ERYSIMUM VARIEGATA
痩身小柄の藤と紫と白のキャットミント
我家の栄養不良気味の藤が花を開き始めた。
先だって中国人の友人のアトリエオープンドアーに出かけた。
彼女のアトリエと自宅の中庭は地中海風の雰囲気があって、丁度日当たりもよく気持ちが良い。陽だまりなのだ。おかげで葡萄もぐんぐん伸びて山ほど実る。
そして藤が見事に咲いて実に美しい。藤の幹が数本編みあがり美しいカーブを描きながら左右に伸び、それにしたがって花房が鈴なりに垂れて、あの藤の波を眺めながら仕事をするのはなんと素敵で贅沢なことだろうか、と少しうらやましくもあった。
しかし、我家の藤もがんばっている。今日はアトリエには出かけずに藤を眺めながら自宅で作業をしようかと思う。贅沢な気分になるのだ。
しかし、作業をし始めて間もなく仕事にならないことに気がついた。
”そういえば、あの西洋苧環はアブラムシがよくつくのだっけ。。” →→→
アブラムシ退治を終えて部屋に戻る。さて作業の続きを。。。
”あの薔薇の葉は痛んでいるから摘んでおこうか。。。” →→→
薔薇の葉を片付けて部屋に戻る。あれ、何をやっていたのだっけ? そうそう。。。
”あの葉の様子は。。。ひょっとして食われてる?何かいるのか?” →→→
目を皿にして葉裏などを点検し、虫を箸でつまんでは袋に放り込む。日本人の箸使いはこういうところでも利点だなあ。。。
”ところで、あのすずらんはあんなところに埋まって見えやしない。折角だからちょっと切り花で楽しんだほうがいいかな。。。” →→→
相変わらず良い香りだなあ。
”お?あそこに見えているのは何だ?” →→→
”え?あの花が消えた。。。?” →→→
”む?あそこにピンク色の花なんか咲いてたっけ?” →→→
”ふふふ、薔薇の蕾が沢山あるなあ”
何をやろうとしているのだ、私は?
。。。ああ、そうそう、花の写真を撮っておこうと思ったのだった。。。っけ?
じゃ、すずらんの香りをいただきながらお茶でも入れて。。。
花の香りに惑わされて呆けているともう昼だ。
これじゃあ、仕事が進まない。やっぱりアトリエに行こうか。。。
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と、うろうろしながらちっとも優雅ではないひと時。
でも、贅沢な時間だ。