街に出ると、身体にぴったりのスリムのスーツに、先のとがった靴を履いている青年をよく見かける。
しかしあれはよくない。
スーツも、スリーピース、ダブル、ソフトスーツ、三つボタン四つボタンの寸胴、そしてスリムスーツと流行り廃りがあったが、一番、合理的で機能的なのはブリティッシュ・トラディショナルのツーピースである。
大体、スーツはもう既に伝統が出来上がっているので、奇をてらったデザインで新しい流行を作り出そうとしても滑稽なだけである。
スリムスーツなど余裕がなくて、内ポケットに財布も入らない。
先のとがった靴など論外である。
紳士はスタンダードなストレートチップを履くべきである。
ネクタイは今、色々な幅のものが出回っていて、中には太幅のネクタイとワイドスプレッドのシャツに拳ほどもあるウィンザーノットの結び目をしている輩も見かけるが、オカブはスタンダードスプレッドのシャツにやや細めの普通幅のネクタイにプレーンノットのディンプル付きである。ただ、時々、ナロースプレッドのラウンドカラーのクレリックスのシャツを着ることもある。
結局のところ、着るものは流行を追うよりも自分の好みとセンスで選ぶに如かずである。
流行にとらわれていると真の「カッコよさ」を見失う。
昨今のチンケなファッションを見て思った次第である。
梨の実を親子みたりで分けにけり 素閑
妹こひし梨に語るも麗しし 素閑
梨かじり甘き汁垂れ四方の里 素閑
梨食えば寂しき風の吹くがごと 素閑
老いたれば梨を食うのもしどけなし 素閑
西の方山の国より梨便り 素閑
うるうると水に染めたる梨の実や 素閑
にわか雨かりの宿りに梨三片 素閑
大土間に置かれた鋤や梨一つ 素閑
犬連れた婦人に遭ひぬ梨の礼 素閑
隣家の小僧の使い賃の梨 素閑
朝くれなひ食うもよしとす秋の梨 素閑
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