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昼のガスパール・オカブ日記

閑人オカブの日常、つらつら思ったことなど。語るもせんなき繰り言を俳句を交えて独吟。

コンサート『アリアと珈琲はお好き?』

2014-11-20 09:57:44 | アート

かーたんの友人、久保由美子さんが公演する二部構成の企画ものクラシック・コンサート『アリアと珈琲はお好き?』に代々木上原『ムジカーザ』へ行ってきた。
第一部の前半は、久保さんのソロで『マノン・レスコー』のアリアを中心としたオペラもの。そして後半は『カンディド』、『Tonight』などバーンスタインのミュージカルものによる構成。『カンディド』は久保さん風邪気味の中、名演の熱唱。コロラトゥーラとミュージカルの地声の発声の混ざったあの歌を歌える人はそうそういない。
ワインとオードブル付の休憩の後、二部はバッハの『コーヒー・カンタータ』を日本語オペラ仕立てにした斬新な企画。日本語訳詞も演出も久保さんが手がけたというから立派なもの。
『コーヒー・カンタータ』はバッハの時代、コーヒーが市民階級に普及し熱狂的に受け入れられたブームを風刺し、バッハが作曲した世俗カンタータ。
やはり二期会幹事長でバッハ研究会を率いる多田羅迪夫御大のバリトンがきらりと光るが、もともとオペラとして作曲されたものではないため、歌の「見せ場」がなかったところはちょっと残念。というか全体がレチタチーヴォ中心なので、劇的なアリアがあるわけではない。しかし進行役の粕谷さんがコミカルに舞台を進めてくれて、ちょっとしたお芝居として楽しめた。
久保さんの衣装、深緑、金ラメ、そして「コーヒー・カンタータ」の娘役の水色のものとバラエティに富んで目を楽しませてくれた。「コーヒー・カンタータ」の伴奏がシンセのキーボードと、ガンバではないといえチェロの通奏低音で行われたのは、企画として頑張ったなあという印象。
舞台がはね、来年、オーストリアワインと、ウィンナ音楽のコラボを一緒にやろうと企画しているワイン輸入会社経営のKさんとかーたんの3人で食事をしていこうということになり、代々木上原の駅前の店に行き当たりばったりで入った。この『Latino』というワイン・ダイニング・バーではオーストリア・ワインも置いてあるうえに、その面でKさんのビジネスと直接関係しているという奇縁。その上、かーたんの高校の後輩で二期会会員、劇団四季の女優、辛島小恵さんのご亭主がこの店のオーナーということで話が弾み、大いに盛り上がる。最初にシャンパーニュ、鰊のカルパッチョ。ブルゴーニュの白でラタトゥイユ、ノルマンディー産のムール貝。かーたんはリンゴジュースを薦められて出してもらったらこれがオーストリア産のアップフェルザフト。その後トリュフをあしらったブレスの冷製。そこでブルゴーニュの赤がシェフのお薦めで飲んだところこれが絶品。こちらのお店でというかシェフのこだわりでは、ボルドーよりもブルゴーニュの方が好みの格付けとしては高いという。そのワインと料理へのこだわりは脱帽もの。
Kさんが水を頼んだところこれも特別もののアルザス産ミネラルウォーター。エヴィアンやコントレックスとは一味違う。そしてお待ちかねのジビエ、蝦夷鹿。叩きとパテでいただく。 これも絶品。パテはいちぢくのジャムをつけて食べると臭みが感じられず、とろりと口の中でとろける美味しさ。
『Latino』
大満足して夜半過ぎに店を出る。いい一夜であった。

『アリアと珈琲はお好き?』
第1部 出演者:ソプラノ/久保由美子 ピアノ/浅野和子 テノール/沢井栄次

第2部 コーヒー・カンタータ出演者:
コーヒー好きの娘/久保由美子、ガンコな父親/多田羅迪夫、語り手/沢井栄次、メイド/粕谷ひろみ

歌劇観て氷雨にしとど濡れそぼり   素閑





る・たん・あじるに行ってきた。

2014-11-08 07:25:05 | アート

新宿三丁目のシャンソン・バー『る・たん・あじる』に行ってきた。
実は先日、急に年来の友人が亡くなった。ただ最近、疎遠にしていたので消息がつかめない。弔いにも行けなかった。香華を手向けることもできない。そこで行きつけだったという新宿ゴールデン街の店で友人を偲んで飲もうかと思ったが、どうも開店が8時過ぎ頃らしい。これでは、早めに飲み始めて早めに切り上げるというオカブの行動規範に合わない。それに、今回は蒲田でのコンサートで手伝いに繰り出したかーたんと待ち合わせて、二人で行こうと思っていたのに時間が遅すぎる。そこで新宿は新宿でも3丁目の前から気になっていたこの店で呑むことにしたのである。
この店はライヴをやるのは毎週木曜でその他はバー・タイム。それでよろしい。今回は音楽を聴きに来たのではなく、友達を偲びに来たのだから。
ただし、話題はもちろんママさんとは面識のない友人のことではなく、ママさんが好きなパリのつれずれのこと。シャンソニエのラパン・アジルや治安のこと、美術館のこと、あるいは国内のシャンソニエやシャンソン歌手のことなどを取り留めもなく話す。
アブサンの杯を重ねるごとに興に乗ってくる。
オカブは7回ほどパリに行っている。ママさんとは話が弾むわけだ。かーたんはパリ行きなし。だからずっと押し黙っている。気を遣うのが煩わしいので適当な時間に店を出る。早めに切り上げるという主義に従ったわけだ。しかし、この店は明朗会計でいい店。また来よう。 
友人はパリを訪れたことはないがフランス文学にはとてつもない造詣をもっていた。オカブがシャンソンを伝授されたのはこの友人からだったし、おまけに底抜けの酒豪ときている。今晩は、手向けに酒を飲んだことで喜んでくれたことであろう。
一歩出た夜の街は年の暮れの様相を呈していた。

木枯らしや逝ける友へのウィスキー   素閑 



キャロット・タワーでフルート演奏を楽しむ

2014-10-16 12:54:06 | アート

閑話休題。木曜の夕べ、三茶のキャロット・タワーの最上階スカイ・ラウンジでは、ちょっとしたクラシックのライヴがある。この日は二本のフルートとピアノのトリオ。国立音大のグループだ。曲目はこういう場にありがちなポピュラーが中心だが、ドップラーのトリオ・ソナタがクラシック曲で唯一の選曲。C hoot jointを使っている姉ちゃんは低音が安定していて力強いいトーンがが出せるが、高音域になるとちょっと苦しく、音程が上ずり気味。H hoot jointを使っているお姉さまは低音がぼやけており音色としていただけないが、高音域になると安定している。楽器に特性のなせる業か、はたまた唇の訓練が足りないのか?
まあ、細かいことは良い。サーモンの燻製のつまみにハイボールをやりながら、フルートの音をバックに26階から眺める夜景は最高。
こちらのキャロット・タワーの26階のスカイラウンジは三茶に寄る人があれば、夜の一杯にぜひお勧めしたい穴場。ハイボール一杯500円でそれなりのバー気分が味わえる優れものの場所だ。
来週の木曜も来る予定。
満足満足。

秋の夜銀笛に踊る星さやか   素閑