本日の雨、先日に続いて雪にならないと良いのですが・・・
と思ったら白いのがチラホラ混じってきましたよ!
先々週の雪もまだ一部残っているんですがねぇ・・・
「残ってる」、と言えば去年こちらには未掲載の10月・11月分のブックレビュー。
ここらで一気掲載を。
昭和三十年代の匂い (ちくま文庫) | |
岡崎 武志 筑摩書房 2013-05-08 売り上げランキング : 345569 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
2017/11/20
そうだよなぁ。昭和三十年代のことは知らないけれど、四十年代はまだまだ匂いがあった。(筆頭は汲み取り式のアレですね)我が家でも風呂なしアパートに住んで銭湯は二日に一遍だった。大家さんの家によくお風呂をもらいに行った。近所の職人や工員の兄ちゃんからはムンムンするような男の匂いがした。舗装してない道も沢山あった。でも、誰もクサイとかキタナイなんて言わなかった。今や寛容という語も死語になりつつある人口150万の指定都市でのハナシ。
居酒屋兆治 (新潮文庫) | |
山口 瞳 新潮社 1986-03 売り上げランキング : 456280 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
2017/11/15
「血族」で山口瞳にやられて本作。・・・が、良くも悪くも映画「居酒屋兆治」の原作、という呪縛からは逃れられないのかと。私なぞは映画は見ていないのですが、当時流れていた映画CMの影響で脳内の兆治=健さんが確立してしまっています。これが読み進めるうえで相当な枷になったと思います。悪い人にギラリと光る存在感を持たせるのがフィクションを盛り上げるポイントかと思うんですが、本作は善い人が多数が登場し、しかもなぜそこでもっと騒がないのか、と、もどかしい気持ちばかりが募ります。
バーボン・ストリート・ブルース (ちくま文庫) | |
高田 渡 筑摩書房 2008-04-09 売り上げランキング : 226072 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
2017/11/10
「自衛隊に入ろう」以外は高田渡について知らなかった。破天荒なオヤジさんの血を受け継いだ一本芯の通ったヒトだったのだ。金子光晴、永山則夫等々の面々に半ば強引に詩をもらい曲を作った行動のヒトでもあった。歌と酒と友を愛し、歌と酒と友に愛された男でもあった。
ロビンソン・クルーソーを探して (新潮文庫) 高橋 大輔 新潮社 2002-06 売り上げランキング : 260574 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
2017/11/05
ロビンソン・クルーソーにはモデルとなった男が実在した。彼の足跡を辿っての著者の渾身の追跡行。モデル氏は実のところかなり奔放なかた。各国が公に海賊を雇い、活躍させていた時代の話ですから、そのあたりの話は中々に楽しい。単行本の時点では単にそこまでの作品・・・だったのですが、文庫版では何とその後の大きな発見が!一章まるまる追補されています。まさに著者の執念です。最後は少し環境についても考えさせられました。
せつない手紙―こころを伝える綴り方講座 (ちくま新書) | |
小嵐 九八郎 筑摩書房 1999-10 売り上げランキング : 1854875 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
2017/11/01
著者が著してからやがて20年の月日が経ちますが、この間の手紙文化の衰退振りはもはや壊滅的。メールを始めとする電子的通信手段の発達によるところは致し方ありませんが、どうも、相手を思いやる気持ちの部分での国民的な衰退が進行しているのではないかと推測されます。本当に気持ちを伝えたかったら対面する。どうしても対面が難しい時の代替手段として「手紙」は発達してきたのだと思いますが、電子メールにはまだまだ「手紙」にとって代わるだけの「格」は備わっていないのだと考えております。せつない手紙を書けるような人に私はなりたい。
ここまでが2017年の11月分レビューです。
以下は遡って10月分のレビュー。
土の中の子供 (新潮文庫) | |
中村 文則 新潮社 2007-12-21 売り上げランキング : 36016 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
2017/10/20
うーん、芥川賞選考委員の仕事というのは鋭い。仏師が木を見て「仏が埋まっている」のが見えるように、本作を読んで「掏摸」を書き、その後も話題作を連発することとなる中村文則という作家を見透かしていたとは。人によっては読むに堪えないような内容が続き、カタストロフを迎える。しかし、カンダタの目の前に垂れた一筋の蜘蛛の糸のような微かなる光明を差し込ませておくことも忘れないことが中村作が支持される理由なのではないかと思う・・・
大人失格―子供に生まれてスミマセン (光文社知恵の森文庫) | |
松尾 スズキ 光文社 1999-08-01 売り上げランキング : 90011 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
2017/10/15
とんでもなく積み続けてしまった本。でも、内容は今や昔なんだけれども読んだら意外やオモシロかった。書いている松尾スズキさん自身がまだ若く、よりエキセントリックであり、権威ではなかった時代の話である。
惜春 (講談社文庫) | |
花村萬月 講談社 2006-04-15 売り上げランキング : 86863 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
2017/10/10
久し振りに萬月氏作。騙されて雄琴のトルコ(注・現ソープランド)で働かされる羽目になった佐山君。彼の身に起こる悲喜劇。以前、どこかのレビューで萬月作品を評して「オヤジのラノベ」と言いえて妙な表現を目にしましたが、本作もそういった体かと・・・(ラノベというものを読んだことが無いのであくまで想像です)気になるお姉さまとはやがてなるようになり、苦くてしょっっぱかったであろう作者の青春時代を投影した、最後は願望を達成していくオハナシに仕上がっています。読後感は悪くないです。
ホテルローヤル (集英社文庫) | |
桜木 紫乃 集英社 2015-06-25 売り上げランキング : 10264 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
2017/10/05
第149回直木賞受賞作。釧路にかつて存在したラブホテル「ローヤル」。この架空のホテルを巡り、時間をさかのぼる形のオムニバス。今や廃墟になってしまたローヤルにかつて集った寄る辺なき人々について、寂しさ、切なさをを漂わせ描く。しかし、ありのままである事を認める優しさをトッピングし、あたかも異国の物語を読んでいるような気にさえさせる筆致。ももよんさん描くところの表紙イラストもホッパー作「朝の日ざし」(1952)ダークバージョンといった風情で印象的・・・
プラントハンター 命を懸けて花を追う (徳間文庫カレッジ) | |
西畠清順 徳間書店 2015-01-07 売り上げランキング : 76999 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
2017/10/05
植物に賭ける情熱と家業を継ぐ者としての自負は伝わってきたが、タイトルから期待していた話ではなかった・・・。角幡雄介氏の「空白の五マイル」に登場する二十世紀初頭英国のプラントハンター、フランク・キングドン=ウォードのように人跡未踏の地に分け入り、未知なる植物を求める。こういう話期待していたんですが。四方山話として気軽に読む分にはよろしいかと思います。
年末・年始は風呂読書で何冊か水没させてしまいました・・・不覚にも!
普段はそんなこと無いんですがねぇ~~
にほんブログ村
で、その印象をそのまま持ちたいので映画は見ていません。
だけど今となってはどんな内容だったのか思い出せません(笑)
最近はTVドラマや映画にするのが多くて危険ですよね。
私はキャスティングを見ただけで、映像も本も諦めることがあります。
おっしゃる通り。
映画化でイメージ壊されちゃうこと多数。
キャスティングもさることながら、ストーリー解釈も制作者のフィルターかけられ、原作とかけ離れる事しばしばですね。
映画だけ観て本は読まなけりゃいいんですが(笑)
まだ十数ぺ-ジですが「漂流」吉村昭著を思い出しております。
「漂流」読まれました?なかなか読み応えありでしたよ。
今晩は(^^♪
「ロビンソン・・・」は文庫版がお勧めですよ!(追補されている章がとても良いのです
。)
「漂流」もとても良かったですよね。吉村昭も読み散らした時期がありまして、「深海の使者」なんか良かったですね。(どちらも心願成就した後の寂寥感いっぱいの作品でした)
カテゴライズできるほど「漂流もの」ありますが、極限を描いたものはどれも秀作。次は角幡雄介の「漂流」を狙っています♪