Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

岡本舞という女優

2014-03-13 | Weblog
岡本舞さんは仲代達矢さんが主宰する無名塾の中心的な女優である。
もちろん舞台での活躍も多いし、映像出演も多い。『桜の園』とか『ブレイクアウト』は私も観ている。残念ながら未見である相米慎二監督の『雪の断章 情熱』にも出ているらしい。「なっちゃんの写真館」放映中は私はテレビを持っていなかったのでそれも観ていない。
20年くらい前に私は岡本麗さんの一人芝居『たたかう女』というのを作ったのだが、一文字違いなのでよく間違えられたりもしたのを憶えている。
なんだかんだと行き違ってなかなか出会う機会のない人だったのだが、ひょんなことで〈非戦を選ぶ演劇人の会〉に参加されるようになり、ようやく知己を得たのである。
仮にかなり離れたところから見てもこの人は女優だとわかる堂々とした風格というか存在感であり正統的な女優像の持ち主であるのはいうまでもない。なにしろ劇団活動を三十年以上やって来た方だし、姉御肌なのだが、おそろしく初々しい感性の持ち主であり、真面目であり、独特のリズムで行動されるのが新鮮である。育ってた環境の違いもあって、一緒に現場にいるのが面白くて仕方がない。
初めてご一緒した『ここには映画館があった』では、中学生の役までやっていただいた。なにしろ感動したのは、映画『JAWS』関連のシーンで、ある日突然稽古に「サメのヒレ」(人食い鮫が水面にそれだけを見せて近づいてくる、あれである)をダンボールで自作してこられたことである。
今回の『現代能楽集 初めてなのに知っていた』は、これも舞さんでなければできないというしかない、「まさに」のキャラクターである。早くお目に掛けたい。

写真は、『現代能楽集 初めてなのに知っていた』のワンシーンより。鴨川てんしと。
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円城寺あや 十本めの出演

2014-03-12 | Weblog
ほんとは機密事項なのだが、このブログのみで写真公開。
『現代能楽集 初めてなのに知っていた』。
写真にうつっているこの三体、三田晴代さん特製のパぺットである。大活躍する。この写真のみしか情報出しません。お楽しみに。

左端にうつっているのが、円城寺あやさんである。
操作するパペットと同じ口になっている。さすがである。
あやさんは言うまでもなく野田秀樹氏が主宰していた〈夢の遊眠社〉の中心俳優だった人である。
ここ数年、九本ほど燐光群にほぼ連続して出演している。
今回が十本目である。
これだけ多く出演して下さると、ある意味、周囲からは、もう身内であるように言われることか多い。でも客演です。
この間、江戸っ子気質とあやさんがご自分で磨かれてきた「常識」に、助けられてきている。
〈現代能楽集〉シリーズの前作、『現代能楽集 チェーホフ』では、『現代能楽集 かもめ』において、ニーナとトレープレフを一人二役でやっていただいている。こんな芸当ができる人は他にいない。
清中愛子さんの原作の詩を気に入ってくれて、アトリエ公演『宇宙みそ汁』にも出ていただいている。
そういうこともあってか、あやさんは、本日、この公演のことも絡めて某新聞のインタビューを受けることになっている。よろしくです。

あやさんはここ数年、〈非戦を選ぶ演劇人の会〉でも活動されている。社会的な事象のある種の分野(これは一応秘密にしておきたい)について、ものすごく詳しい。
もう三年以上前になるが、私がおそらく演劇人として初めて沖縄やんばる・高江に行って、当時はN1地区の攻防戦の真っ只中だったが、演劇人にも高江に支援に行くよう呼びかけた。真っ先に行ってくれたのが、あやさんである。感謝している。

『現代能楽集 初めてなのに知っていた』でも、ほかの人にはできないことをやっていただいている。お楽しみに。
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3月11日 。誕生日でした。

2014-03-12 | Weblog
誕生日でした。

3月11日という日付けが、特別な意味を持つようになって、まるまる三年。
自分がその日に誕生したということがどういう意味なのか、考えても仕方ないが、本当にそうなのだから仕方がない。

思いがけず多くの方々からお祝いのメッセージをいただいた。
もちろんフェイスブックの御陰もあるし、思いがけないメールや電話もあった。
気に掛けていただいて、まことにありがたいことである。
感謝します。

個別に御礼をしている余裕がない。
ほんとうにありがとうございます。
精進あるのみです。
引き続きご支援ください。

以下、この日付けのことに触れた、声。声。

3.11なんですね……。
3.11・誕生日。忘れられない日です。
運命を感じてしまいますね。
3.11日本中が忘れられない日、心に刻んでおきます。
たいへんだな。
この日がくると、三年前の屋根裏の稽古中の出来事を思いだします。今年も稽古中ですね!頑張って下さい!

……そう、あの日は『裏屋根裏』の稽古、通し中だった。
二度、中断した。

で、報道などによれば。
日本国家により、3月11日を記念日にしようという動きがあるらしい。
記念日?
学校や会社は休みになるのか?
既に多くの職場では記念セレモニー等で仕事にならないという声があるらしいからそれ故の「合理化」か?
しかし休みにすると「祝日」みたいになってしまう。そうはなるまい。それはおかしいだろう。

今は特別に意識すべき日なのだとも思うが、「特別扱い」はよくない。
どの日に生まれ、どの日に失われようと、命の巡ることに違いはない。

心の濁りを鎮めて、「時」を思う。


写真は、最新作執筆中に噛んだガムである。ボトル二つが空になった。執筆中にガムを噛むというのをやってみたのは初めてである。歯にいいガムだからまあいいんだろう。

清水邦夫さんは執筆中もヘビースモーカーだったというが、禁煙しなければならなくなり、困って口にしたのが「おしゃぶり昆布」だったという。禁煙は続いたのか、昆布をしゃぶることが執筆に効果的だったのか。真相はまだ聞いていない。

実は私も「酢昆布」を試してみた。ガム代わりにである。ああ、これは駄目だと思った。
夜にしゃぶると、焼酎がほしくなるからである。
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『現代能楽集 初めてなのに知っていた』

2014-03-10 | Weblog
稽古たけなわ。
いよいよ来週からです。

まだの方はご予約よろしく。

稽古場写真。

左より
美香、円城寺あや、岡本舞。

彼女たちが手に付けているのは何でしょう!?

…………………………


現代能楽集
初めてなのに知っていた

作・演出 坂手洋二

3月16日㊐─ 31日㊊ 下北沢ザ・スズナリ


次にあなたが何を言うのか、
わたしのどこに触れるのか、知っている

ちゃんと迷ってください
ほんとうにご自分を見失ってみないと
私を見つけることはできません

ここでは「既視感」さえも管理されるのか?
現代能楽集なのに「冒険譚」!
現在という荒野を生きるための、「旅」の物語。

1 9 9 3 年『現代能楽集』
1 9 9 5 年『現代能楽集 アクバルの姫君』
2 0 0 9 年『現代能楽集 イプセン』
2 0 0 9 年『現代能楽集 鵺』( 新国立劇場への書き下ろし)
2 0 1 0 年『現代能楽集 チェーホフ』
そして2 0 1 4 年、燐光群〈現代能楽集〉、最新作。

円城寺あや 岡本舞 美香 大島葉子
鴨川てんし 川中健次郎 猪熊恒和 大西孝洋
杉山英之 松岡洋子 樋尾麻衣子 鈴木陽介 武山尚史 
田中結佳 宗像祥子 長谷川千紗 秋定史枝 川崎理沙
右手愛美 櫻井麻樹 山村秀勝 立本夏山 峯岸のり子

照明○竹林功(龍前正夫舞台照明研究所)
音響○島猛(ステージオフィス)
美術○じょん万次郎
作曲○太田惠資
衣裳○中山マリ・ぴんく ぱんだー
振付○矢内原美邦
舞台監督○森下紀彦
演出助手○城田美樹
文芸助手○久保志乃ぶ・清水弥生
人形美術○秋葉ヨリエ・三田晴代
衣裳協力○宮本宣子
アドバイザー○ John Oglevee
写真○サカネユキ
宣伝意匠○吉田健人(prigraphics)
協力○浅井企画・T-ARTIST
制作○古元道広・近藤順子
Company Staff ○桐畑理佳・福田陽子・小林尭志・西川大輔・宮島千栄・根兵さやか・橋本浩明・内海常葉

アフタートーク開催!
★の部は次のゲストと坂手洋二によるアフタートークあり。
17日(月) 日澤雄介(演出家・俳優 劇団チョコレートケーキ主宰)
18日(火) 中津留章仁(劇作家・演出家 トラッシュマスターズ主宰)
19日(水) John Oglevee(Theatre Nohgaku)
24日(月) 中島那奈子(踊りと老いの研究・ダンスドラマトゥルク)
25日(火) 岡田利規(劇作家・小説家 チェルフィッチュ主宰)
26日(水) 藤井ごう(演出家 R-vive主宰)
本公演の前売券をお持ちの方、ご予約の方はご入場頂けます。


http://rinkogun.com/Next.html
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「出直し市長選」費用を出せるなら文楽を救え

2014-03-09 | Weblog
橋下徹氏(大阪維新の会代表)の大阪市長辞職に伴う出直し市長選(23日投開票)が9日、告示。
前職と新人2人の計3人が立候補を届け出た。
橋下氏以外は無所属の二野宮茂雄氏、スマイル党総裁のマック赤坂氏。

今回の出直し選は、大阪府・市を統合再編する「大阪都構想」の推進を目指すという前職橋下氏が、都構想協議の行き詰まりを打開するために「民意を問いたい」と辞職したことに端を発している。
辞職して出馬を検討していたはずの大阪市北区長の中川暢三氏は出ないようだ。もともと橋下氏によって区長にされていたようなものだし(セクハラやら怠慢やら大阪の民間出身区長たちの評判の悪いこと!)、「大阪都構想でなくても、政令市で出来る改革はたくさんある」と言いつつも、他の候補が出ずに「選挙戦が成立しなかった」という事態にならないための捨て駒だったのだろう。

自民、公明、民主、共産の4党は「出直し選で問う意味がない」として候補擁立は見送った。「橋下氏と同じ土俵に乗ることはしない」(民主党府連)、「売られたケンカでも、意味がなければ買わない」(辻元清美衆院議員)そうだ。「大義のない選挙には付き合わない」として、橋下氏の「独り相撲」を強調する狙いだという。
まあでもじっさいは「橋下氏に対抗できる候補を用意できなかった」ということだろう。「不戦敗」は良いイメージではない。
これで橋下氏が「大阪都構想」がお墨付きを得たと考えるのもおかしな話だが、他の党も大きな顔はできないだろう。

世間の関心はマック赤坂氏がどのくらい得票するかに向かっているともいうが、どうでもいい。
これで次回の衆議院選挙で圧倒的な支持率を誇る現役総理大臣に対して「安倍氏に対抗できる候補を用意できなかった」ということになってもいいのだろうか。

どうやら日本では「政党政治」が機能していないということが問題だ。
今の議会制民主主義下では、「政党」抜きの政治は、困難だ。
かといって「既存政党に期待しない」という層はひろがる一方だ。
都知事選の教訓も活かされていない。
これでは「現役人気」に依存する橋下、安倍らの思うつぼである。
まったくどうしようもない。
どう考えても、大阪市長選を、そういう空気を変えるために活用すべきだったが、既存政党たちはもうそこまで消耗し弱体化しているということなのだろう。

大阪市はこの無駄な市長選にかかる費用分くらいは文化予算に足して、少なくとも動員が目的数に達しなかったために補助をカットされた文楽は、救済すべきだろう。
どうしてみんなもっと怒らないのか。

なにか「疲れ」を感じる。
政党の、この国の、人々の。


吉祥寺で稽古中。
隣では川村毅氏らの「ティーファクトリー」も稽古している。
川村氏と顔を合わせたのはトイレ前で一回だけだが。

ようやく全プランナースタッフは揃った。
追い込み時期が始まる。
これまでにないラストシーンになる。
これまでにないのはラストシーンだけではないか。

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若手演出家コンクールやってます

2014-03-06 | Weblog
日本演出者協会の若手演出家コンクール最終審査会、
告知していないと言われたのでします。
考えてみると私が最終審査員をしたのは第一回めのときだけだ。
3月はたいてい私は忙しいのだ。


若手演出家コンクー2013 最終審査会

http://jda.jp/contest01.html

いよいよ最終決戦へ!!
82名もの応募に及んだ第一次審査から第二次審査を経て、いよいよ4名の演出家が最終審査に挑みます。
最終審査は、3月4日から3月9日までの期間、各2ステージずつの一般公演を行い、最終日公開審査で最優秀賞が決定いたします。
賞金は、50万円。
本年度は前年に引き続き観客賞を設けます。
全作品をご覧いただいた観客の皆様の投票によって観客賞が決定いたします。激闘の行方を是非ともお見逃しなく!!
担当実行委員長 大西一郎(ネオゼネレイター・プロジェクト/横浜演劇計画)

◇澤野正樹<宮城県> 短距離男道ミサイル
「FESTIVAL/ONOBORI ートーホクをヌぐー」

◇シライケイタ<東京都> 温泉ドラゴン
「山の声ーある登山者の追想ー」

◇スズキ拓朗<東京都> ダンス集団CHAiroiPLIN、劇団tamagoPLIN
「FRIEND~踊る戯曲~」

◇山下由<東京都> Pityman
「ハミングインウォーター」

【料 金】2,000円 全4作品をご覧になれます。
全4作品をご観劇頂いた方は、公開審査時に行われます、観客賞の投票権利がございます
【ご予約・お問い合わせ】日本演出者協会 03-5909-3074
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「ト書き」スペシャル版お送りします

2014-03-05 | Weblog
ご希望の方に日本劇作家協会会報誌「ト書き」第51号〈日本劇作家協会20周年スペシャル版〉をお送りします。

日本劇作家協会の会報誌「ト書き」は、年2~3回の発行。
年間事業を網羅した総合誌の他に、東北支部版の震災特集、東海支部版の劇王特集、若手新委員特集、高校演劇特集など、テーマを絞った号も発行しています。
会員・賛助会員の特典として毎号郵送している他、各種演劇関連団体にも寄贈。発行時期には座・高円寺などの劇場ロビーにも置いています (冊数限定)。

ご希望の方にお送りします。

[申込み方法]
http://www.jpwa.org/main/about/report にアクセスの上、
  申込みフォームをご送信ください
  日本劇作家協会事務局宛てに、送料分の切手と宛名書きをご郵送ください。
  ・送料:1冊140円/2冊240円/3冊以上の場合はお申込み後に送料をお知らせします
  ・宛名シール/または封筒に糊などで貼れるご自身の宛名書きを同封のこと
  ・〒166-0002 東京都杉並区高円寺北2-29-14-501


○劇作家協会20周年スペシャル版

あの日、
日本の劇作家たちが集まった。
あれから二十年。
そして、これからの二十年。

▽ 表紙 井上ひさし(初代会長)『黄金の大規則』
▽ 日本劇作家協会20周年記念座談会
「日本の劇作家たちをとりまく現状、そして、これからの20年。」
青木豪・長田育恵・坂手洋二・鈴木聡・中津留章仁・渡辺えり
▽ 日本劇作家協会会員全員参加企画
百字コメント「みんな、ひとこと」
<テーマ>
「あなたにとって劇とはなんですか?」
「この二十年、私の一本。」
劇作家協会会員約500名のうち、半数を超える268名のコメントを掲載。
▽ 日本劇作家協会の設立の経緯と沿革



▽ 編集後記 工藤千夏


○高校演劇スペシャル版

▽ 巻頭<スペシャル対談>
 「高校演劇の世界から、僕らはやってきた!?」 柴幸男・藤田貴大
▽ 寄稿「高校演劇という宇宙」
 ・私的高校演劇考                横内謙介
 ・所感                     内藤裕敬
 ・高校演劇の特殊性               中村勉
 ・高校演劇って                 土田峰人
 ・制服かジャージ                畑澤聖悟
 ・ゼロから創る~「新しい『ヒロシマ』の劇」の体験から~ 黒瀬貴之
 ・高校演劇は格闘技               石原哲也
▽ コラム 高校演劇の気になる劇作家        林成彦
▽ 編集後記のような、ラブレターのような。  工藤千夏
▽ 劇作家協会TOPICS
 ・ネットネーク ー 劇作家往復書簡 ー  藤井友紀・永山智行
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「はだしのゲン」を「持っているかどうかをチェック」

2014-03-05 | Weblog
広島への原爆投下や戦争の悲惨さを描いた漫画「はだしのゲン」について、宮城県教育委員会が、仙台市以外の公立小中学校に所蔵されているか各市町村教委を通じて、それぞれの地区の何校に所蔵されているか、学校名を尋ねず調べているという。現在は集計中で、県教委は「結果は県議に知らせる。公表することはない」としている。

「はだしのゲン」所蔵校の数を調べる?
何のため?
その県会議員の名前を公表すべきだ。

「はだしのゲン」については、「新しい歴史教科書をつくる会神奈川県支部」が、県条例で定める「有害図書」への指定や、小中学校の図書室など公教育現場で閲覧する場合には、児童や生徒の発達段階に応じて配慮をするよう求める陳情を県議会に提出していた。
これを産経新聞等が報道すること自体が「宣伝」で「推進」みたいなものだから、黙殺していたが、結局これが宮城県のような反応に繋がってしまうのなら、さすがに看過できないと思った。
陳情によると、「はだしのゲン」には国歌の否定や天皇制に対するネガティヴな表現があるほか、残虐なシーンが描かれており、県青少年保護育成条例に抵触するという。
そんなこと言ったら私の本は全部「有害図書」だ。

「それぞれの地区の何校に所蔵されているか」を調べている宮城県では、教職員組合などが、調査の中止や集計結果を公表しないことなどを県教委に求めている。
いうまでもなく、調査は学校が所蔵することを萎縮させる。
「持っているかどうかをチェック」って、かなり異常なことだ。

「はだしのゲン」が平和教育のための貴重な作品であることは間違いなく、平成生まれのうちの子も読んでいる。
「残虐なシーン」はそれこそ巷のあらゆる表現物に溢れており、それが「本当のこと」であることにショックを受けるというなら、早々にショックを受けてしかるべきだ。
「戦争の残虐さをこそ伝えるべき」という言い方が当たり前でなくなる世の中って、いったい何だ?
他の都道府県が追随しないよう、宮城県教育委員会は監視され、批判されるべきだ。

この件、犯人が不明の「アンネの日記」焚書よりも、深刻だと思うのだが。
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石破幹事長はロシアのクリミア侵攻支持

2014-03-04 | Weblog
自民党・石破幹事長は記者会見で、ウクライナのクリミア地方への軍事介入をロシア政府が決めた問題について問われ、「ウクライナにおける(ロシア軍による)自国民保護ということなのであって、日本流に言えば邦人救出という話だ」と述べた。
ウクライナ情勢について詳述する余裕はないが、これは「ウクライナの暫定政権がクリミア半島の治安を不安定化させていることから、クリミア自治共和国からの要請を受けてロシアは行動している」と述べたロシアのチュルキン国連大使の「クリミア半島での軍事活動正当化」を肯定するものだ。
「そもそも混乱の原因は、ウクライナで起きた暴力的な反政府運動を欧米各国が支援したことだ」というロシアの論理を擁護し、欧米に敵対したことになる。
日本はロシア側につくのか?!
この発言がアメリカ、EU、国連側でどう取られるか、あまり考えていないのだろう。

そもそも石破氏はクリミア半島の人たちの多くがほぼロシア系であることを知らないのだろう。「保護」って、誰からなんだ? 「ウクライナで起きた暴力的な反政府運動」がクリミアの人たちを脅かした例が一つでもあるのか。
そもそもクリミア半島の人たちは「ロシア人」ではない。「自国民救出」のはずがない。

そして石破幹事長は、「わが国が邦人保護のために(海外に)自衛隊を派遣することになっても、それは武力行使とか武力介入というお話にはならない」「仮に軍事力を伴うものであっても」「国連と何の関係もないものも、武力介入、武力行使にならないのは世の中の常識」だという。(「赤旗」)
ロシアの行動を支持し、その論理を「口実」に、自衛隊の他国領土での戦闘を認めるというのだ。

憲法無視も甚だしい。
「集団的自衛権」についての問題以前に、とにかく「自衛隊の他国での戦闘」を待ち望んでいるらしい狂気がある。
日本の現政権周辺は暴言が多すぎて、無感覚になってきていないか。
ちょっと前までなら、確実に紛糾したはずの発言である。

そして、子どもでもわかる理屈を言おう。
普通なら、他国にわざわざ遠くの軍隊が「救出」に行くと宣言することが、「救出」される者たちの生存を、おびやかすだろうということ。
もっとまともな対応や政治的な努力をしないで、「救出」という理屈だけが先回りするのが、どう考えてもおかしいということ。
他国の紛争に、自国の問題を持ち込んで語る無神経、無知と、大人げなさ。

忙しすぎるのだが、吐き出さないとかえって気持ち悪いので、記す。
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内田樹氏「憲法講演」を神戸市と教育委員会が承認せず

2014-03-03 | Weblog
報道によれば、5月3日の憲法記念日に神戸芸術センターで開かれる「憲法集会」(神戸憲法集会実行委員会主催)について、神戸市と同市教育委員会が実行委からの後援依頼を承認しなかったという。
主催団体は護憲グループなどでつくる「神戸憲法集会実行委員会」。同集会は約50年間続いており、実行委は神戸市内の労働団体や護憲グループで構成。過去に開いた憲法集会では、神戸市と同市教育委員会は後援していた。1998年と2003年の集会に後援の名義使用が承認されている。
集会への後援を昨年12月に申請したところ、「政治的中立性を損なう恐れがある」との理由で市と市教委は承認しなかった。
理由については「憲法に関しては『護憲』『改憲』それぞれ政治的主張があり、憲法に関する集会そのものが政治的中立性を損なう可能性がある」と明記。
市教委の回答には「昨今の社会情勢を鑑み」とも記されていたという。
集会では、護憲の立場を明確にしている内田樹・神戸女学院大名誉教授の講演が含まれている。
同市の内部規定では、後援名義の使用を承認する要件を「政治的中立であり、宗教的活動でないこと」としている。同市行財政局庶務課は従来との整合性が問われる今回の対応について「憲法について多様な意見がある中で後援するのは差し控えた」と説明しているという。

安倍首相が解釈改憲による集団的自衛権行使容認に強い意欲を示すなど、憲法をめぐる議論が過熱する中、自治体がこのように憲法を尊重しない姿勢を示すのには、問題がある。

「憲法に関しては『護憲』『改憲』それぞれ政治的主張があり」だとしても、「憲法に関する集会そのものが政治的中立性を損なう可能性がある」という言い訳は、おかしい。
既にある、国家が認めている「憲法」についての集会を認めないというのは、ましてやそれを「護憲」と「改憲」の二分法で判断するなら、「護憲」の集会をみとめないということは、消去法によって、神戸市と同市教育委員会は「改憲」を考える立場である、ということになるからだ。
自治体には本来、憲法尊重擁護義務があるとも聞く。憲法を尊重することに何の問題があるというのだ。

かと思うと、憲法審査会では、自民党副幹事長・赤池誠章議員による「憲法自体が憲法違反の存在」という意味不明だけれども驚くべき発言がなされたという。
「マッカーサーの指示によってアメリカの押しつけ」という部分がまず正しくない。日本人も関わっている。
「日本の歴史や伝統文化はまったく反映されておりません」というが、国民主権の憲法にそうしたものは必要ではない。
なんといっても「旧ソ連の1936年スターリン憲法に影響されており、共産主義が紛れ込んでおります。第24条の家族生活における個人の尊重や、両性の平等、27条の勤労の権利および義務などは、その条項にあたるといわれております。社会主義者や共産主義者が護憲になる理由がここにあるわけです」という発言が、常軌を逸している。
憲法草案作りに関わった方々が「スターリン憲法に影響されて」というのは初耳である。メンバーにはニューディール派が混じっているが、リベラル=社会主義・共産主義ではない。とってつけた妄想である。
「日本国民は、現行憲法では自分自身や自分の家族、地域や国家を守ることができないのではないか」というが、安倍政権になってから、憲法を否定する、国際社会への差別と挑発に満ちた態度が続くからこそ、今の日本の危機的状況が生まれている。
さらに、この人物は、「両性の平等」を否定するのである。男女同権をきちんと謳った憲法の精神を否定するらしい。
そして「勤労の権利」までをも「共産主義」にまとめようとする。
「基本的人権」について学んだことがないのだろう。
政治家失格ではないか。

日本の憲法がどれだけこの国の人間を救ってきたか。しかし、徹底しておらず、すべてのことがすべての国民に対して果たされていない、まだ過渡期にあるのであり、無意味に変える暇などなく、これからまさに現憲法の精神が実現できるように更に努力すべきだということこそ、きちんと知るべきである。

私も憲法について話すよう求められることはある。
一昨年の5月3日の憲法記念日には、那覇市民会館で開かれた「憲法集会」で講演した。UAの歌と一緒だった。
市民会館を埋めた人々と、憲法によって繋がるという手応えは素晴らしく、教えられることは多かった。
これからは、どうなるのか。

内田樹さんの憲法についての講演はぜひ聞いてみたい。
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クリミア半島が危ない

2014-03-02 | Weblog
ウクライナのビクトル・ヤヌコビッチ前大統領はウクライナの首都キエフでデモ参加者約100人を「大量虐殺」した容疑で指名手配され、2人の息子とともにクリミアに潜伏しているとみられていたが、ロシアにいて、「自分は今でも正統な大統領だ」と主張しているようだ。ウクライナ議会が5月25日の実施を決めた次期大統領選は「不法だ」とし、今後の体制を決めるための国民投票の実施を求めているという。
彼のウクライナ脱出はロシアが黒海艦隊の基地を置くクリミア半島経由だったという。クリミア半島のセバストポリでは28日未明までに、市近郊の空港に多数の武装集団が侵入し、占拠した。同国のアバコフ内相はセバストポリの港を基地とするロシア軍による「侵攻」と批判しているが、ロシア側は否定。ロシアが親ロ地域の保護に乗り出せば軍事衝突の危険が高まるとされていた。
そして1日、クリミア自治共和国では武装部隊が占拠した議会で首相が解任され、地域政党「ロシア統一党」のアクショノフ首相が新首相に就任、ロシアのプーチン大統領に治安維持への協力を要請。プーチン氏は「ウクライナでの社会政治状況の正常化」を掲げ、ロシア上院にウクライナ領内でロシア軍を活動させることへの承認を求めているという。

1992年にウクライナの自治共和国となったクリミア半島は保養地として知られ、「黒海への玄関口」とされる。面積は約2万6千平方キロメートル。人口の6割はロシア系住民だ。半島南部のクリミア自治共和国では、ロシアへの帰属を求める運動が強まっている。ここには親ロシア政権が崩壊したウクライナ新政権の統治が及ばない。事実上、分離独立地域になりつつあるという。
クリミア半島では、武装部隊が主要空港や市街地に展開し、空港は閉鎖。自治共和国当局が活動を容認しているらしいロシア軍の関与が疑われている。ロシア軍がクリミアにある対空ミサイル基地を占拠しようとしているとの情報もあるという。
アメリカのオバマ大統領はロシアに対し警告。6月にソチで開かれるG8サミット欠席をほのめかした。

昨年9月に私が十日以上滞在したヤルタもクリミアにある。
あのとき舞台セットの飛行機積込みに手こずったシンフェロポリ空港周辺も、今はロシア黒海艦隊の軍事部隊らしい勢力が展開し、物々しい雰囲気に包まれているという。
かの地では、ロシアの影響の濃さは否定できない。これからウクライナとクリミアを引き裂く、新たな戦争の発火点にならないことを、心から祈る。

先週は劇作家協会の会議が二度もあった。5日前の会議は、鐘下辰男、坂手洋二、篠原久美子、佃典彦、永井愛、長塚圭史、平田オリザ、マキノノゾミ、渡辺えりの各氏。なんだか成熟した会議だなあと思った。
昨日は別な主旨の会議で、永井愛、長塚圭史、中津留章仁の各氏と。永井節が炸裂、長塚君も真摯にいっぱい喋り、新作を書き上げたばかりの中津留君も追い込みの多忙のなか近くの座高円寺稽古場から来てくれた。
なんだか元気をもらう。
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