しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「烙印」 天野節子 

2011年08月27日 | 読書
「烙印」 天野節子     幻冬社

2010年9月3日。
兵庫県養父市の農家の畑から、25年から35年経過した白骨体が発見される。
頭蓋骨の様子から殺害された可能性が高いと推測された。
近藤雅彦刑事は、何とか白骨の身元を判明しようと、昔を知る人たちから話を聞く。
2010年11月9日。
東京都豊島区千早町の小さな公園で、縊死体が発見される。
自殺かと思われたが、状況から殺人と推測される。
被害者は遺留品から、久保田和夫、61歳。住所は兵庫県養父市と知れる。
駆けつけた久保田の姉、横山菊枝から、白骨体の事を聞く。
戸田刑事は、久保田と白骨体に意味もなく繋がりを感じる。






前半は、年代の違う2つの殺人ががどう繋がっているのかに興味が行く。
もうひとつ、慶長14年のスペイン船難破の話もあり、これがどう係わるのかも。
タイトルの“烙印”はこの時の事からだろうから。
丁寧な捜査で、少しずつ分かっていく面白さ。
そして、殺人犯の予想は早いうちに付く。
後半は、アリバイ崩しと言うか、その時の行動を立証することがメイン。
いくつもの推測や時間割り。
どう移動したかなど、時刻表が出てくると、松本清張のようだと思ってしまう。
完璧だと自信を持っていた犯人。
まさかそんなことに気が付くのかと感心させられる、戸田刑事の観察力。
そして気になったのは、動機。
動機をあまり気にしないという河合刑事。こだわる戸田刑事。
動機のひとつは、直ぐに分かる。
前に、似た物を読んでいたからだろう。
しかし、もうひとつは思い浮かばなかった。
読んでいて、動機が1番知りたいことになっていたので、気になりラストまで一気に読めた。

突っ込み所は。
いつまでも『麗麗』を持ち歩きは、しないのではないか。
ただ名前が出ているだけなのだから。
相手が殺意を持っているのを、全然気が付かないことがあるだろうか。
そして、始めの方に書かれたシーンで、出てくる“例のもの”は何だったのだろう。
処分して置くというのは、何かの証拠になるものだと思うが、それは何。
そして、考えると、本当に殺さなければならなかったのだろうか。
久保田にも弱味はあるのだから。


慶長14(1609)年のスペイン船難破が書かれている。
御宿の“月の砂漠”の像は、1度見てみたいと思っていたが、メキシコ塔は知らなかった。
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2 コメント

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『烙印』読みましたよ! (やっくん)
2012-01-19 10:35:17
はじめまして!
私も天野節子さんの『烙印』読みましたv(^^)v
江戸時代からのロマンを感じさせる壮大なミステリーでしたねぇ~♪
『氷の華』といい、気になる作家です。
TBしていきますので、よろしくお願いしますm(__)m
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鮎のささやき (しましましっぽ)
2012-01-19 23:24:57
コメントありがとうございます。
やっくんのブログも読ませていただきました。
鮎のささやきって、本当にあるんですね。
他のことも、参考になりました。ありがとうございます。
ドラマ化の話があるんですね。
ドラマ向きな物語のような気がするので、私も楽しみにしたいです。
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