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しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「ハードラック」  薬丸岳 

2012年07月01日 | 読書
「ハードラック」  薬丸岳         徳間書店

25歳の相沢仁。
母親の再婚で、家庭に居場所をなくし高校を出て働き始める。
しかし、うまく行かず、ネットカフェ難民となっていた。
何とかやり直しをしようとしていたが、詐欺にあってなけなしの所持金を失う。
失意の中、あまり考えずに闇サイトの掲示板に書き込みをする。
『仲間求む。
今の生活にもがき苦しんでいる人たち。
一発逆転を狙って一緒に大きなことをやりませんか。』
これを見て集まった5人の男女。
ジン、バーボン、テキーラ、ウオッカ、ラムと愛称で呼び合う。
そして、バーボンが持ち出した話で、中軽井沢にある屋敷の金庫に入っている1千万円を奪う計画をたて、実行する。
“人を傷つけることはしない”
そう約束したはずなのに、仁はその場で誰かに殴られ昏倒。
気が付いたら、外に倒れ、屋敷は炎上して側には血の付いたナイフが転がっていた。
そして、その屋敷で3人の死体が発見される。
仲間はどこに居るのか分からない。
このままでは自分が犯人にされると、仁は仲間だった人間を探し始める。





相沢仁という人物。
人を信じて騙され損をする。
まともに生活したいという思いが強く、とても普通の青年。
だが、お金の為に犯罪だと分かっていることに手を染めてしまい、自分を嫌悪する。
そこで思い止まるのだが、また犯罪の方へ傾く。
それでも、“人を傷つけない”ことを1番気にしているところが、やはりいい人なのだと思う。
殺人犯にされかけているのに、また人を信じて頼る性格に、それで大丈夫と心配になる。
あまり、好ましく感情移入出来る人物ではないが、気になる。
どう窮地を抜け出すのだろう、と。
結構大変な事件だが、実際にありそうで、無理はなくすんなり物語に入り込める。
殺人や逃亡といった重い事件のわりと軽い雰囲気だったが。
最後に真相が分かるにつれ、暗い気持ちになった。
これも実際にありそうなこと、なのだろう。
振り込め詐欺は後を絶たない。
遊ぶ金の為に、弱者から奪い取るなんて、許せない。
正直に生きて居る人間が、幸せになる社会。夢の話になってしまったのだろうか。

ジン、バーボン、テキーラ、ウオッカ、ラムなんて、名探偵コナンを思い出す。
仁は嫌がっていたけど。


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