「追想五断章」 米澤穂積 集英社
武蔵野のバス通りにある、菅生広一郎が店主の古書店『菅生書店』。
菅生書店の居候、菅生芳光は広一郎の甥で、資金難で大学を休学していた。
ある日、書店にある本を捜して北里可南子が訪ねて来る。
それは、亡き父親、北里参吾が叶黒白のペンネームで書いた小説が載った同人誌『壺天』。
先日、菅生書店が引き取った中からという情報を得て、訪ねて来たのだ。 . . . 本文を読む
「儚い羊たちの祝宴」 米澤穂積 新潮社
5編からなる短編集。
「身内に不幸がありまして」
孤児院でそだった村里夕日は5歳の時に丹山家引き取られる。
長女、吹子の遊び相手としてだった。
吹子は秘密の書棚を作り、その本を夕日も読んでいた。
木々高太郎、小酒井不木、浜尾四郎、海野十三、夢野久作、江戸川乱歩など。
『マクベス』『夜歩く』『十日間の不思議』、海野十三『地獄街道』 . . . 本文を読む
「悪の教典」 貴志祐介 文藝春秋
町田市北部にある、小野路城跡にある晨光学院町田高校の英語教師、蓮実聖司。
2年4組の担任で、生活指導部。
生徒からは「ハスミン」と愛称で呼ばれる人気の教師。
他の教師からの信頼も篤く、諸々の問題にも積極的に乗り出し、解決する。
蓮実は、そのようにして学院を自分の思い通りに支配していく。
そんな蓮実を2年4組の生徒、片桐怜花は違和感を覚える。
怜花は . . . 本文を読む
「女友達」 新津きよみ 角川ホラー文庫
インテリア・コーディネーターの今村千鶴は29歳で独身。
賃貸しマンション、1LDKの部屋は自分の好みでまとめあげている。
仕事も充実し、自分だけの愛しい空間。
その中で一つだけ、ベンチ型のチェストだけがそぐわない。
それは2年前に別れた恋人の吉川智樹が持ち込んだ物だった。
千鶴は、智樹への思いも断ち切る為に、チェストを捨てるこ . . . 本文を読む
「夢幻花」 東野圭吾 PHP研究所
蒲生蒼太の家では毎年七夕の頃、家族で台東区入谷の朝顔市を見て鰻を食べるのが恒例になっていた。
14歳の蒼太はそれが憂鬱になって来ていた。
13歳年上の兄、要介が不平を言わないのも不思議だった。
大学生の秋山梨乃は従兄弟、鳥井尚人を自殺で喪った数か月後に祖父を喪う。
祖父、秋山周治は自宅で日中に殺され、第一発見者が梨乃だった。
梨乃は周治が育てて . . . 本文を読む