今年の正月三が日は、関東地方は日の光に恵まれたまことに穏やかな冬の日が続いた。こんな日に家にくすぶっていてはもったいない。仕事は休業にして、昨日に引き続いてかーたんと午後から太子堂、三軒茶屋の辺りに散歩に出かける。太子堂の円泉寺に行ってみる。
この寺は真言宗豊山派で「太子堂」の地名の由来になった古刹である。江戸初期の頃、賢恵僧都という人が大和の久米寺から聖徳太子像と十一面観音像を背負って関東地方へ布教にやってきて、このあたりで一泊したときに、夢に聖徳太子が現れてお告げをしたという。このあたりは神聖な土地で円泉が丘といい、常に霊泉が湧き出ているので永くここに安住するようになった。そこで賢恵僧都は本堂と聖徳太子堂を建て太子像を祀り円泉寺とした。
この寺域は子供の頃の遊び場で、恐ろしげに覗いていた木の洞に祀られた馬頭観音も、今見てみれば親しげだ。
寺の脇の路地には林芙美子の旧居跡も残っている。この家は芙美子が不遇時代を送った棟割長屋で、隣家には坪井栄夫妻が住んでいた。
その後、三軒茶屋に出て、昨日、果たせなかった、キャロットタワーの最上階まで登り、丹沢、奥多摩、秩父、そして富士山の雄姿を眺めてきた。
富士山は残念ながら頂上付近を雲に覆われていたが、初富士を見られたのでよしとする。
最上階のスカイロビーで、かーたんは紅茶にドーナツを、オカブは生ビールを飲み満足満足。
これにて、正月の一連の行事は終わり。明日から正常モードで運転である。もっとも日曜だが、教会に行った後はすぐに仕事だ。
夕飯はかーたんが「ほうとう」を作ってくれた。大鍋を囲んでみんなでふうふういいながら、太いうどんのようなほうとうをすする。おかげで暖房の効いた部屋ではすっかり暑くなりセーターを脱いだほどだ。
7時からはニューイヤー・オペラコンサート。
夜の女王を歌った安井陽子は初めて知る歌手だが、『復讐の地獄の炎は我が胸に燃え』を無難にこなし、今まで日本人が歌った夜の女王でも最高の出来。期待の新人といったところだろう。幸田浩子のオランピアも良かった。しかし、カルメンを歌った林美っちゃんは可愛すぎてカルメンの妖艶さが足りなかったし、逆に佐々木典子のルサルカは手折れんばかりの可憐さとは程遠くミスマッチ。福井敬さんはさすがに男性歌手の大御所の貫禄を遺憾なく発揮していたが「福井節」はちょっと鼻につく。
今年のニューイヤーは木下美穂子と森麻季がでないなどイマイチだった感がある。
空青く三日の西日しづかなる 素閑