■4月1日 朝日新聞朝刊 読書欄
先日、目白の徳川ビレッジを紹介しましたが、
このビレッジ内にある「徳川林政史研究所」編集の
「森林の江戸学」(東京堂出版2940円)が紹介されていました。
書評は法政大学の田中優子教授。
そもそも林政史研究所なるものは何かとHPで調べたところ、
戦後の深刻な森林危機に対処し、国土の緑化と森林蓄積の回復へ貢献するべく、江戸時代の林政史を中心に所蔵史料の特質を生かした研究を進めている。 また、林政史の分野はもとより、所蔵史料の利を生かして、尾張藩の研究や江戸幕府に関する研究などもあわせて行っている。ところのようです。
詳細は以下のURLで↓
http://www.tokugawa.or.jp/institute/
話は本題に戻って、
今回刊行された本は、この林政史研究所の長年の蓄積を集めたものだそうです。
戦国時代から江戸の初めまで、日本はやはり過剰伐採を行っていたこと。
しかし、その結果洪水や土砂災害が起こるようになり、幕府は「山川掟(さんせんおきて)」
という達書を出し、草木の根を掘り返すことを禁じ、苗木を植えるように促し、国土の保全と災害防止を念頭に置いた治水。治山に取り組んだこと。
諸藩も立木の伐採を禁ずる留山(とめやま)を定め、順番に伐採する輪伐制度をつくり、
植林令を出すなどして、江戸時代に日本の山を見事に再生したこと。
戦後の復興期から高度成長時代に、日本の山は、森林の過剰伐採が起こり、
奥地の開発と人工造林が進められ、広葉樹林からスギ、ヒノキなど針葉樹林へ転換したこと。
雪で倒れてしまうスギやカラマツが豪雪地帯に植えられたこと。
金もうけが先に立つと自然の摂理がわからなくなること。
そして輸入木材の時代が来て、今度は手入れをしなくなり、森林崩壊が始まったこと等々
この本は、概説論と基礎知識論で編まれていて、
江戸時代の伐採道具から運搬方法、流通、樹木ごとの用途など、きわめて具体的で、自然とどのようにかかわって森林を再生させたのかがよくわかるらしいです。
おもしろそうな本ですね。