寒い。
もう、冬が訪れたような気候だ。空はどんより曇り、時折雨がぱらつく。
風邪は快方に向かっているが、まだ全快とはいいがたい。咳込むときがある。
こういう時は栄養を付けねば。
というわけで、今日の晩御飯はステーキにすることにした。
かーたんは遅くまでレッスンということなので、今日の晩飯は別々にとることにする。
拍子木に切ったじゃが芋のフライ、ポンム・フリット(フライド・ポテト)をたっぷり添えて、毎度いつものビフテック・フリットである。
西友でステーキ用のアンガス・ビーフ100g187円というのを買ってきた。1パック740円ほどだから350gのステーキの一気食いである。
ビールもつけることにする。ビフテック・フリットにはビールである。
しかし、この焼肉料理、このブログでもさんざん言ってきたことなのであるが、フランス人の国民食である。
フランス人に「今日のおかずは何ですか?」と聞くと「ビフテック・フリットに決まってるじゃん」と決まりきった答えが返ってくる。
フランスにこの料理が渡った歴史は意外と新しく、18世紀にイギリスから輸入された風習だという。それまで、フランスの庶民は牛肉を食えなかった。食えたのは都市部のブルジョワで、人口の大部分を占める農民たちは、キャベツのスープに岩のように固くなったパンを浸して食っていた。彼らがたまに食える肉と言ったら、保存食の豚肉の塩漬けがせいぜいであった。
ご存知『ガルガンチュワ物語』に、グラングウジェ王が牛を数万頭屠らせ、それを王族、家臣一同で食いつくす場面が出てくる。ただ王は、出産を控えたガルガメル王妃には牛腸料理を食うことは控えるように申し渡す。「糞袋など食うのは、糞を舐めたくて仕方のない奴のすることじゃて」ところが王妃は禁に従うどころか、牛腸料理を数十樽も平らげ、肛門が抜け出てしまう。そこで産気づき、産婆が抜け出た肛門を胎児と間違う騒動の末、めでたくガルガンチュワの誕生と相成る。
ルイ十四世は毎日の正餐を家臣や外国の大使の見ている前で召し上がったという。それは数十皿からなるとてつもなく恐ろしいコースで、もちろん全部平らげるわけでッはない。つまみ食いをするだけである。しかし食事の場は、王の権勢を誇示する場でもあった。ルイ王の食事は材料のいかんを問わず「王のヴィアンドゥ(肉)」と呼ばれた。しかし、料理の大半は、家禽、野禽の料理であった。
ことほどさように、フランス人の肉にかける情熱はすさまじい。しかし、それは逆に、ほとんどの国民が口にすることができなかった食物への羨望のジェラシーとも取れるのである。
それが誰もが肉を食えるようになった今では、老いも若きも、この揚げて焼いてという至極、簡便な料理を毎日のように食う。
ただ、最近では、健康志向の表れか、こうした伝統的な脂っこい食い物は敬遠されつつあり、美容を気にするパリジェンヌたちは、シャルキュットリー(お惣菜や)で買った、サラダなどを主食とする方向に流れているという。
さて、ビフテック・フリットと麦酒は美味かった。お腹がパンパンになるほど食った。 ビールがリンデマンスのグラスに注がれているのは、オカブがこの形のグラスを気に入っているから。
腹が一杯になると眠くなる。このブログを書いて寝ちまうことにする。
冬近し鳥の飛ぶさま寂しげに 素閑
鍋が美味しいですよね、鶏スキ最高ですね。
でもやっぱりステーキは別格。
喉が鳴るような泡の旨さが伝わるようなビールはグラスも一緒に楽しんでいるのですね。
んんっ!贅沢な食卓、垂涎ものです。
本当に冷え込んできました。
ステーキは美味いし大好きですけれど、
冬には鍋に熱燗ですね・・・日本人なら。
どうもステーキはバタ臭くていけません。逆に
そのバタ臭さを味わいたいときにだけ食うようにしています。
食い物にはあまり文句を言わない性質ですが、この辺のこだわりはあります。