針葉樹の一角が不思議な柔らかさを持っていた。暗くて手ブレがしたが、この一枚はその時の雰囲気を持っているので捨てがたく残しておく事にした。一眼レフを持っていたら良かったなあ、と後悔したが身軽に散歩したかったので仕方ない。
それにしても昨日の森は何時にも増して綺麗だった。
黄や紅に色付く葉から透過される光は踊っている。太陽が雲間から顔を出すたびにふわりと辺りが明るくなるのはまるで森が呼吸をしているかの様だ。薄暗い針葉樹の固まる一角は薄灰青緑の靄がかかったようで小枝は灰色の産毛。
この森は小さな森だし、休日など人出も多いので迷子になって帰れない事態に陥る事も無いだろう。例えば夜に入り込んで湿地のくぼみにはまるとか、小川に落ちるとか、自分の生んだ妄想に追われて勝手に木に頭をぶつけるとか、そんな事がない限りは問題ない。
とは言え森の中で茸なぞ探しながらうつむき加減でザクザクと歩いていると方向がわからなくなってくるので、ヘンデルとグレーテルの気持ちが少しわかってくるというものだ。
さてその茸。
今回の収獲はムラサキシメジである。
この茸は同定しやすい。どうやら既に収獲をした人がいたらしい形跡があったがまだ沢山新鮮な奴等が顔を出しているので少しだけ頂いてきた。
これは生食は中毒を起らしいが火を通せばとても美味しい茸だ。
ムラサキシメジと、ナラタケをほんの少しバター炒めにして夕飯の一品に加えた。
スッポンタケ(↓写真上左端)の幼菌も沢山見かけたけれど、これは中々食べる気にはならない。
食べ方によっては悪くないという人もいるようだが本当の所はどうなのだろう? やっぱり一度は試すべきなのかな?
ちなみに、一眼レフも持たず身軽に散歩などと言いながらしっかり鋏と袋は携帯していたのでした。