日曜の午後、かーたんの友人のDさんのリサイタル・コンサートに中野まで行ってきた。教会から開演時間に間に合わせるために、昼食抜きで駆けつけたので、終演になるころにはお腹がぺこぺこ。しかし、中野近辺で食事をするというのは中途半端だ。そこで、行きつけの若林のイタリアン、フォルツァ・ドンナで早いディナーをとりに行くことにする。しかし、とにかく空腹だったので、中野から三軒茶屋までの電車の中では、目が回って目が回って大変な思いをした。
さて、三軒茶屋から歩いて5時少し前に、若林のフォルツァ・ドンナに到着。もちろん、我々が最初の客だ。開店時間の5時前だったが、とにかく腹が減っていたので、遠慮なく入店する。
まずは、ビール。キンキンに冷えた冷たいのをキューと行って、これはなかなか油断のならない特製のアミューズで腹を満たす。
ところで、数日前の日経新聞の夕刊に、アメリカ人の日本文学者のインタビュー記事が掲載されていた。この方は、日本の居酒屋マニアで、まずは外国人が居酒屋に入って、いかに周りから浮かないで自分も楽しい時を過ごせるか、日本人客との触れ合いの心得など、話題は多岐にわたるのだが、その中で、店内で料理の写真を撮る客のことを批評していた。この日本文学者氏によると、居酒屋で料理の写真を撮るなどという行為は実に「野暮」な行いで、こういうのが一見客の場合、あちこちの店を回って、料理の写真を撮り、あの店が美味かった、料理の味加減は・・・などと御託を並べて、自分のブログに載せて、店のスタンプラリー気分を味わっているなんとも「粋でない」客筋だという。たしかに、他の客が、酒と料理を楽しみ楽しく談笑している中で、やおらデジカメを取り出し、パチパチと写真を撮るなどという輩はみっともないにも程がある。なにかオカブには自分のことを言われているようで、恥じ入った次第だが、この料理の写真を撮ってブログに載せるという芸当だけは、いかに野暮であろうと、オカブとしてはお許し願いたいところである。
フランスの食通は、一流レストランで食事ののち、勘定の段階になっても、すぐには金を払わないで、トレーに載せられてきた勘定書きを、じっと見入っているそうな。別にこれは、金額が間違っているかいないかチェックするというケチなシブチン根性でそうしているわけではなく、勘定書に書かれた料理の名称を見ながら、ここで味わった美味の数々をじんわりと思い返しているのだという。オカブがレストランの料理の写真を撮ってブログに載せるのもこれに類する行為だ。ただ、フランスの三ツ星レストランなどは、料理の名称が非常に文学的で、想像力を刺激するようなものが多く、その味を思い返すのに実に心憎いまでの表現がされているが、どうも日本の料理の名称は直截的でイマジネーションを引き出すのが難しい。そこで、なんとも「野暮な」やりかただが写真にとって記録しておくという方法に頼らざるを得ない。文に書いて記録しておけばいいじゃないかという向きもあろうが、オカブの文章表現能力では、味わった美味を再現する力が及ばない。日本の文豪の作品には、よく食べ物の描写が出てきて、それだけ読んでも涎が出てきそうな作品もあるが、まさにオカブの筆力とは雲泥の差だ。
そんなこんなで、オカブは何か月も前の食事の思い出をブログの写真ともに追想することがままある。
そこで今日、食した料理の数々。
まずは、ドンナ風生春巻き。イタリアンらしからぬ料理だが、香草たっぷりで、イタリアンのスパイシーとエスニックのスパイシーのコラボで実にマッチしている。
そして蒸し鶏の中華風ピリ辛サラダ。バルサミコのソースが絶品。
次はかーたんの好物の海老の香草クリームソース。これはなんといっても美味い。ソースがなんとも美味で必ずバゲットをとって一滴も残さずソースをすくう。
それから、この日は今日のおすすめメニューが大幅改定された直後に行ったので、いろいろといつもと違う料理をとったのだが、豚ばら肉のサラダ仕立て。これは豚肉の食材も料理の仕方も最高だった。
次に、牛すじ肉のグラタン。ソースも美味だし、この料理を創作したシェフに脱帽。
最後に白身魚のバジルクリームソース煮。もう言うことなし。
この店はもちろん、パスタやピッツァも美味なのだが、こうしてシェフの考案になる料理の数々を味わい尽くすのが最も美味求心の王道を行っているし、毎回のオカブたちの味わい方だ。
さらにドルチェは、二人ともキャラメルアイスクリーム。
これだけ食べてビール5杯とジンジャーエールを飲んで、払いは8000円ぽっきり!!!びっくりするでしょう?店を出るときはシェフがドアまで見送りに出てくれる。裏通りの本当に見落としてしまう隠れた名店である。
食べログ
帰りはいつもの住宅街を代沢十字路目指してくねくねと夜道を歩いて。帰ったらまだ8時過ぎだった。
音楽会待つや久しの秋晴れや 素閑