の世論調査では、仲井真知事が申請を「承認するべきだ」とした人は22%にとどまり、「承認するべきではない」と答えた人が64%に上ったという。仲井真知事の支持率は57%。知事支持層に限っても「承認するべきではない」が63%。
沖縄県内での内閣支持率は28%。朝日新聞社の7日の全国緊急世論調査では46%あり、かなり少ない。
普天間が固定化されるという政権の姿勢には「納得しない」が71%。自民支持層でも4割、公明支持層では8割に上ったという。
一方、新たな防衛大綱に基づく次年度から5年間の中期防衛力整備計画(中期防)では、総額24兆6700億円。
東シナ海での中国の活動活発化を踏まえ、南西諸島の離島防衛に重点を置き、新型輸送機MV22オスプレイなど、機動性に優れた装備を充実させるという。
オスプレイについては5年間で17機を導入し「離島が外敵に占拠された時に奪還作戦を行う陸上自衛隊の水陸機動団が使用する」という。海兵隊のお荷物、事故多発の問題機であるオスプレイ、そうした資料を彼らは見ても読んでもいないのか。
また、グローバルホークなど、高々度を飛行する無人偵察機を3機導入し、東シナ海での警戒監視能力を高めるという。
どうしてこの国はそんなに戦争をしようとするのか。
米軍ヘリが落ち、「県外移設」が消されようとしている。米側には日米地位協定の見直しを断られ、赤字国家が戦争の準備に莫大な費用を注ぎ込む。たった二日の間に、この問題だけでこれだけのことが起きている。とても平気ではいられない。