今回ご紹介するのは「40 翼ふたたび」(著:石田衣良)です。
-----内容-----
人生の半分が終わってしまった。
それも、いいほうの半分が。
会社を辞めて、投げやりにプロデュース業を始めた喜一・40歳の元を訪れる、四十代の依頼人たち。
凋落したIT企業社長、やりての銀行マン、引きこもり……。
生きることの困難とその先にある希望を見つめて、著者が初めて同世代を描いた感動長編。
-----感想-----
40歳というのは、私から見るとかなり年上です。
「不惑」の名が示すとおり、何者にも惑わされない、気持ちの落ち着きがあるように思います。
ところが、この作品に出てくる40代の人たちは、みな悩みを抱えていたり、目標がなくなっていたり、引きこもっていたりします。
およそ不惑からはかけ離れた感じでした。
この世界の誰からも必要とされず、人生の折り返し点で道に迷ってしまった男の顔である。
この文章は印象的でした。
若き10代や20代なら、何度もこういった悩みにぶつかることがあると思います。
しかし40を過ぎてもまだ、道に迷ってしまったような顔をしているのは、深刻な気がします。
その人物とは、凋落したIT企業元社長です。
不祥事で社長の座を追われてからは、抜け殻のようになってしまったようです。
ある一通のメールがきっかけで、主人公の喜一がこの社長と会うことになります。
そこで喜一が見せた怒りは、なかなか熱いものがありました。
凋落したIT企業元社長の話を先頭に、この作品は全部で七つの連作短編からできています。
どの短編も、喜一の元に何か依頼が来たり、相談を受けたりするところから物語は進んでいきます。
解説にもありましたが、この構成は「池袋ウエストゲートパーク」シリーズと似たものがあります。
喜一の本業はプロデュース業なのですが、いつの間にかトラブル解決屋のようにもなっていました
今回は主人公が40代なので、その回りの人たちも40歳前後が多かったです。
人生経験が長い分、池袋ウエストゲートパークとはまた違った人間模様が描かれていました。
銀行の熾烈な出世争いの話もありました。
支店長の座を狙って火花を散らしている二人の男がいるのですが、その両方が喜一の同級生なのです。
ある日、同窓会で久々に二人と顔を合わせた喜一は、この二人の険悪な雰囲気に気付きます。
かつては友達同士だった二人が、今ではその面影もなくなってしまっていました。
支店長になれるかなれないかで、その後の人生も大きく変わってくるようです。
二人のうち一人は結婚しているのですが、妻より出世に気持ちが向いてしまっている感じでした。
これもまた、IT企業元社長の話とは違った形の、40代の男の姿です。
妻より出世のことで頭がいっぱいというのは、いかがなものか。。。と思いました
この二人の対決は意外な形で決着することになります。
引きこもりの男の話もありました。
高校三年のときから23年間、自分の部屋から外に出たことがないそうです。
中学や高校で引きこもるのならまだわかりますが、40歳でまだ引きこもっているのは、聞いたことがないです。
読み進めていくと、この引きこもり男が意外と良い人なのだということがわかりました。
家族に当たったりはしないし、本当は外の世界に出たいとも思っているようです。
ある事件がきっかけで精神的にショックを受け、以来23年間も引きこもるようになってしまいました。
ここでも、喜一が活躍しました。
この家を訪れて引きこもり男と話をするのですが、部屋の扉ごしに喜一は声で、引きこもり男は扉を叩いたりメールで話すというのが、扉の重さを物語っていました。
果たして引きこもり男を外に出すことは出来るのか、興味深く読んでいきました。
このように、実に色々な40代の人たちが登場しました。
みんな何らかの問題を抱えていますが、喜一によって復活の糸口を掴んだ人もいました。
テーマは重くても、作品全体の雰囲気はわりとさわやかだったので良かったです。
感動する話もあり、40歳からもう一度頑張るんだという希望を感じることができました
※図書レビュー館を見る方はこちらをどうぞ。
-----内容-----
人生の半分が終わってしまった。
それも、いいほうの半分が。
会社を辞めて、投げやりにプロデュース業を始めた喜一・40歳の元を訪れる、四十代の依頼人たち。
凋落したIT企業社長、やりての銀行マン、引きこもり……。
生きることの困難とその先にある希望を見つめて、著者が初めて同世代を描いた感動長編。
-----感想-----
40歳というのは、私から見るとかなり年上です。
「不惑」の名が示すとおり、何者にも惑わされない、気持ちの落ち着きがあるように思います。
ところが、この作品に出てくる40代の人たちは、みな悩みを抱えていたり、目標がなくなっていたり、引きこもっていたりします。
およそ不惑からはかけ離れた感じでした。
この世界の誰からも必要とされず、人生の折り返し点で道に迷ってしまった男の顔である。
この文章は印象的でした。
若き10代や20代なら、何度もこういった悩みにぶつかることがあると思います。
しかし40を過ぎてもまだ、道に迷ってしまったような顔をしているのは、深刻な気がします。
その人物とは、凋落したIT企業元社長です。
不祥事で社長の座を追われてからは、抜け殻のようになってしまったようです。
ある一通のメールがきっかけで、主人公の喜一がこの社長と会うことになります。
そこで喜一が見せた怒りは、なかなか熱いものがありました。
凋落したIT企業元社長の話を先頭に、この作品は全部で七つの連作短編からできています。
どの短編も、喜一の元に何か依頼が来たり、相談を受けたりするところから物語は進んでいきます。
解説にもありましたが、この構成は「池袋ウエストゲートパーク」シリーズと似たものがあります。
喜一の本業はプロデュース業なのですが、いつの間にかトラブル解決屋のようにもなっていました
今回は主人公が40代なので、その回りの人たちも40歳前後が多かったです。
人生経験が長い分、池袋ウエストゲートパークとはまた違った人間模様が描かれていました。
銀行の熾烈な出世争いの話もありました。
支店長の座を狙って火花を散らしている二人の男がいるのですが、その両方が喜一の同級生なのです。
ある日、同窓会で久々に二人と顔を合わせた喜一は、この二人の険悪な雰囲気に気付きます。
かつては友達同士だった二人が、今ではその面影もなくなってしまっていました。
支店長になれるかなれないかで、その後の人生も大きく変わってくるようです。
二人のうち一人は結婚しているのですが、妻より出世に気持ちが向いてしまっている感じでした。
これもまた、IT企業元社長の話とは違った形の、40代の男の姿です。
妻より出世のことで頭がいっぱいというのは、いかがなものか。。。と思いました
この二人の対決は意外な形で決着することになります。
引きこもりの男の話もありました。
高校三年のときから23年間、自分の部屋から外に出たことがないそうです。
中学や高校で引きこもるのならまだわかりますが、40歳でまだ引きこもっているのは、聞いたことがないです。
読み進めていくと、この引きこもり男が意外と良い人なのだということがわかりました。
家族に当たったりはしないし、本当は外の世界に出たいとも思っているようです。
ある事件がきっかけで精神的にショックを受け、以来23年間も引きこもるようになってしまいました。
ここでも、喜一が活躍しました。
この家を訪れて引きこもり男と話をするのですが、部屋の扉ごしに喜一は声で、引きこもり男は扉を叩いたりメールで話すというのが、扉の重さを物語っていました。
果たして引きこもり男を外に出すことは出来るのか、興味深く読んでいきました。
このように、実に色々な40代の人たちが登場しました。
みんな何らかの問題を抱えていますが、喜一によって復活の糸口を掴んだ人もいました。
テーマは重くても、作品全体の雰囲気はわりとさわやかだったので良かったです。
感動する話もあり、40歳からもう一度頑張るんだという希望を感じることができました
※図書レビュー館を見る方はこちらをどうぞ。