「盤上の向日葵」 柚木裕子 中央公論新社
平成6年8月。
大宮市内から北に15キロ離れた小高い山、天木山。
そこで死後3年ほど経った白骨が発見される。
性別は男、推定年齢40~50代。
殺されてから埋められたと判断され、死体遺棄事件として捜査本部が立ち上がる。
そして、遺体と共に発見された将棋の駒に注目が集まる。
それは、初代菊水月作『錦旗島黄楊根杢盛り上げ駒』で、値段を付けるなら60 . . . 本文を読む
「犯罪小説集」 吉田修一 角川書店
5編からなる短編集
「青田Y字路(あおたのわいじろ)」
「曼珠姫午睡(まんじゅひめごすい)」
「百家楽餓鬼(ばからがき)」
「万屋善次郎(よろずやぜんじろう)」
「白球白蛇伝(はっきゅうはくじゃでん)」
いくつかは、実際にあった事件を思い出させた。
どうやら全てがそうだったようだが。
実際に起こった事件を元にしているが、やはり物語 . . . 本文を読む
「死の臓器」 麻野涼 文芸社文庫
熊本県A市の日野誠一郎は聖徳会日野病院の医師で、泌尿器科の部長をしている。
ある日、日野医師は、A警察より、任意の取り調べを受ける。
容疑は、「臓器売買」の疑いだった。
日頃、日野医師は、人工透析患者を担当し、日本における「臓器移植」の困難に直面していた。
手をこまねいて、死を待つばかりの患者に、日野医師は、レストア・キッドニ(修復腎)、がん患者 . . . 本文を読む
「慈雨」 柚木裕子 集英社
神場智則は42年勤めた警察官を定年退職して直ぐに、妻の香代子と一緒に四国八十八か所の巡礼に出る。
刑事として26年、その時自分が関わった事件の被害者供養の為だった。
そして、その中には悔いを残す事件もあった。
巡礼はすべて徒歩なので、1人で行くつもりだったが、香代子は同行すると言ってきた。
巡礼1日目を終えた宿で、テレビで知ったニュースに神場は動揺する。
そ . . . 本文を読む
第101回全国高校野球選手権大会
決勝戦
星稜 3-5 履正社
どちらが勝っても初優勝だったが、履正社に軍配。
星稜は奥川投手が開幕前から注目され優勝候補。
順調に勝進んだと言えるのだろう。
1回戦の旭川大との試合は1-0の勝利。
北海道を応援している自分としては、1回戦でいきなり注目の投手との対戦でどうなることかと思ったが。
結果は、惜しかった、だった。
だから、その後何となく星稜を応援して . . . 本文を読む
「望み」 雫井脩之 角川書店
埼玉県戸沢市で建築デザインの仕事をしている石川一登。
自宅の敷地内に事務所を構え、自宅をモデルルームとして客にも見せていた。
家族は自宅で校正の仕事をしている妻の貴代美と高校1年の息子・規士と中学3年の娘・雅。
規士は客が来ても不愛想な態度を取るようになり、それが一登には少々不満だった。
9月の週末、規士が2日帰って来ず、連絡も取れなく心配していた時、戸沢 . . . 本文を読む
「護られなかった者たちへ」 中山七里 NHK出版
仙台市の福祉保健事務所課長・三雲忠勝が行方不明になり、半月ほどして無人のアパートで死体で発見される。
死因は手足を拘束され餓死だった。
金品は残されており、残酷な殺害方法から怨恨が疑われた。
しかし、家族も職場の人間もそれを否定する。
三雲は生活保護申請の決裁者であり、その事で恨まれたのではないか。
捜査に当たる笘篠と蓮田刑 . . . 本文を読む
「ニュルンベルク合流 「ジェノサイド」と「人道に対する罪」の起源」 フィリップ・サンズ 白水社
East West Street 園部哲・訳
第二次世界大戦後、ドイツの戦争犯罪を裁く為の法律を整備した2人。
国際法教授のハーシュ・ラウターパクトは「人道に対する罪」を国際裁判に初めて導入する。
法律家のラファエル・レムキンは、人種や民 . . . 本文を読む
「死刑囚」 アンデシュ・ルースルンド&ベリエ・ヘルストレム RHブックス+プラス
Edward Finnigans Upprattelse ヘレンハルメ美穂・訳
冬の朝、ストックホルムで起きた傷害事件。
単純な事件だった……逮捕された男が、6年前にアメリカの監房で死んだ死刑囚とわかるまでは。
恋人を殺し、死刑囚となった男だったが、刑の執行を待たずに独房で . . . 本文を読む
「兄弟の血 熊と踊れⅡ」 アンデシュ・ルースルンド&ステファン・トゥンベリ ハヤカワ・ミステリ文庫 上・下巻
BJORNDANSEN ヘレンハルメ美穂 羽根由・訳
獄中で男たちが出会った。
ひとりは連続銀行強盗犯。ひとりは終身刑の殺人者。
共通点はふたつだ。“兄”であること。そして市警のヨン・ブロンクス警部を心の底から憎んでいること―
時を経て、檻の中で育まれた復讐計 . . . 本文を読む