散歩絵 : spazierbilder

記憶箱の中身

金剛石

2006-04-21 07:45:33 | 思考錯誤
朝早く外に出ると、オダマキの葉の上にぴかりと光る物がある。
近づいて見れば大粒の金剛石だ。
誰からの贈り物?



宮沢賢治の「十力の金剛石」を思い出した。

  
  雨があられに変ってパラパラパラパラやって来たのです。
  そして二人はまわりを森にかこまれたきれいな草の丘の頂上に
  立っていました。
  ところが二人は全くおどろいてしまいました。
  あられと思ったのはみんなダイアモンドやトパァスや
  サファイヤだったのです。おお、その雨がどんなにきらびやかな
  まぶしいものだったでしょう。・・・ 
宮沢賢治-十力の金剛石


朝露が使われている歌は多い。
万葉集の中にもいくつもあるようだが
-月草に衣は摺らむ朝露に濡れての後はうつろひぬとも-作者不詳
と言う詩があった。
月草とは露草の事だ。露草の青色は水に浸すと消えてしまうので、友禅の下書きに使われると聞いた。
露草で衣を染めても、美しい青は朝露にぬれて消えてしまう。それでも露草で染め上げた衣は美しいだろうね。淡い青色の煙の様だろうか?
朝露の触れた軌跡が青い衣の裾模様を描いてゆくなんていうイメージも素敵だ。
露草の咲く夏の空気を思い出す。

あっという間に消えてしまう泡沫の夢のようなものだからこそ、より美しいのかもしれない。

朝露の話がどこか飛んで行きそうになった。
つまり、今朝思ったことは一つ。
ダイヤモンドは美しいかもしれないが、朝露だって美しさにかけては負けない。




しずくの写真もう一枚