しましましっぽ

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「生者と死者に告ぐ」 ネレ・ノイハウス

2023年02月11日 | 読書
「生者と死者に告ぐ」 ネレ・ノイハウス  創元推理文庫  
 DIE LEBENDEN UND DIE TOTEN   酒寄進一・訳

ホーフハイム刑事警察署の管轄内で、犬の散歩中の女性が射殺された。
ライフル銃で80メートルの距離から正確に頭部を狙撃されたのだ。
翌日、森に建つ邸宅のキッチンで、女性が窓の外から頭を撃たれて死亡。
数日後には、若い男性が心臓を撃ち抜かれて殺害された。
被害者たちはいずれも他人に恨まれるタイプではなく、動機に結びつくような共通点もわからない。
そして警察署に“仕置き人”と名乗る謎の人物から、死亡告知が届く。
犯人の目的は?
被害者たちの見えない繋がりとは?
刑事オリヴァーとピアが未曾有の連続殺人事件に挑む!
   <文庫本1頁目より>






「刑事オリヴァーとピア」シリーズは始めに読んだ『深い疵』が面白く、他の物語も読んでいる。
少し間が開いて、久し振りのオリヴァーとピア。
オリヴァーがちょっと情けない性格と言うのは思っていたが、今回はピアがこんな性格だったかと驚く。
ピアの捜査は勘が1番で、接した相手が嘘を言っているか真実を言っているかも自分の勘。
相手の印象で先入観が働いて決めている感じもする。
感情の起伏も激しく、なんだか一定しない。
被疑者の取り調べも、先入観で容赦なく、冤罪を生んでしまいそうで怖い。
そんなこんなでなかなか真相に辿り着かない。
実際、事件の解決に繋がるのは、第二の被害者の娘カロリーネ・アルブレヒトが独自に調査したのが大きい。
事件その物は、かなり複雑な問題がある。
これは立場が違えば、全く違う考えを持つ問題。
当事者にならなければ分からない事の様な気がする。
それでも、今回は第三の被害者マクシミリアン・ゲールケが心臓を撃ち抜かれたのは、犯人の動機を考えると納得出来ない気がする。
一応気持ちは書いてあるが、そんなものだろうか。
しかし、この難しい問題に、裏でこんな酷い事をしているなんて。
これでもかと、悪い事が出て来るシリーズだ。

オリヴァーに関しては、今回は事件よりも、6歳の娘に対する態度が良くない。
自分の子どもなのに、愛情は全然感じないのか。
大人の事情でいつも振り回されているゾフィアが本当に可哀そうだ。
そう、ピアも分析官ネフにすぐ敵対心を剝き出しにする。
しかし、ネフにまつわるエピソードはこの物語に必要だったのだろうか。
事件には役に立っていないし、もう少しコンパクトになった方がテンポ良く進んだ気がする。

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