今回ご紹介するのは「空中ブランコ」(著:奥田英朗)です。
-----内容-----
伊良部総合病院地下の神経科には、跳べなくなったサーカスの空中ブランコ乗り、尖端恐怖症のやくざなど、今日も悩める患者たちが訪れる。
だが色白でデブの担当医・伊良部一郎には妙な性癖が……。
この男、泣く子も黙るトンデモ精神科医か、はたまた病める者は癒やされる名医か!?
直木賞受賞、絶好調の大人気シリーズ第2弾!
-----感想-----
この小説は2004年7月、第131回直木賞を受賞しました。
2004年は綿矢りささんの「蹴りたい背中」の衝撃が強くて、全く違うタイプのこの作品は読みませんでした。
今年になって、まずは「イン・ザ・プール」を読んでみたら予想以上に面白かったので、「空中ブランコ」も読んでみました。
表題作の空中ブランコでは、キャリアのある空中ブランコ乗りが、次第にスランプに陥っていきます。
パートナーが悪いと思い罵倒する彼でしたが、実は原因は自分にあります。
それに気付かず、ひたすらパートナーのせいにする空中ブランコ乗り。
寝付きも悪くなってきたので、睡眠薬でももらおうと思い伊良部総合病院神経科にいく彼。
そこで伊良部と合い、そのトンデモぶりに翻弄されるのでした
患者さんの話を真剣に聞く男ではないので、話しても気休めくらいにしかなりません。
しかし伊良部の場合、最終的に「結果オーライ」にする不思議な力があります。
そこがこの男の憎めないところだと思います。
今回は、「ハリネズミ」と「義父のヅラ」という作品がかなり面白かったです。
「ハリネズミ」は尖端恐怖症のやくざの話です。
尖っているものを見ると、怖くてパニックになる症状です。
伊良部の元を訪れたものの、やくざの威厳が伊良部には全く通じなくて、さらに毎回無理やり注射を打たれたりして、踏んだり蹴ったりの彼。
伊良部が雇った謎のイラン人が出てくる場面はかなり笑えました。
そこまでして注射を打ちたいのかと思いました。
「義父のヅラ」は、ある大学付属病院の医者が、その大学の学部長である義父の「ヅラ」を取りたくなってしまう話です。
義父は一目でヅラとわかるようなヅラをしていて、それを見ると「あのヅラを取りたい」という衝動にかられてしまうようです。
くだらない話なのですが、相当笑えました。
段々衝動が強くなってきて、ついにヅラに手が伸びる場面は、何とも言えない緊迫感がありました(笑)
それを取ったら君が大学にいられなくなってしまう、やめるんだ、と思いながら読んでいました。
全部で5つの短編がありましたが、どの短編もオチがしっかりしているので読後感は良かったです。
単なるギャグ小説ではなく、物語自体に読む人を引き込ませる魅力があるので、直木賞を取ったのも納得です。
シリーズ3作目の「町長選挙」も読んでみたいと思いました
-----内容-----
伊良部総合病院地下の神経科には、跳べなくなったサーカスの空中ブランコ乗り、尖端恐怖症のやくざなど、今日も悩める患者たちが訪れる。
だが色白でデブの担当医・伊良部一郎には妙な性癖が……。
この男、泣く子も黙るトンデモ精神科医か、はたまた病める者は癒やされる名医か!?
直木賞受賞、絶好調の大人気シリーズ第2弾!
-----感想-----
この小説は2004年7月、第131回直木賞を受賞しました。
2004年は綿矢りささんの「蹴りたい背中」の衝撃が強くて、全く違うタイプのこの作品は読みませんでした。
今年になって、まずは「イン・ザ・プール」を読んでみたら予想以上に面白かったので、「空中ブランコ」も読んでみました。
表題作の空中ブランコでは、キャリアのある空中ブランコ乗りが、次第にスランプに陥っていきます。
パートナーが悪いと思い罵倒する彼でしたが、実は原因は自分にあります。
それに気付かず、ひたすらパートナーのせいにする空中ブランコ乗り。
寝付きも悪くなってきたので、睡眠薬でももらおうと思い伊良部総合病院神経科にいく彼。
そこで伊良部と合い、そのトンデモぶりに翻弄されるのでした
患者さんの話を真剣に聞く男ではないので、話しても気休めくらいにしかなりません。
しかし伊良部の場合、最終的に「結果オーライ」にする不思議な力があります。
そこがこの男の憎めないところだと思います。
今回は、「ハリネズミ」と「義父のヅラ」という作品がかなり面白かったです。
「ハリネズミ」は尖端恐怖症のやくざの話です。
尖っているものを見ると、怖くてパニックになる症状です。
伊良部の元を訪れたものの、やくざの威厳が伊良部には全く通じなくて、さらに毎回無理やり注射を打たれたりして、踏んだり蹴ったりの彼。
伊良部が雇った謎のイラン人が出てくる場面はかなり笑えました。
そこまでして注射を打ちたいのかと思いました。
「義父のヅラ」は、ある大学付属病院の医者が、その大学の学部長である義父の「ヅラ」を取りたくなってしまう話です。
義父は一目でヅラとわかるようなヅラをしていて、それを見ると「あのヅラを取りたい」という衝動にかられてしまうようです。
くだらない話なのですが、相当笑えました。
段々衝動が強くなってきて、ついにヅラに手が伸びる場面は、何とも言えない緊迫感がありました(笑)
それを取ったら君が大学にいられなくなってしまう、やめるんだ、と思いながら読んでいました。
全部で5つの短編がありましたが、どの短編もオチがしっかりしているので読後感は良かったです。
単なるギャグ小説ではなく、物語自体に読む人を引き込ませる魅力があるので、直木賞を取ったのも納得です。
シリーズ3作目の「町長選挙」も読んでみたいと思いました