これが今年最後の小説レビューとなります。
今回ご紹介するのは「バスジャック」(著:三崎亜記)です。
-----内容-----
今、「バスジャック」がブームである―。
バスジャックが娯楽として認知されて、様式美を備えるようになった不条理な社会を描く表題作。
回覧板で知らされた謎の設備「二階扉」を設置しようと奮闘する男を描く「二階扉をつけてください」、大切な存在との別れを抒情豊かに描く「送りの夏」など、著者の才能を証明する七つの物語。
この短編集の中に、きっとあなたの人生を変える一編があります。
-----感想-----
当初は、今年最後の小説レビューがこんなタイトルの本か…と思ったりしましたが、読んでみるとなかなかの名作でした。
本作は七つの短編から構成されていますが、そのどれもが違ったタイプの物語で、すごい作者だなと思いました。
表題作のバスジャックは設定が面白かったです。
バスジャックが社会的に認められていて、専用の法律まで整備されているというのですから驚きです。
基本的にバスジャックは四人一組のチームで行うルールがあるようです。
一人一人に役割があって、それらは「シテ」、「ツレ」、「地謡(じうたい)」、「後見」といいます。
「シテ」が先頭で運転手と前ドアを監視し、「ツレ」は最後部の座席で銃を持って車内全体を見渡し、「地謡」は特に場所を定めないが火薬の入ったバッグを肩から提げ、手には起爆スイッチを持っています。
そして「後見」は、そのバスジャックが「バスジャック」としての要件を備えているか、手順を踏んで行われたかをチェックする役割を担っています。
「後見」は四人の中で唯一、中立的な立場でバスジャックに立ち会うようです。
バスジャックを始める前に選手宣誓のようなこともしていて、ホントにバスジャックが認められているのだなと思いました。
「ひとぉつ!我々は、先人により培われたバスジャックの栄光ある歴史を汚すことなく~」
というような感じで宣誓をしていました。
バスジャックに栄光の歴史があるとは。。。と思いました。
言っている台詞はギャグのようですが、いたって真面目に書いてあったのでそれがまた面白かったです
短編なので気軽に読めて、面白さもある話でした。
また、ショートショートと呼ばれる話が二つありました。
ショートショートとは、数ページしかない極めて短い作品のことです。
私は高校の国語の授業で一度読んだことがありますが、それ以降はショートショートとは無縁でした。
たった数ページで話を完結させるのはかなり大変だと思います。
二つの作品はどちらも上手く話がまとまっていたのですごいと思いました。
「送りの夏」という話は「バスジャック」とは一転して、大切な人との別れを描いていて切なさがありました。
この全く違った話を書けるのは、作者の三崎亜記さんのすごいところだと思います。
一つの短編集の中にギャグ的な話、ファンタジーテイストな話、ショートショート、切ない話と、これだけ多彩な物語が詰め込まれている本は初めて読みました。
どの作品も異彩を放っていて独特な面白さがありました。
三崎亜記さんの本は始めて読みましたが、なかなか面白かったので他の作品も読んでみたいなと思います
※図書レビュー館を見る方はこちらをどうぞ。
今回ご紹介するのは「バスジャック」(著:三崎亜記)です。
-----内容-----
今、「バスジャック」がブームである―。
バスジャックが娯楽として認知されて、様式美を備えるようになった不条理な社会を描く表題作。
回覧板で知らされた謎の設備「二階扉」を設置しようと奮闘する男を描く「二階扉をつけてください」、大切な存在との別れを抒情豊かに描く「送りの夏」など、著者の才能を証明する七つの物語。
この短編集の中に、きっとあなたの人生を変える一編があります。
-----感想-----
当初は、今年最後の小説レビューがこんなタイトルの本か…と思ったりしましたが、読んでみるとなかなかの名作でした。
本作は七つの短編から構成されていますが、そのどれもが違ったタイプの物語で、すごい作者だなと思いました。
表題作のバスジャックは設定が面白かったです。
バスジャックが社会的に認められていて、専用の法律まで整備されているというのですから驚きです。
基本的にバスジャックは四人一組のチームで行うルールがあるようです。
一人一人に役割があって、それらは「シテ」、「ツレ」、「地謡(じうたい)」、「後見」といいます。
「シテ」が先頭で運転手と前ドアを監視し、「ツレ」は最後部の座席で銃を持って車内全体を見渡し、「地謡」は特に場所を定めないが火薬の入ったバッグを肩から提げ、手には起爆スイッチを持っています。
そして「後見」は、そのバスジャックが「バスジャック」としての要件を備えているか、手順を踏んで行われたかをチェックする役割を担っています。
「後見」は四人の中で唯一、中立的な立場でバスジャックに立ち会うようです。
バスジャックを始める前に選手宣誓のようなこともしていて、ホントにバスジャックが認められているのだなと思いました。
「ひとぉつ!我々は、先人により培われたバスジャックの栄光ある歴史を汚すことなく~」
というような感じで宣誓をしていました。
バスジャックに栄光の歴史があるとは。。。と思いました。
言っている台詞はギャグのようですが、いたって真面目に書いてあったのでそれがまた面白かったです
短編なので気軽に読めて、面白さもある話でした。
また、ショートショートと呼ばれる話が二つありました。
ショートショートとは、数ページしかない極めて短い作品のことです。
私は高校の国語の授業で一度読んだことがありますが、それ以降はショートショートとは無縁でした。
たった数ページで話を完結させるのはかなり大変だと思います。
二つの作品はどちらも上手く話がまとまっていたのですごいと思いました。
「送りの夏」という話は「バスジャック」とは一転して、大切な人との別れを描いていて切なさがありました。
この全く違った話を書けるのは、作者の三崎亜記さんのすごいところだと思います。
一つの短編集の中にギャグ的な話、ファンタジーテイストな話、ショートショート、切ない話と、これだけ多彩な物語が詰め込まれている本は初めて読みました。
どの作品も異彩を放っていて独特な面白さがありました。
三崎亜記さんの本は始めて読みましたが、なかなか面白かったので他の作品も読んでみたいなと思います
※図書レビュー館を見る方はこちらをどうぞ。