千石井戸の横に「的場跡」があります。武将たちは弓矢の鍛錬は欠かせないものですから、山頂近くのわずかなスペースを使って弓を射ていたのですね。汗をかいたお侍さんは、千石井戸の水でのどを潤してしていたのでしょう。
常に将兵千人の用を満たすので「千石井戸」と名付けられました。確かにこの地方に雨はしばらく降っていませんが、今この時にも水は溜まっていて、水面が見えています。でも千人の用を満たすにはいささか頼りない感じではあります。
近くに寄って見ますと、全く井戸らしくないただの穴でした。地下深くからくみ上げるのでなく湧水だったのです。苗木城内の井戸で一番高い場所に位置するこの井戸は、高所にもかかわらず、どんな日照りでも水が枯れることがなかったと伝えられていました。