「戦争立法」を主に構成する新法(1本)と改定法(10本を一括)の全容が24日、明らかになったという。
過去の自衛隊の海外派兵法制の「制約」を根こそぎにしてしまおうという乱暴きわまりない「改悪」である。
首相官邸屋上に飛来した小型無人機「ドローン」さえ対処できないこの国の「防衛」が、他国に出かけていって戦争ごっこをしようとしている愚かな児戯を、何とか止めなければならない。
「ドローン」容疑者はプログにしっかり書き込んでいたのに政府は対応できなかったわけで、何ともお粗末な「諜報能力」である。
いま官邸の屋上を警護員が歩いている映像を見たが、ばかばかしてくて呆れてしまう。空から飛んでくるものを、歩いて守るのか?
「自衛隊法改定案」では不服従の隊員に「命令違反」の罰則を設ける方針らしいが、そんなことを先走って考える前に、身の程を知るべきであろう。
こんな国の「防衛」に、誰にも命をかけさせられまい。
以下、「赤旗」からの抜粋。
すべてが海外での軍事活動
対テロ・ゲリラ戦想定
「安全保障法制」の名で示された11本の法制は、すべて自衛隊が海外で参戦し、軍事支援するための法制です。憲法9条のもと禁じられてきた「海外での武力行使」に公然と踏み出す、戦後日本の大転換です。
武力攻撃事態法に、集団的自衛権行使の根拠を創設。安倍首相自身が、遠くペルシャ湾ホルムズ海峡での機雷掃海に固執しています。集団的自衛権の行使は、機雷掃海を含め武力行使そのもの、文字通りの戦争です。
派兵恒久法(国際平和支援法)は、米軍の戦争支援のために、いつでも地球上のどこにでも自衛隊を派兵するもの。周辺事態法改定による「重要影響事態安全確保法」も「日本の安全確保」が名目なのに、「周辺」という事実上の地理的制限を取り払い、地球の裏側まで米軍支援に出ます。
支援活動の地域でも内容でも、「非戦闘地域」などの従来の制限を撤廃。危険な「戦闘地域」で、米軍への弾薬の輸送・提供などを行います。米軍の武力行使と「一体化」を深め、現場では隊員の危険が増大します。
国際平和協力法(国連PKO法)の「改定」の重大さが「条文案」によって改めて鮮明になりました。アフガニスタンやイラクなどの紛争地で、「安全確保(治安維持)」の名目で対テロ、ゲリラ戦が想定されます。
●武器使用
「条文案」では、防護を必要とする住民らの生命、財産に対する危害の防止・抑止、「その他特定の区域の保安のための監視、駐留、巡回、警護」として警護任務を規定しています。さらに「駆けつけ警護」として、国連の平和維持活動等に従事する者の生命・身体に不測の侵害や危難が生じた場合、「緊急の要請に対応して行う当該活動関係者の生命及び身体の保護」を規定しました。
これらの任務遂行のための武器使用を新たに容認し、「(自衛隊の)業務を妨害する行為を排除」、「保護しようとする活動関係者の生命、身体を防護」するなどの目的で武器使用を認めています。
外敵からの攻撃を想定し、それを排除する任務を規定して、武器使用を認めており、まさに戦闘任務です。しかも「特定区域の保安」という広範囲の警護任務では相当な人数と装備が必要です。
アフガニスタンの国際治安支援部隊(ISAF)では、ドイツ軍など多くの国が戦死者を出しています。こうした活動に本格的に乗り出すことは極めて危険です。
●矛盾重大
「条文案」では「対応措置の実施は、武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであってはならない」(国際平和支援法)と書かざるをえませんでしたが、従来の「戦闘地域」に派兵することとしているのですから白々しいにもほどがあります。そのうえ、長年「許されない」とされてきた集団的自衛権の行使では9条が真っ向から破壊されようとしています。後方支援や治安維持活動でも、事実上の武力行使に踏みこんでおり、解釈改憲の矛盾がはらまれています。
過去の派兵法の制約突破
80時間で11法案一気に
これだけ広範でさまざまな経緯から制定されてきた法律群を、今回は「あらゆる事態に切れ目ない対応を可能にする」との口実で一括で提出・審議し、今国会ですべて成立させる方針を安倍晋三首相はかねてから強調してきました。
与党からは「(審議は)八十数時間で十分間に合う」(佐藤勉・自民党国対委員長、14日の記者会見)との発言が出ています。しかし、一連の海外派兵法の過去の審議時間と比べても、およそ考えられません。(表)
PKO法の場合、90年に提出した当初の法案は衆院で70時間余りの審議の結果、一度廃案に。再提出後も3回の国会で審議し、衆参通算で約263時間かけています。
武力攻撃事態法を中心とする有事法制についても、国民保護法制などを含む全体でみると4回の国会にわたり、通算で計229時間審議しています。
●米以外も
内容面でみても今回の「戦争立法」は、歴代政府が一貫して許されないとしてきた集団的自衛権の行使(海外での武力行使)に道を開くだけでなく、これまでの派兵法にあった「戦闘地域に行かない」との制約も撤廃します。武器使用権限の拡大により自衛官が「海外で殺し、殺される」場面に直面するのは不可避で、憲法9条の制約の下でつくられてきた過去の海外派兵法制の「歯止め」さえ突き破る代物です。
関連法のすべてからは、自衛隊の活動範囲の地理的な制約が消され、連携相手国も米軍以外の他国軍まで一気に拡大される内容が浮かび上がります。
一括審議どころか、国会提出そのものが許されない違憲立法であり、ただちに作業を中止すべきです。
自衛隊法改定案 自公に政府提示
政府は「戦争立法」による海外派兵任務の急拡大に備え、上官の命令に自衛官が従わなかった場合などに対して国外犯処罰規定を整備する方針を固めました。24日までに自衛隊法の改定原案を自民、公明両党の協議会に提示しました。
原案によると、(1)上官の命令に対し多数で共同して反抗した者や部隊の不法指揮をした者(119条)(2)集団的自衛権行使の出動命令時に上官の命令に反抗・不服従の者(122条)――に国外犯処罰を適用。刑罰の重さは示されていませんが、現行自衛隊法では(1)に3年以下の懲役または禁錮、(2)に7年以下の懲役または禁錮を定めています。ただ、現行法が適用されるのはあくまで日本国内に限ります。
国外犯処罰規定とは、その犯罪が行われた外国で裁かれない場合に日本の法律で裁くもの。海外派兵をそもそも想定していない自衛隊法に国外犯処罰規定は基本的になく、刑法についても殺人や傷害などの重大犯罪の国外犯を定めているだけです。
政府原案は集団的自衛権行使や他国軍支援などによる海外任務の増加を前提に、重大犯罪でない命令不服従などに刑罰を科すことで、海外で部隊規律を徹底させる狙いがあります。
陸上自衛隊のイラク派兵時(2004~06年)には、自衛官が誤って人を殺した場合(業務上過失致死傷)の処罰規定がないことが国会でも問題となりました。そのため政府は当時、懲戒などの行政処分で対応する考えを示していました。(04年2月6日、参院イラク特別委)
「戦争立法」の整備によって、任務遂行型の武器使用が解禁されます。不服従や反抗に刑罰が科されることで、現場自衛官が上官の命令と、誤射や危険な任務遂行の恐怖に板ばさみになる事態も予想されます。
過去の自衛隊の海外派兵法制の「制約」を根こそぎにしてしまおうという乱暴きわまりない「改悪」である。
首相官邸屋上に飛来した小型無人機「ドローン」さえ対処できないこの国の「防衛」が、他国に出かけていって戦争ごっこをしようとしている愚かな児戯を、何とか止めなければならない。
「ドローン」容疑者はプログにしっかり書き込んでいたのに政府は対応できなかったわけで、何ともお粗末な「諜報能力」である。
いま官邸の屋上を警護員が歩いている映像を見たが、ばかばかしてくて呆れてしまう。空から飛んでくるものを、歩いて守るのか?
「自衛隊法改定案」では不服従の隊員に「命令違反」の罰則を設ける方針らしいが、そんなことを先走って考える前に、身の程を知るべきであろう。
こんな国の「防衛」に、誰にも命をかけさせられまい。
以下、「赤旗」からの抜粋。
すべてが海外での軍事活動
対テロ・ゲリラ戦想定
「安全保障法制」の名で示された11本の法制は、すべて自衛隊が海外で参戦し、軍事支援するための法制です。憲法9条のもと禁じられてきた「海外での武力行使」に公然と踏み出す、戦後日本の大転換です。
武力攻撃事態法に、集団的自衛権行使の根拠を創設。安倍首相自身が、遠くペルシャ湾ホルムズ海峡での機雷掃海に固執しています。集団的自衛権の行使は、機雷掃海を含め武力行使そのもの、文字通りの戦争です。
派兵恒久法(国際平和支援法)は、米軍の戦争支援のために、いつでも地球上のどこにでも自衛隊を派兵するもの。周辺事態法改定による「重要影響事態安全確保法」も「日本の安全確保」が名目なのに、「周辺」という事実上の地理的制限を取り払い、地球の裏側まで米軍支援に出ます。
支援活動の地域でも内容でも、「非戦闘地域」などの従来の制限を撤廃。危険な「戦闘地域」で、米軍への弾薬の輸送・提供などを行います。米軍の武力行使と「一体化」を深め、現場では隊員の危険が増大します。
国際平和協力法(国連PKO法)の「改定」の重大さが「条文案」によって改めて鮮明になりました。アフガニスタンやイラクなどの紛争地で、「安全確保(治安維持)」の名目で対テロ、ゲリラ戦が想定されます。
●武器使用
「条文案」では、防護を必要とする住民らの生命、財産に対する危害の防止・抑止、「その他特定の区域の保安のための監視、駐留、巡回、警護」として警護任務を規定しています。さらに「駆けつけ警護」として、国連の平和維持活動等に従事する者の生命・身体に不測の侵害や危難が生じた場合、「緊急の要請に対応して行う当該活動関係者の生命及び身体の保護」を規定しました。
これらの任務遂行のための武器使用を新たに容認し、「(自衛隊の)業務を妨害する行為を排除」、「保護しようとする活動関係者の生命、身体を防護」するなどの目的で武器使用を認めています。
外敵からの攻撃を想定し、それを排除する任務を規定して、武器使用を認めており、まさに戦闘任務です。しかも「特定区域の保安」という広範囲の警護任務では相当な人数と装備が必要です。
アフガニスタンの国際治安支援部隊(ISAF)では、ドイツ軍など多くの国が戦死者を出しています。こうした活動に本格的に乗り出すことは極めて危険です。
●矛盾重大
「条文案」では「対応措置の実施は、武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであってはならない」(国際平和支援法)と書かざるをえませんでしたが、従来の「戦闘地域」に派兵することとしているのですから白々しいにもほどがあります。そのうえ、長年「許されない」とされてきた集団的自衛権の行使では9条が真っ向から破壊されようとしています。後方支援や治安維持活動でも、事実上の武力行使に踏みこんでおり、解釈改憲の矛盾がはらまれています。
過去の派兵法の制約突破
80時間で11法案一気に
これだけ広範でさまざまな経緯から制定されてきた法律群を、今回は「あらゆる事態に切れ目ない対応を可能にする」との口実で一括で提出・審議し、今国会ですべて成立させる方針を安倍晋三首相はかねてから強調してきました。
与党からは「(審議は)八十数時間で十分間に合う」(佐藤勉・自民党国対委員長、14日の記者会見)との発言が出ています。しかし、一連の海外派兵法の過去の審議時間と比べても、およそ考えられません。(表)
PKO法の場合、90年に提出した当初の法案は衆院で70時間余りの審議の結果、一度廃案に。再提出後も3回の国会で審議し、衆参通算で約263時間かけています。
武力攻撃事態法を中心とする有事法制についても、国民保護法制などを含む全体でみると4回の国会にわたり、通算で計229時間審議しています。
●米以外も
内容面でみても今回の「戦争立法」は、歴代政府が一貫して許されないとしてきた集団的自衛権の行使(海外での武力行使)に道を開くだけでなく、これまでの派兵法にあった「戦闘地域に行かない」との制約も撤廃します。武器使用権限の拡大により自衛官が「海外で殺し、殺される」場面に直面するのは不可避で、憲法9条の制約の下でつくられてきた過去の海外派兵法制の「歯止め」さえ突き破る代物です。
関連法のすべてからは、自衛隊の活動範囲の地理的な制約が消され、連携相手国も米軍以外の他国軍まで一気に拡大される内容が浮かび上がります。
一括審議どころか、国会提出そのものが許されない違憲立法であり、ただちに作業を中止すべきです。
自衛隊法改定案 自公に政府提示
政府は「戦争立法」による海外派兵任務の急拡大に備え、上官の命令に自衛官が従わなかった場合などに対して国外犯処罰規定を整備する方針を固めました。24日までに自衛隊法の改定原案を自民、公明両党の協議会に提示しました。
原案によると、(1)上官の命令に対し多数で共同して反抗した者や部隊の不法指揮をした者(119条)(2)集団的自衛権行使の出動命令時に上官の命令に反抗・不服従の者(122条)――に国外犯処罰を適用。刑罰の重さは示されていませんが、現行自衛隊法では(1)に3年以下の懲役または禁錮、(2)に7年以下の懲役または禁錮を定めています。ただ、現行法が適用されるのはあくまで日本国内に限ります。
国外犯処罰規定とは、その犯罪が行われた外国で裁かれない場合に日本の法律で裁くもの。海外派兵をそもそも想定していない自衛隊法に国外犯処罰規定は基本的になく、刑法についても殺人や傷害などの重大犯罪の国外犯を定めているだけです。
政府原案は集団的自衛権行使や他国軍支援などによる海外任務の増加を前提に、重大犯罪でない命令不服従などに刑罰を科すことで、海外で部隊規律を徹底させる狙いがあります。
陸上自衛隊のイラク派兵時(2004~06年)には、自衛官が誤って人を殺した場合(業務上過失致死傷)の処罰規定がないことが国会でも問題となりました。そのため政府は当時、懲戒などの行政処分で対応する考えを示していました。(04年2月6日、参院イラク特別委)
「戦争立法」の整備によって、任務遂行型の武器使用が解禁されます。不服従や反抗に刑罰が科されることで、現場自衛官が上官の命令と、誤射や危険な任務遂行の恐怖に板ばさみになる事態も予想されます。