日本の公務員の評判は悪い。
昔も悪かったが最近は特に悪い。
公務員の犯した不祥事が表ざたになると、ここぞとばかりにマスコミから批判され、国民の攻撃を受ける。
一時は、公務員の高給が問題になった。民間の賃金平均をはるかに上回ってけしからんということである。国家公務員のお手盛り豪華官舎も問題となった。民間賃貸なら数十万の家賃の物件に数万の天引き家賃で住んでいるというところが、マスコミの逆鱗に触れて、一時、随分のこと集中攻撃があったと記憶している。
財政赤字がここまで顕在化する以前は、予算を消化するためにとんでもない箱モノを作る役人がいた。
一時の、旧社会保険庁の乱脈ぶりにはオカブも憤りを覚えた。
今でも公務員の体質は「遅れず、休まず、働かず」と批判される。確かに行政職の多くはコスト削減の狙いもあって、ほとんど時間外勤務を行っていない。それでも生活が成り立つのだからそれなりの高給であることは間違いのないことであろう。
現代日本の公務員の体質には、非常な問題がある。
そのことを前提にして、にもかかわらずオカブは日本の公務員の資質を評価している。
それは、ある出来事が原因している。
オカブは自営業者だから(一応株式会社の経営者であるが)税金の申告がある。一定の規模の、それなりに儲かっている会社なら、こうした作業は税理士に依頼して、こちら側で行う作業は帳簿をつけるだけなのであるが、オカブ商会は超零細にして、常に潰れるか潰れないかのぎりぎりのところを低空飛行しているので、税理士を雇う金などない。そこでネットや本と取り組んでなんとか申告を行うのだが、そこは素人の悲しさ、まともに申告書、財務諸表を含めても作成できたことがない。
そこでそのできそこないの申告書と、財務諸表を税務署に持って行って申告を行うのであるが、一応、書類は受理してくれるが、そんないい加減な税務申告をまともに承認してくれるほど税務署は甘くない。
そこで後日、必ず呼び出しを食らうのだが、 そこで担当の税務署職員が、実に懇切丁寧に、申告書の誤りを指摘してくれ、修正の手引きをしてくれるのである。担当職員にとって自分の利益に一銭の徳にもならず、申告が間違いだからと言って、いずれにしろ赤字であるので、追徴課税を課すということでもないのに、貴重な時間を費やして、いろいろ教えてくれる。
しかも、その教示の方法が、決してお役所仕事の枠に収まらず柔軟で、筋の通ったものである。これなら納得がいく。
海外の公務員ではこういうわけにはいかない。やる必要のないことには、絶対に手を付けないし、だいたい賄賂を取るのに鵜の目鷹の目である。
アメリカで弁護士が繁盛しているのは、公務員があまりにも行政サーヴィスを怠っていて、そこに付けこみ、アメリカの弁護士は日本の行政書士の業務もできるから、仕事がごまんと舞い込み千客万来の商売になっているという話を聞いた。日本の場合は公務員が手取り足取りやってくれる。弁護士が流行らないわけである。
もちろん日本でもとんでもない公務員や役所はあることはあるのだろうが、一般の公務員のモラルは押しなべて高い。
これは採用時の日本の公務員のスペックが非常に高いということも起因しているだろう。海外の公務員は失業対策事業の対象のような感じに扱われているとも聞いた。逆に、日本の公務員はオーバースペックなのではないかと思うこともある。
家の一人娘も教員で公務員の末席を汚しているが、帰宅はいつも夜中の十二時過ぎ。それから夕飯風呂に入り、その後翌日の授業の準備を始るから寝るのは三時過ぎ。起床は六時だから睡眠時間は毎日三時間弱である。土日は毎週、翌週の教材研究や校務分掌に費やされる。いずれの日かは学校に出勤している。
時間外手当は一円も出ない。将来の展望など何もない。
こんなブラック企業のような過酷な労働環境で頑張っている公務員もいることを知ってほしい。
オオゼキに買い物に行ったら、行者葫の初物が売っていた。夕飯に酒の友に供した。美味かった。
オカブ商会の決算期は5月末日である。また税務署の人にお世話になることであろう。関連する公務員もオカブ商会の重要なビジネスパートナーである。感謝をもって接しよう。
暖かし単衣で過ごさむともすれど 素閑