■ 聴くという表現
最近、コミュニケーションに関する書籍やセミナー・講座がたくさん出てきている。今、必要なテーマということだろう。しかし、読んだり受講したりしたとしても確実に身についているだろうか?日本人は、Input は得意だが、Output は苦手といわれている。さて、あなたは?
相手への気持ちをたくさん持っていても、表現しなければ、相手には伝わらない。だが、言葉によって伝わるのは、2~3割といわれている。逆にいえば7~8割は言葉以外のもの。言葉以外のものとは、表情や目線、視線、姿勢、距離、座り方。また、声の大きさやトーン、話す速度、声の印象、抑揚、間のとり方なども重要な要素である。
コミュニケーションの中でも、特に大事だといわれているのが、話すではなく、聴く(傾聴)。上手く聴く表現の方法を身につけることは、意思疎通を図る基本である。
■ 聴いてもらえているかは一瞬
聴くは言葉以外のものが大半を占めるコミュニケーションテクニックだが、ただ、例えいくら相手の話を一言一句逃さず熱心に聞いていたとしても、じっと耳を傾けているだけでは、相手は聴いてもらっているとは感じにくい。
そこで、聴くときの“うなずき”“あいづち”を取りあげてみる。“うなずき”は首を縦に振るしぐさ、“あいづち”は「うん」など短い言葉での反応であるが、注意すべきことがある。
“うなずき”が多過ぎると、単にうなずく癖をもっている人なんだと思われてしまう。相手の話の重要なところや語尾でうなずくと、聴いてもらえていると感じやすくなる。また、納得、同意しない箇所については、うなずかずに首を傾げるなどの動作がよい。
“あいづち”の言葉にはプラスのものとマイナスのものがある。相手の話に同意や肯定的な“あいづち”として「そう思います」や「そうですね」 相手の話を受け止めたことの“あいづち”「そうですか」「なるほど」 これらは話しやすい人だと相手に思ってもらいやすくなる。一方、素っ気ない“あいづち”「あっそう」「ふーん」や「はいはいはい」は、話し手の気持ちを削いでしまう。
さらに、注意したいのは“ながら聞き”。パソコンを打ちながら、新聞や雑誌を読みながら、別のことを考えながら聞くと反応が薄くなったり、無反応になったりする。相手は真剣に聴いてもらえていないと感じてしまうが、感じるのは一瞬。数秒もいらない。特に、会話の最初が肝心だ。
お読みいただいてわかるとおり、高度なスキルなど必要ない。ただ、これらをやれるかどうかだ。今できなかったとしても身につけようとしているか。そして、研修などで他人にチェックしてもらうのもよいだろう。