STEP UP その一歩一歩を応援します

人事マネジメント研究所「進創アシスト」からの情報発信

■コラム■ 共通の言葉、異なる背景―コミュニケーションの奥深さ

2023-09-16 06:39:00 | 人事マネジメントの視点
 
私の枠組みと相手の視点
私たちは常に自分の枠組み内で物事を考えがち。しかし、同様に相手も独自の視点から物事を眺めており、我々の枠組みを超えていることを忘れてはならない。
同じ言葉を使用していても、その裏に隠された意味は異なることがある。例えば、「リンゴは赤い」という言葉でも、私が真っ赤な色を思い浮かべる一方、相手は薄い赤色でグラデーションがある色彩をイメージしているかもしれない。
「~して欲しい」という要望や依頼は、具体的で分かりやすい表現が必要だが、その具体をなかなか思いつくがないこともある。自分では具体的に説明しているつもりでも、抽象的な表現や程度を示す言葉が含まれていることが少なくない。例えば、「ちゃんと」や「しっかり」といった言葉の裏にある意味を正確に説明するのが難しいとすれば、それは、自分自身がまだ完全に理解していないということを意味している。

効果的なコミュニケーションの鍵
相手に対して求めていること、その要求がいつまでに達成されるべきなのか、どの程度の成果を望んでいるのか、その理由は何かを明確にすることが大切。そして、「どの程度」についての基準や境界線を設定する際には、成果のレベルなのか、目標達成するまでの時間なのか、協力関係の中での貢献度合いなのか、コミュニケーションの際にはこれらの要素を考慮することが欠かせない。
また、コミュニケーションを行う際、冷静でゆっくりとしたトーンで伝えるつもりでも、相手には感情的で急いでいるように受け取られることがある。表情や話す速さなどの非言語コミュニケーションも重要であり、それが相手の理解に影響を及ぼす。そのため、フィードバックを受けたり、自分の話し方を録画したりして自身のコミュニケーションスタイルを振り返ることをお勧めしている。

受け取り方が異なることを意識して
自分のイメージと他者の受け取りが異なることを前提として、他人とのコミュニケーションを効果的なものにするために、相手の視点や受け取り方に配慮し、適切な表現や非言語コミュニケーションを工夫することが求められる。多様化が進んでいるこの時代にはより意識して、異なる枠組みを超えて、より豊かなコミュニケーションを築いていこう。そのためには、まず自己理解だ。
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■コラム■メンタル回復のヒント

2023-08-16 06:39:00 | 人事マネジメントの視点
下がった(落ち込んだ)気持ちはある程度時間が経つと普通は解消されるが、長引くとメンタルに影響する。そこで、その影響を小さくする方法を紹介しよう。
 
気持ちが下がってきているとき
私たちは、基本ネガティブ思考でできていると言われている。生きるためには、危険を察知する能力が欠かせないため、ポジティブ思考よりもネガティブ思考の方が強いそうだ。ただ、ネガティブを自分勝手に膨らませていることがある。都合の悪い出来事が続くとつい、「なにをやってもダメだ」と思ってしまう。そのとき、「それってホント?」と考えてみる。
ネガティブ思考を膨らまさないためには、この言葉が効果的。そうすると気持ちの下がる度合いが少し緩やかになる。客観的に自分の置かれている状況を確認できるのだ。
注意点は、下がってきている気持ちを否定せず、素直に受け止めること。ウソをついてしまうと逆に辛さが増してしまう。
 
気持ちの底を上げる
いつまでも気持ちが落ち込んで底がない、ということは基本ない。底はあるし、上に向く時期はくる。ただ、かなり低い位置まで下げないと上に向かないのだろうか。何も手を加えない場合は、そうなるかもしれない。しかし、下がった気持ちを上に向ける時期を早めにすることはできる。
方法は「100点か0点かではなく、いま何点だろうか? 40点ぐらいはありそうだ」と考えてみる。目に見えない気持ちを見える形にしてみるというやり方だ。最初は低く点数をつけがちだが、何度もつけてみると、点数は上がってくる。これも客観的に自分を確認する方法になる。
 
早めにもとに戻す
気持ちが底を打って、上に向いてきたら、普段の状態まで戻す時間を少し早くする。それには、「小さなことをやって、出来たという達成感を味わう」こと。遠い先ではなく、少し先を見るようにスモールステップを作って、出来た(やれた)感を味わい、自分にプラス評価を出す。小さくても1歩ステップ踏めれば2歩目に進める。要は、動きだすこと。何だそんなことかと他人が思うようなことでよい。自分だけで出来たことを感じればよいので、些細なことで構わない。例えば「毎朝、ラジオ体操をする」出来たら自分にOKを出す、みたいなこと。些細なことでも重ねると自己肯定感が高まり、戻りが早くなる。
 
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■コラム■「頑張れ」は逆効果?

2023-07-16 07:39:02 | 人事マネジメントの視点
「頑張れ」という言葉の複雑な感情と意味合い
「頑張れ」という言葉は私は好きではない。言われるのも嫌だし、言うのも嫌だ。理由は、相手に向けて「頑張れ」と伝えることで、自分自身に対して努力が足りないと言われている、相手に対して言っているように感じるから。メンタル不調の人に対しては使ってはいけない代表的な言葉であるのは、そういう理由からだろう。
しかし、一方で「頑張れ」という言葉は、応援の意味合いで使われることもある。例えば、スポーツの競技者に対して声援として投げかける場面などでよく使われる。彼らを奮い立たせるために使っているのだろう。それは声をかけることで、相手に自信やエネルギーを与えることができるからで、選手からは「頑張れという声が励みになった」という感想もよく聞くことがある。
また、深い意味を持たずに軽い挨拶のような意味合いで使われることもある。習慣として定着しているのかもしれない。

多様化が進む中での「頑張れ」の使い方
「頑張れ」は、曖昧さが強い表現。以前、日本では考え方が同質的な傾向が強かったため、受け手もある程度の理解をしていた。しかし、現在はさまざまな環境や状況が生まれ、多様な価値観を持つ人々が増えたため、従来の使い方では十分ではなくなってきている。よって、「頑張れ」を使う際には、相手の状態や状況、関係性に応じて使う必要が出てきた。無意識のうちに使ってしまうことが多いが、これからは少し意識することが大切だ。もし、相手の状況や気持ちがよくわからない場合は、「大丈夫?」や「何かできることがあれば言ってね」など、相手の話をよく聞いて、寄り添う言葉をかけるようにするとよい。

相手の状況や気持ちに合わせて言葉を選ぶ
また、決まったパターンではなく、類似のいろいろな言葉を持っておくと、その場や状況に相応しい使い方ができる。例えば、次のような言葉。
「力を抜いてやってみてください」「自信を持って進んでください」「最善を尽くせることを期待しています」「応援しています」「成し遂げてください」「あなたならできると信じています」「諦めずに一歩ずつ進んでいってください」
言葉は、人を傷つけることもある。しかし、言葉は人を励ますこともできる。言葉の力を使って、周りの人を大切にしよう。
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■コラム■一歩踏み出す一言

2023-06-16 07:39:00 | 人事マネジメントの視点
会話でのひっかかり
職場でも家庭でも、会話でひっかかりを感じることはある。ひっかかりが例え小さくても、塵も積もれば山となる。そのことを伝えないと、相手はそれでOKなんだ、了解をしてくれて問題なしと考えてしまう。しかし、違うと伝えることができていない人は少なくない。ストレスになる。溜めて、溜めきれず大爆発ということも。そのとき相手は理解できない。なぜ怒っているの?と。
ひっかかりがそのうち消えてなくなることもあるが、消えないときもある。その区別として、消えないものは自分にとって大切にしているもの。それを否定されたり、攻撃されたりしたとき。例えば、上司や同僚から「家庭より仕事を大事にすべき」と言われた。もちろん、手抜きせずに仕事にも力を入れたいが、同時に家庭も大事にしたい、家族のためにしっかり時間を使いたいと思う時期もある。

相手に伝えよう
その時にすぐ気持ちを伝えられるとよい。「私は今、仕事と同じ程度に家庭も大事にしたいと思っているので、仕事だけを優先しろと言われると辛いです」 そのときに伝えられなくても、できるだけ早めに伝えた方がよい。“そのうちに言おう”は、結局伝えられない。
伝えるといっても、相手に勝つ、負けるということではない。人は相手よりも優位に立ちたいと考えてしまいがち。そう考えると立ち位置が自然、相手にも伝わってしまい、違う形に話しが向いてしまう。勝ち負けの土俵には乗らない。相手の考えを受け止める。受け入れることではない。受け入れとは相手の言うことに承諾してしまうことで、自分の気持ちを封じてしまうことになる。

Iメッセージで
自分の素直な気持ちや考えをIメッセージ(「私は…」を主語にして)を使って伝える。簡単なようで実は難しい。意識を持ち続けることに加え、練習が必要。
または、自分の気持ちや考えがズレていることもある。こちらの思慮が足りなかった。そのときは率直に謝る。「私の考えが十分に及ばずごめんなさい」 言い訳を重ねない。自分も苦しくなるし、相手も距離をとり離れていってしまう。
ひっかかりは、大切にしていることと違う状況が起きていることの表れ。自分に正直になって、気持ちを伝えてみよう。こちらが思うような反応ではないかもしれないが、それでも一言言えた自分をほめてあげよう。
 
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■コラム■「はい、わかりました」それだけを受け取らない

2023-05-16 06:39:39 | 人事マネジメントの視点
非言語的な感覚を働かせる
指示に対して部下から「はい、わかりました」 一見問題ないように思えるが、返事は肯定的なのか、そうでないのか。肯定的ではない場合とは、疑問をもちながらも言い出せずに「はい」といっている。または、本当はしたくない、嫌だけどもしぶしぶ「はい」と言わざるを得ないなどのケース。
言語的には「はい、わかりました」と同じであっても、相手側の意思は違っていることがある。その違いを察知することが大事。それにはコミュニケーションの非言語的な部分を使う。
感覚的なもの、特に視覚・聴覚を最大限活用して、相手の様子をみる。私たちは相手のことを見ているようで案外見ていない。意識して見てみる。反応がスムーズではなかったり、普段とは違う目線や身体の動きがあったりすれば、肯定的ではないかもしれない。ここでの注意点は、思い込みで決めつけてはいけない。普段こちらの考えを理解してくれているから、今回も大丈夫だろうと思い込んでしまってはいけない。いつもと違う事情ができているかもしれない。違いを察知しようと意識しておくことだ。

イメージのズレを確認する
また、肯定的な「はい、わかりました」で、非言語的な部分で違和感がなかったとしてもこちら側が考えている範囲や程度と同じものを相手がイメージしているかどうかはわからない。ここがズレていることは少なくない。結果として、こちらの意図とは違うことを相手がやってしまい、カチンと頭にきて、怒ってしまったことはないだろうか。その原因は、やはり思い込み。
「OKしてくれてありがとう。助かります。結果のイメージを一緒にもっておきたいので、どのようにやろうとしているか教えてくれるかな」と確認してみる。
イメージ通りであれば「OK、それで進めてください。よろしく」 少し違っているのであれば「概ねOKだけど、〇の部分は△してください」そして、期限も確認しておく。
イメージの共有は一手間かかるが、この確認をしているか否かで大きく結果・成果が違ってくる。部下との関係もそうだ。後出しのように「実はこうだったんだ」と言われても後の祭り。ネガティブな印象は部下に強く残ってしまう。

普段との違いを察知する非言語的な視覚・聴覚と、最初のイメージ共有のステップを、上手く使うとコミュニケーションレベルを上げられる。
 
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■コラム■心理的に安全なキャッチボール

2023-04-16 06:39:00 | 人事マネジメントの視点
注目の心理的安全性
最近耳にすることがある「心理的安全性」とは、組織の中で自分の考えや気持ちを誰に対してでも安心して発言できる状態のこととされている(ハーバード・ビジネススクール教授・エドモンドソン氏の提唱)。逆に、心理的に安全ではない次の状態では、チームの成果や生産性、貢献意欲が阻害されてしまい、また、優秀な従業員の離職へつながってしまうため、注目されている。
・意見や提案を受け取ってもらえず、はなから否定される
・発言すると言った者にその仕事をさせられるなど罰を受ける
・原因追及が犯人探しになる  ・無視される
・余計なことを言い出してと邪魔者扱いされてしまうかもと言葉を飲み込んでしまう
・そんなことも知らないのと無知だと思われてしまうかもと質問したくてもできない
・そんなこともできないのと能力がないと思われてしまうかもと相談したくてもできない
 
わかっていることと・・・
心理的安全性が大事だということをわかっている人も多い。ただ、わかるということとその環境が作られているのとは違う。例えば、会議の時だけ意識をしていても、その場が終わり、心理的に安全ではない状態が待っていることがわかれば、部下は会議でも発言をためらう。さらに、一人ひとりの感じ方、受け取り方が違うので、同じように対応していても全員が心理的に安全だと思わないかもしれない。心理的安全が作られているという思い込みを疑う意識を常にもっておくことだ。
 
安全なキャッチボールをイメージ
とすれば、どうすればよいか? 普段からどうかかわるかだ。キャッチボールをイメージしてコミュニケーションをとる。
相手の胸あたりに取りやすいボールを投げて、返してもらえるように声掛けをする。
逆に、相手に届かないボールを投げる・・・例えば、返事が返ってこない、行動が起きない。
相手が怯えるような剛速球を投げる・・・返答は「はい」だけ。質問がないか尋ねても「ありません」しか返ってこない。
相手が取れないような方向に投げる・・・すぐには伝わらない。違う行動を起こされる。
後者の3パターンが起きていると、心理的に安全ではない兆候。普段、挨拶を交わすときに雑談を加えてみる。雑談もテクニックが少しいる。先ほどのキャッチボールをイメージする。上手くできていなければ、言葉の投げ方を変えてみる。普段の雑談から心理的安全ははじまる。


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■コラム■話の苦手な人に一言声を出してもらう

2023-03-16 00:06:39 | 人事マネジメントの視点
なかなか話してくれない
「あなたの意見を聞かせてください」と伝えてもなかなか話をしてくれない。何度も機会を作っても変わらない。側にいる者から、表情をみると緊張しているように感じるという言葉があったので、同じような場面で様子をうかがうと、確かに言葉を投げかけたときに肩に力が入っているようでプレッシャーに感じているのではないかと思えた。こちらはプレッシャーを与えるつもりではなくても、そう感じるのは相手だから、どうすることもできない。
実は、私自身もこの経験があったのを思い出した。ベテラン社員から意見を求められて、経験の浅い私はなかなか自分の意見が言えない。相手の期待に応えようと頑張ろうと思えば思うほど、経験や知識の差があり過ぎて、プレッシャーで言葉が出ない。頭が真っ白になった。
 
レベルが高い「どう思いますか?」
「どう思いますか?」という言い方は、いろいろなことを考えなければいけないのでレベルが高すぎる。もっと簡単に答えられるクローズドクエスチョンがお勧め。YesまたはNo、AかBかという二者択一で、「どちらと思いますか?」「どちらが納得しやすいですか?」から入ってみる。
それでも選択できない者はいる。そのときに、「(今は答えるのが)難しい」その一言でもOKとするとよい。現状を受け止めて、「難しいということがわかった。ありがとう」と一言返す。否定ではなく、受け止め。
このとき、つい「私の言っていることわかります?」という言葉を出したくなるが、この裏には「私の言っている言葉がわからないあなたはダメな人」というニュアンスが含まれていて、相手にもそれが伝わるので使ってはいけない。
 
ハードルを下げて、少しずつ上げる
“受け止め”はその場所にいていいことを承認するコミュニケーション。他の社員の意見を聞くうちに、自分の中にも意見やアイデアが出てくることがある。表情がそれを語る。目線が話し手の方を向いたり、うなずく、微笑む、小さな声で「なるほど」と相づちを打ったりするようになってくれば、そのときにもう一度聞いてみる。
また、全体の場ではなく、座席近くの同僚2,3人の小グループで話をする場を設けてから、それを全体の場に広げてみるという方法もある。同僚数人だったらプレッシャーは小さくなる。そこで、自分の意見が出せるようになってきてから、全体の場で一言出すように流れを作ってみる。
ハードルを下げて受け止め。言葉を出せる小さな場づくりをし、そこから全体に広げていく。
 
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■コラム■ 感情はまずは身体の反応から/人事コンサルタント鷹取

2023-02-16 07:39:00 | 人事マネジメントの視点
感情表現は難しい!?
喜怒哀楽という言葉は知っているが、うれしい、ムカついた、かなしい、たのしい程度。それでは単純すぎると思うことがよくある。感情には濃淡があったり、深い浅いがあったりするのに、それを納得するようにつかめていないし、表現できていない。自分の感情を表現するのは難しいと思う人が少なくない。
なぜか、感情を口にすると「大人げない」「ものわかりが悪いと思われる」「そんなことで怒ってはダメ」「言うと周りに迷惑をかける」そんな習慣が自然とついている。
確かに、そういう場面も必要なことはある。しかし、すべての場面で感情を抑え込み続けていると、自分の感情がわからなくなり、言葉が出なくなる。

精神的ストレスは高まっている
仕事柄、つらいときにつらい顔ができないなど自分の感情を抑制せざるを得ない人もいる。医療や福祉の従事者などは感情労働者と言われ、その典型だ。
しかし、飲み込んだ気持ちがどこかにいったり、消えたりすることはほとんどなく、「まあいいや」が溜まりに溜まって爆発することも少なくない。爆発したことで後悔し、自分をさらに追い込んでしまうという悪循環に陥り苛まれたりする。感情を抑制することによる精神的ストレスは非常に高まっている。

感情はまずは身体反応から
自分の感情をつかみ、表現することが注目されはじめているが、感情は生理的な現象で、コントロールできるのは、感じた上でどう対処するのかなのだ。感じることそのものをコントロールすることはできないと科学的に証明されるようになってきた。ということはまず、身体に起きている反応をしっかりつかむこと。
例えば、私の身体は今こんな状態なんだということを自覚する。その反応は善し悪しではない。そして、身体の反応を正しく言葉にしてみる。「肩に力が入っている」「目線が上げられずうつむいている」という状態でもいい。言葉が上手く出てこなければ、オノマトペでもいい「ドキドキする」「カッとなっている」とにかく表現してみる。
感情を理解するには、まず自分の身体の反応に正直になること。そこに嘘をついてしまうと、感情に蓋をしてしまうことになる。そして、落ち着いてから当てはまりそうな言葉を探すという順だ。
それができたら、家族や友人など話しやすい人に出来事を話してみよう。そのときに、身体がこんなふうになった、反応したというところからはじめ、気持ちを伝える。
感情に誠実になる、そのトレーニングだ。
 
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■コラム■「心配だから」の使い方に注意/人事コンサルタント鷹取

2023-01-16 07:39:00 | 人事マネジメントの視点
「心配だから」
亡くなってしまったが、父は歳を重ねるごとに耳が遠くなった。こちらから話しかけても、なかなか聞こえない様子で反応がない。そのことで、こちらもついイラッとして大きな声になってしまう。ときには怒鳴ってしまうことが何度か。また、父は好きなテレビの音量も次第に大きくしてしまう。近所に迷惑かからないかヒヤヒヤ。そこで、聞こえないと困ることもあるだろうと「補聴器をつけて」とお願いするも断固拒否。「聞こえている」と聞く耳をもってもらえない。
母も、弟も、私も入れ替わりタイミングを計りながら伝える。補聴器もタイプの違うものをいくつか買って渡してみる。うるさく言われるので、渡したその日はつけるものの、翌日からは嫌がってつけない。「心配だから」と言っても、亡くなるまでその態度は変わらなかった。

「心配」という押し付け
ふり返ってみると、父は困っていなかったのかもしれない。周りが困っているだろう、困っているはずだと思っても、それは周りの考え。困っていないのに、困っているはずだと、決めつけられれば反発する気持ちも今ならわかるような気がする。
また、「心配している」という言葉も、何度も何度もくり返すと、父を追い詰めてしまっていたのかもしれない。父を本当に心配しているのではなく、自分の不安を相手への心配にすりかえて、父に押し付けていたのではないか。自分の不安な気持ちを何とかしたくて、相手に変わって欲しいと押し付け、コントロールしようとしていた。そうかもしれなかったと、今反省している。(参考「気持ちが伝わる話し方」森田汐生著)

職場での「大丈夫?」
職場で考えてみると“心配している”は“大丈夫?” 「任せるけど、あなた大丈夫?本当に大丈夫?」この言葉の裏には、「あなたが出来なければ、私がその尻ぬぐいをして困るからちゃんとやってね」という相手を責める意味が含まれている。それは感じとして伝わっていて、相手としてはよいイメージを持たない。
では、どう伝えればよいか。任せたら相手を信じる。もし不安があるなら、自分の伝え方が適切だったのかを確認するために次のように言ってみてはどうだろう。「仕事を引き受けてくれてありがとう。あなたと私のイメージを共有しておきたいので、どのように進めようとしているか簡単に教えてくれるかな」「途中、〇〇頃に一度進捗の報告をしてくださいね」
 
 
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■コラム■自信の提案が却下された、そのときどう行動する?/人事コンサルタント鷹取

2022-12-16 00:00:39 | 人事マネジメントの視点
自らつい全否定
あなたがまとめた企画提案に対して、同僚は素晴らしいと評価してくれたのに、管理職の集まる会議では却下された。経験された方もいるのではないだろうか。期待に反しての結果に落胆する。自信があったとすればなおさらだ。
しかし、落ち着いて考えてみると、全てが否定されたわけではない。全否定だとすれば、そもそも会議の議題にも上がらないはず。しかし自分では、つい全部がダメだったと考えてしまう。そういう思考のクセはないだろうか。100点か0点か、白か黒かの二択しかない考え方のことだ。

自分から聞く習慣
では、どう考え、行動するか。なにがダメなのか聞いてみる、そのチャンスと考えてみる。相手の考えは聞いてみないとわからない。例えば、「今後のために、却下となった理由を教えていただけないでしょうか?」「差し支えなければ、どの点に支障があるのでしょうか? 改善ポイントをお聞かせ願えれば助かります」と。コスト面なのか、タイミングなのか、説明の仕方なのか。「合格点が90点だとすれば、私の提案は何点でしたか」と聞いてみるものよい。
わかればヒントが見えてくる。相手の真意・本音もうかがえる。このような質問をしなくても丁寧に説明してくれる上司もいるが、多忙な上司の場合は、結論だけのことが多いので、自分から聞く習慣をもっておこう。

ネガティブ思考が出たら、一旦立ち止まる
ここでいえることは、管理職の立場とは違う。ということは価値観も視点も違う。普段はわかっていても、却下されたそのときは、ついネガティブ思考に走る。一旦立ち止まる癖をつけてみる。お互いの違いをどう埋めていくか。そのトレーニングの場ととらえると、自分の成長にもつながる。
ただ、ヒントをもらうためには、信頼してもらえるような関係づくりを普段から心掛けておくことが大事。相手を対立的な視点でみていれば関係は築けない。こちらの違いを認めてもらうには、相手の違いも受け止める必要がある。
さらに言えば、上のことができるようになれば、会議でOKが出た提案にも同じような行動を取るとよい。「この提案のどこが良かったでしょうか? 具体的な評価ポイントを教えてもらえますか?」成功パターンを確実に身につけることができる。そうすれば、あとはその応用。さらに自信につながるだろう。



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■コラム■ コミュニケーション課題の「頼む」「断られる」

2022-11-16 07:39:00 | 人事マネジメントの視点
頼むことが難しい
人に頼み事をするのが難しいと感じている人は少なくない。「相手も忙しいだろうから自分でやってしまった方が早いし、楽」または「引き受けてくれるのはわかるけど無理をさせてしまうかもしれない」このように考えてしまう。思い当たる節はないだろうか。しかし、にっちもさっちもいかなくなってから頼むと、上手くいかない。頼みごとが重たいものになってしまったり、複雑に絡まったものになったりするからだ。
ただ、今後も頼むことは出てくる。その時に備えて頼むハードルを下げる試みをしておこう。
頼むときには、相手が後輩や部下であっても上から目線でなく、先輩や年上であっても下からへりくだって頼むのでもないあり方がいい。後者の場合、タメ口を使えというのではない。「大変申し訳ございませんが、私ごときがこんなことをお伝えしてもよいのものか相当悩みました。その点をお含みいただきながらお聞き願いたいのですが、実は・・・」前置きが長いのが典型的なへりくだりタイプ。結局伝わらない。ひと言だと良いが、何度も重ねられると
・イライラする。結局、何が言いたいのかわからない。
・信頼されていないように感じる。
・こっちに察してもらいたいという気持ちが見えて卑怯。
こう相手に思わせてしまう。頼むときは、端的に、素直に伝えること。
 
断られるのも嫌だ
頼んでも相手にも事情があるので、引き受けてくれないことはある。断られたことで、凹んでしまい、傷ついたと考えてしまうと、そのことがきっかけで頼むことを避けてしまう原因にもなる。断られたとしても、頼んだことを断ったのであって、あなた自身を否定しているのではない。パワハラであれば別だが、そうでないのなら、人格を否定された、全否定されたと考えるのは誤り。
 
頼む、断られる練習
2人ペアになって練習をしてみる。一人は頼む役、もう一人は頼まれて断る役。お互いどう思ったか、感じたか。1回だけではなく、2回,3回と同じシチュエーションでやってみると、頼めるようになったり、断りを冷静に受け取れるようになったりする。また、頼まれ役のタイプを変えてみるのもよい。いろいろなバリエーションで練習してみて欲しい。
 
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■コラム■笑顔がコミュニケーションを阻害する

2022-10-16 00:00:39 | 人事マネジメントの視点
 
ボディーランゲージ(体が語る言葉)
アメリカの心理学者メラビアンがコミュニケーションに占める割合として、態度や表情で全体の55%で最も大きなウエイトを占め、次は声の調子で38%、話の内容は7%にしか過ぎないと報告している。すなわち、態度、表情、声の調子、そこから出てくる相手と向き合う姿勢などが印象を決定づけるという。
例えば、相手に悪い印象を持たれたくない、嫌われたくないという気持ちが大き過ぎて、多くの場面で笑顔になることがあるのではないだろうか。対人関係を重視する傾向が強い人は、そのような表情になりがちだが、返って、コミュニケーションを阻害させてしまうことをあまり認識していない。

言葉ではNoなのに、笑顔
本当は嫌なのに、怒っているのに、笑顔だとそれが相手に伝わらない。言葉ではNo,ダメだと言っているのに、笑顔でいると本当はOkだよね。もう少し押せば聞いてくれるはずと相手に思わせてしまう。結果、それに負けてOkを出してしまう。または、それでもNoと言えば、相手は怒らせてしまうこともある。表情でOkなのに、なぜNoと言うのか、相手は理解できないから。
コミュニケーションにおいて、表情と言葉を一致させることは大切である。Noというときに眉間に皺を寄せて睨む必要はないが、真剣な表情にならなければいけない。笑顔であってはいけない。
そんなことすぐ出来ると思っているかもしれないが、身についた習慣はそう簡単には変わらない。試しに、Noというときのあなたの会話を、近くの他の者に冷静に見てもらうとよい。または、ビデオを撮ってもらうと気づくことがたくさん出てくる。ぜひやってもらいたい。

言い訳が長くなると笑顔になりやすい
もう一つ、Noというときに言い訳が長くなるのも、笑顔に近づく一つの理由。言い訳を重ねていると、次第に何を本当は言いたかったのかがわからなくなってくる。自分の中で「あれ、何だったっけ」 自問自答するうちに、違うところへ考えが行ってしまい、作っていた真剣な表情への意識が薄れ、知らぬ間に微笑んでしまっている。
表情と言葉を一致させるには、会話を端的に終わらせることも大事なのだ。しかし、実は、会話を終わらせるのも簡単ではない。切り上げ方がわからないのだ。「では、よろしくお願いします」と言ってさっとその場を立ち去る、話題を変える。これも練習に限る。
 
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■コラム■モチベーションを単なるやる気で済ませない

2022-09-16 07:39:00 | 人事マネジメントの視点
行動に結びつけなければ
モチベーションという言葉をよく使うようになったが、果たしてこれは何だろうか。モチベーションとは、動機を与えること、動機づけ(デジタル大辞泉、小学館)とある。動機づけ、やる気を高めるときに使われることが多いが、気持ちだけあっても、それが行動に結びつかなければ意味がない。周囲にはわからず、反応や評価をもらうことはできない。それがもらえなければ、やる気を続けるのは難しい。逆に、周囲の反応や評価などが、人のモチベーションを高め、維持させることができると言え、この表裏の関係が大事である。
 
励まし、褒め、感謝の言葉
◇「困ったときはサポートするから、安心してやってみて」という励ましの言葉
自分で考えて行動でき、力がついてきて(成長して)いることがわかること。自信がもて、自分の存在意義をつかめる。そのために上の言葉とともに行動をとる。
 
◇「ステキです。いいですね」という褒めの言葉
これは一般的に、モチベーションアップにつながるとよくいわれている言葉。ただ、これだけでは十分ではない。モチベーションを高めていくには、本人自身の中に納得できるものが必要。上司から指示されたことを言われた通りにやるだけでは、やりがいが感じられない。何のためにこの仕事をしているのかがわかっているか否かで納得に大きな違いがあるので、説明を尽くす。
 
◇「ありがとう、助かりました」感謝の言葉
自分は感謝され、頼りにされていることは、マズローの欲求5段階説の「承認欲求」を満たす。承認されていると感じると、自分を認めてくれた人や組織に応えたいという気持ちが生まれ、モチベーションを高める。また、承認してくれた相手への信頼にもつながっていくので、感謝表現を出し惜しみしない。
 
同僚や仲間の存在
別の観点からも一つ。質問や真似、相談できる同僚や仲間がいることも欠かせない。「同僚の〇〇さんにスキルを教えてもらったら上手くできた」「なるほどね、私もやれた」「失敗をしたとき悩みを聴いてくれて、アドバイスももらえた」
上手くいくときばかりではない。わからないことやミス・失敗もある。そのときにへこたれない、しなやかにこなせれば、下がったモチベーションを上げるコツもわかる。これが長い目でみたときにモチベーションを維持し高めるので、仲間づくりをサポートする。
 
モチベーションに対しては、上のようなさまざまな視点からの取り組みが必要である。気持ちから行動に移っているか確認しているだろうか、一度振り返ってみて欲しい。
 
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■コラム■ 「時間がないから・・・」と言う部下

2022-08-16 00:00:39 | 人事マネジメントの視点
 
都合がいい言葉
部下にやってもらいたい仕事がある。話をしたら部下からは「忙しくて時間がないからできない。」という言葉が返ってきた。無理を重ねた過剰な要求をしているわけではない。他の部下と同じように、忙しい中でも一段上の対応力を付けてもらいたい。その成長を期待しての考えだが、理解してもらえない。「時間がないから・・・」は、その部下の思考や行動パターンからすると容易に想定できたが、その対応を準備していなかった。よくあるケース。
部下の立場からすると、仕事を頼まれたときに思い浮かぶのは、その仕事を完璧にやらなければいけない。今やっている他の仕事が疎かになる。そんな余裕はないし、出来なかったときの責任をとりたくない。マイナス評価されたくない。だから、断りたい。「時間がないから・・・」は、都合がいい言葉。上司が部下のタイムスケジュールを常々把握していれば別だが、そうでなければ使いやすい。
100点か0点かという二極化で考えるクセをもった者がいる。上の部下もこのタイプ。完璧でなくても現状より+5点、いや+1点でも力をつけてくれればよいが、それを理解してもらうには、上司側の伝え方を工夫する。
 
現実的な選択肢
一つの仕事には、細かく分ければいくつかの作業がある。そのいくつかの作業の一つに焦点を当てる。例えば、
・プロセスの全部ではなく、この◎のプロセスだけ
・一日中ではなく、1時間だけ、又は30分だけ
・毎日ではなく、〇曜日と□曜日だけ
・常にではなく、△のときだけ
・一人ではなく、サポート役の◇さんと一緒に
など場面を絞ったり、協力があったりすると、ハードルが下がり、引き受けやすくなる。
部下がやれそうな現実的な選択肢を用意しておく。そして、その中から部下に選んでもらう。業務指示であったとしても、ただやれと言われただけの受け身100%状態で仕事をするときと、選んで仕事をするときを比べると、後者の方が効率性はよい。
また、そのときは引き受けてくれなくても、次に頼んだとき部下の方から「これだけ(この条件)だったらやれます」という発言が出ることがある。部下も客観的に仕事の全体像をつかめるようになってきている証拠で、これも成長の一つとみる。そして、いくつかの作業の一つであっても取り組んだら褒める。褒めるは、その行動を習慣化させる。小さなことだが、これらを根気よく続けていくこと。
 
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■コラム■ 考えていることと違う言葉が・・・

2022-07-16 07:39:00 | 人事マネジメントの視点
◆ いざ話し出すと
 頭で考えていることと口に出てくる言葉は同じではないことが少なくない。自分の頭の中では整理して論理立てたつもりでも、いざ話すと全然違う順序になったり、違う言葉が出てきたりする。準備を十分していたとしても、話の最中に、相手の表情を見ながら、付け加える必要を感じたり、一部を省こうと思ったりする。相手との関係で、いろいろな思惑が働いてそうさせている。
 準備どおりにいかなければ、焦りが生じてしまい、考えていたことがさらにズレる。例えば、ストレートにNoを言おうとしたのに、周りくどく説明しているうちにYesになってしまった。
 聞く言葉もそう。知らぬうちに何らかのフィルターをかけてしまっている。フィルターで一部を省いてしまい、通り抜けた言葉だけを強調したり、別の意味を足して脚色したり、相手の本来の意図とは異なる内容を脳で認識してしまう。
 こちらも相手との関係が影響している。以前、理不尽に怒鳴られた相手からの話を「この人には私をわかってもらえない。無駄な努力はやめよう」フィルターに通すと、相手は真剣に聞いていないと感じ、再び怒り出してしまうことに。
 コミュニケーションの難しさである。このような障害があるということを理解していることが大事。
わかっているだろう、伝わったはずで終わらせない。

◆ 実際に声に出す練習を重ねる
 コミュニケーションの障害を小さくするには、話す、聞くを頭の中で考えているだけでは十分ではない。実際に声に出す練習、聞く練習をする。ロールプレイングをお勧めする。シチュエーションを用意して、実際に役割になりきって演じる。1回演じれば出来るかといえば、出来ない。同じシチュエーションで、何度も繰り返すことで、自分なりに修正を行ない、さらに修正を重ねて出来るようになる。どう言えたか、どう聞いたか。
 言いたいことが口に乗る。自分の言葉として口になじむ。
 聴きたいことをフィルターにかけずに耳に入れる。

 想定外を想定しておくことも必要。臨機応変さが身につく。想定外を想定していなければ、これまた焦ってしまう。場合によってはパニックになってしまうこともある。想定外のケースを一つ二つ持っておくと、考えていた想定外とは違う想定外が出てきたとしても落ち着いて対応できる。
 会話は普段意識せずにしている。そのせいで、コミュニケーションができていると考えがちだが、上手くいかないことが少なくない。準備と練習に取り組んでみて欲しい。
 
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