2087冊目はこの本。
今村弘子『北朝鮮「虚構の経済」』(集英社新書、2005年)
書棚というか、我が家の倉庫みたいなところに置いてある古本を整理するなかで見つけて、あらためて読んだ本。おそらく今と状況はそれほど変わっていないと思う。甘い見通しにもとづく計画的経済運営の「失敗」という点でいえば、それは北朝鮮だけでなく、他の国々においてもありうる。なにしろ第二次大戦前後くらいから、程度の差こそあれ、資本主義国においても政府のつくる成長戦略や経済政策などにもとづいて、計画的に経済運営が行われてきたところがあるから。ただ、その「甘い見通しにもとづく計画的経済運営」の「失敗」が見えたときに、それをどう処理するのかという部分で、他の国々と北朝鮮との間での対応の差が大きくて、その差がさらにどんどん拡大しているのではないか・・・と、この本を読んで思った。要は「政府が経済運営の失敗を認めて、軌道修正を図る」ことができるかどうか、という点なのだが。ついでにいうと、この日本という国であっても、時の政権が経済政策に失敗して、それを認めて退陣することがなければ、経済情勢の悪化は延々と続くことになるだろう。