ニューオリンズの〈国立第二次世界大戦博物館〉。
その中で、ひときわ特別な場所に思われるのが、この「Manhattan Project」の展示である。
この博物館によって、「アメリカ」という国の現在に至る指針が、再確認される、といってもいい、と記した。
アメリカという国がこの戦争をしたということと、この戦争がアメリカという国を再形成したということと、その両方が伝わってくる、とも。
「戦争」によって著しく進んだ研究の一つが、この「Manhattan Project」である。
「戦争」によって生まれたものが、さらなる「戦争」を求めてしまうという、構図。
「エネルギーの問題」としてのみ「善」の性質を強調され、「平和利用」という物言いと、交互に語られていく、欺瞞の構図。
このとき、研究を越えた「Project」として動き出したという、事実。
一つの時間・場所の中で〈第二次世界大戦〉が語られるとき、この空間が、時間軸をねじ曲げるような迫力と存在感を、持っている。
「いま」に、この博物館の外というか、包み込む、この「世界」に、厳しく迫ってくる。
クリストファー・ノーランの新作が、ロバート・オッペンハイマーについての映画だという。そこに現在からの、どのような視座があるのだろうか。7月の公開が待たれる。
この訪問を含んだ渡航は、セゾン文化財団の〈サバティカル(休暇・充電)〉という、一定期間、海外の文化や芸術に触れることを目的としたプログラムによるものである。