◆ 私の枠組みと相手の視点
私たちは常に自分の枠組み内で物事を考えがち。しかし、同様に相手も独自の視点から物事を眺めており、我々の枠組みを超えていることを忘れてはならない。
同じ言葉を使用していても、その裏に隠された意味は異なることがある。例えば、「リンゴは赤い」という言葉でも、私が真っ赤な色を思い浮かべる一方、相手は薄い赤色でグラデーションがある色彩をイメージしているかもしれない。
「~して欲しい」という要望や依頼は、具体的で分かりやすい表現が必要だが、その具体をなかなか思いつくがないこともある。自分では具体的に説明しているつもりでも、抽象的な表現や程度を示す言葉が含まれていることが少なくない。例えば、「ちゃんと」や「しっかり」といった言葉の裏にある意味を正確に説明するのが難しいとすれば、それは、自分自身がまだ完全に理解していないということを意味している。
◆ 効果的なコミュニケーションの鍵
相手に対して求めていること、その要求がいつまでに達成されるべきなのか、どの程度の成果を望んでいるのか、その理由は何かを明確にすることが大切。そして、「どの程度」についての基準や境界線を設定する際には、成果のレベルなのか、目標達成するまでの時間なのか、協力関係の中での貢献度合いなのか、コミュニケーションの際にはこれらの要素を考慮することが欠かせない。
また、コミュニケーションを行う際、冷静でゆっくりとしたトーンで伝えるつもりでも、相手には感情的で急いでいるように受け取られることがある。表情や話す速さなどの非言語コミュニケーションも重要であり、それが相手の理解に影響を及ぼす。そのため、フィードバックを受けたり、自分の話し方を録画したりして自身のコミュニケーションスタイルを振り返ることをお勧めしている。
◆ 受け取り方が異なることを意識して
自分のイメージと他者の受け取りが異なることを前提として、他人とのコミュニケーションを効果的なものにするために、相手の視点や受け取り方に配慮し、適切な表現や非言語コミュニケーションを工夫することが求められる。多様化が進んでいるこの時代にはより意識して、異なる枠組みを超えて、より豊かなコミュニケーションを築いていこう。そのためには、まず自己理解だ。