読書日和

お気に入りの小説やマンガをご紹介。
好きな小説は青春もの。
日々のできごとやフォトギャラリーなどもお届けします。

「夜光曲」田中芳樹

2008-12-21 22:31:11 | 小説
今回ご紹介するのは「夜光曲」(著:田中芳樹)です。

-----内容&感想-----
本作は「薬師寺涼子の怪奇事件簿」シリーズの第六作目です。
このシリーズは作品ごとに完結する構成になっているので、どこから読み始めても楽しめるのが良いなと思います

今回は東京・新宿御苑で事件が発生。
なんと御苑の緑が一夜にして全て枯れはててしまったのです。
時期は五月だというのに、枯れ葉が舞う寂しい光景。
科学兵器を使ったテロという線で捜査が始まるものの、その捜査を取り仕切るのは悪名高き「公安部」。
涼子曰く、「どうせ公安部が事件を解決できるわけないでしょ。見込み捜査で、無実の人間を逮捕したあげく迷宮入り、というのが公安部の伝統芸なんだからさ。今度は誰を不当逮捕して恥をかくか、楽しみよねえ!」とのこと
こんなセリフを聞いたら当然公安部は激怒なのですが、どうも本当のことらしいのです。
現実世界の公安部はどうなのでしょうか。。。
普段その名を聞かないだけに、気になるところです。

それと今回は、「首都戦士東京」という名の自警団が登場します。
都知事が組織した自警団らしいのですが、名前が微妙ですよね。
首都戦士って…
何というか、あまり強くなさそうな感じがします(笑)
実際物語では、いかにもな感じの子悪党的な扱いになっていました。

物語のほうは、新宿御苑での事件の後、さらに立て続けに事件が起きていきます。
いつの間にか公安部の出る幕はなくなり、薬師寺涼子たちが中心になって事件の捜査をすることに。
当初は科学兵器かと思われたものの、次第に生物兵器の線が有力になっていきます。
新宿御苑の緑を全て枯らしてしまうような生物兵器はどんなものなのか、興味深く読み進めていきました。

このシリーズの特徴として、悪役はひと目で悪役とわかるような描かれ方をしています。
ものすごい悪巧みをしている人がいて、それを薬師寺涼子警視とその重臣・泉田準一郎警部補たちが追い詰めていくという展開です。
このわかりやすい展開がむしろ、話を面白くしてくれている気がします
また薬師寺涼子が警視庁きっての問題児というのも、物語を盛り上げる重要な要素になっていると思います。
今回はまだ行ったことのない新宿御苑が登場したりして、街歩きが好きな私としてはそちらにも興味を惹かれました。
これを機にいずれ行ってみようかなと思います


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いけふくろうVSハチ公

2008-12-20 12:31:31 | ウェブ日記
渋谷には「ハチ公前」という待ち合わせスポットがあります。
その知名度たるや、全国区だと思います。
一方、同じ副都心でも池袋には、ハチ公前のような待ち合わせスポットがなかったようです。
これに対抗するために、池袋にも待ち合わせ場所を…ということで作られたのが、「いけふくろう像」とのことです。

以前からいけふくろう像がどんなものなのか気になっていましたが、先日見ることが出来ました。
写真も撮れて、ついに実現したこの対決。
いけふくろうVSハチ公!!
以下に、両者の写真を掲載します。


こちらが「いけふくろう像」。
よく見ると三匹の子ふくろうもいますね^^


こちらが「ハチ公像」。
さすがの貫禄です


みなさんは、どちらのほうが良いと思いますか?
知名度で言ったら断然ハチ公なのですが、いけふくろうもなかなか愛嬌がありますね
とはいえ、やはりハチ公のほうが、人気・知名度・立地条件など、全てにおいて上回っているような気がします。
いけふくろうの今後の飛躍に期待したいところです

今年は引っ越してきたこともあって、東京各地に出かける機会が増えました。
まだ行っていない街もたくさんあるので、そういった街で面白い待ち合わせスポットや良い景色を見つけてみたいなと思います

腰痛

2008-12-20 11:24:31 | ウェブ日記
私は今まで腰痛になどなったことがなかったのですが、最近急に腰痛に襲われるようになりました
朝起きたとき、腰に痛みがあるのです。
起き上がろうとするとけっこうな痛みが走り、悩まされています。
当初はたまたま寝違えたのだろうと思っていたのですが、何日も続いたのでそうではないことがわかりました。
次に、ベッドが合わないのかもと思いましたが、引っ越してきて5ヶ月近く経っているのに今までは平気だったので、これも違いそうです。
となると。。。いよいよ腰痛なのではないかという疑問が湧いてきます。
ものすごい激痛というわけではなくて、腰に重しがのっているような感じです。
起きてから時間が経つとある程度良くなるので、しばらくは様子を見ていましたが、腰が重いというのはけっこうきついものです。
試しに伸びをしてみると、「ピキッ」という感じで内側に痛みが走ります。

先日マッサージを受けに行ったときにアドバイスをもらったのですが、どうやらこの腰痛は「重心のずれ」から来ているようです。
私は右に重心があります。
駅で電車を待っているときなどは、無意識のうちに右足に体重がかかります。
けっこう多くの人が、右足か左足に体重をかけてしまうことが多いと思います。
後は、バッグを肩から掛けるときに、常に右肩に掛けているのも良くないようです。
これは早速改善しようと思い、ここ何日か左掛けに変えています。
慣れない左掛けはなかなか歩きずらいのですが。。。
このまま腰痛に悩まされるよりはずっとましだと思い、意識して取り組んでいます。
駅で電車を待つときも、右に重心が傾かないように気をつけています。

そしたら何と、今日の朝はあまり痛くありませんでした。
早くも効果が出てきたのでしょうか
催眠療法の要領で、「重心を改善すれば問答無用で腰痛も治る」と思った結果、治ってきたのかも知れませんが(笑)
重心のずれというのは、多くの人に見られることだと思うので、みなさんも気をつけてください。

第53回有馬記念ファン投票

2008-12-18 21:48:30 | スポーツ
12月28日に行われるグランプリ・第53回有馬記念のファン投票が先日締め切られ、以下のような結果になりました
ファン投票の上位10頭には、有馬記念への優先出走権が与えられます。
以下に上位20頭を掲載します。


順位  馬名         投票数     性年齢   出否   
1   ウオッカ        136,619   牝4     ×  
2   ダイワスカーレット  131,460   牝4     ○  
3   メイショウサムソン  113,124   牡5     ○  
4   マツリダゴッホ    110,192   牡5     ○ 
5   ディープスカイ     109,966  牡3     ×
6   オウケンブルースリ  77,512   牡3     × 
7   カワカミプリンセス   65,554   牝5     ○   
8   アサクサキングス   60,796   牡4     ○   
9   カンパニー       35,755   牡7     ×  
10  ポップロック      32,682   牡7     ×   
11  ドリームジャーニー  31,396   牡4     ○  
12  エイシンデピュティ  31,367   牡6     ○    
13  ドリームパスポート  30,782   牡5     ×  
14  ユキチャン       25,724   牝3     × 
15  スーパーホーネット  24,695   牡5     ×  
16  アルナスライン    23,127   牡4      ○ 
17  インティライミ     21,292   牡6      ×
18  ポルトフィーノ     20,884   牝3      ×
19  リトルアマポーラ   20,711   牝3      ×
20  マイネルチャールズ 19,724   牡3      ×

50  スクリーンヒーロー  6,732   牡4      ○


一番右の「出否」は、出走するかどうかの意志です。
回避する馬が多いようですが、出走する馬はなかなかの強豪揃いとなっています
天皇賞(秋)二着からここに直行してきたダイワスカーレットは、噂によると有馬記念の先に海外遠征を睨んでいるとのこと。
中七週のローテーションには好感が持て、デビュー戦から続いている連続連対記録の更新に期待がかかるのはもちろんのこと、牝馬として何十年ぶりの快挙となる有馬記念制覇にも期待がかかります

昨年の覇者マツリダゴッホも、来年は海外に長期遠征する計画があるそうです。
昨年は伏兵という扱いでしたが、今年は主役級として有馬記念の舞台に参戦することになります。
中山大王などという呼ばれ方をされているように、この馬は中山競馬場が得意なようです。
地の利があるだけに、上位争いは必至かと思います。

メイショウサムソンは、今回が引退レースとなります。
今年はGⅠを勝てませんでしたし、ラストランで有終の美を飾ってほしいところですが、さすがに今回ばかりは厳しいか…
何とか頑張ってほしいと思います。

その他にもカワカミプリンセス、アサクサキングス、エイシンデピュティといったGⅠ馬が参戦。
特にカワカミプリンセスは全盛時の力を取り戻しつつあるようなので、もしかしたら激走があるかも知れません。
そして忘れてはいけないのが、先のジャパンカップを制したスクリーンヒーロー。
ジャパンカップの時点では伏兵の扱いだっただけに、ファン投票の順位も50位になってしまっています
ジャパンカップ優勝馬が50位とは、あんまりな気もしますが。。。
何しろ数ヶ月前までは無名に近い存在だったので、仕方ないですね。
父グラスワンダーが中山競馬場を得意としただけに、スクリーンヒーローも好走の余地はありそうです。

というわけで、GⅠ馬もたくさん出てくるので盛り上がりそうですね
有馬記念は夢を賭けるドリームレースなので、自分の好きな馬に夢を託すのも良いかも知れません
レースが今から楽しみです

色々なファッション

2008-12-16 23:32:55 | ウェブ日記
街を歩いていると、良い感じな女性ファッションを目にする機会も多いです。
面白いことに、渋谷と恵比寿のように、一駅しか離れていない場所でも、そのファッションにはかなりの違いがあるようです。
色々な街を散策してきたので、その違いは度々目にしてきました。
今回は東京のそれぞれの地で代表的と思われるファッションをまとめてみました。
概ね、以下のようになるのではないかと思います。
原宿や渋谷はさすがに色々なタイプのファッションを見かけました。
「流行の発信地」の名は伊達ではないようです
これらの場所に出かける際は、その地の雰囲気に合ったファッション選びをすると良いかも知れませんね。


池袋…ギャル系、派手系
新宿…ギャル系、派手系
原宿…エレガンス系、アラビアン系、ティーン系、ボーイッシュ系、ゴスロリ系
渋谷…ギャル系、ティーン系、アラビアン系、ボーイッシュ系
恵比寿…エレガンス系、キレイ系
代官山…エレガンス系、キレイ系
新橋…OL系
銀座…エレガンス系、派手系、スタイリッシュ系
丸の内…OL系、エレガンス系
上野…エレガンス系
秋葉原…アキバ系


違っているのもあるかも知れませんが、大体の流れはこんな感じのはずです。
秋葉原のアキバ系は、色々な種類を含んでいそうですが。。。
また、新宿と原宿も二駅しか離れていないのに、道行く人たちのファッションは全く違っていて、これはそれぞれの街の特性が現われているような気もします。
私的に憧れるのは、恵比寿だったりします。
歩いてみるとよくわかりますが、池袋や新宿あたりとは、ファッションに歴然たる差があります。
伊達にお洒落な街ではないなと実感しました。
好みの分かれるところなので、一概にどちらが良いとは言えませんが、私は恵比寿のファッションのほうに惹かれます

そんなわけで、ちょっとしたファッションの分析をしてみました。
気休め程度に参考にしてみてください。
それではまた

各地のクリスマスイルミネーション

2008-12-14 21:48:03 | フォトギャラリー
今回は池袋、八王子、新宿のクリスマスイルミネーションをお届けします。
あまり枚数はありませんが、それぞれの地の雰囲気は伝わるかと思います。
同じ東京でも、地域によって色々なイルミネーションがあって良いですね
それではフォトギャラリーをお楽しみください


---------- 各地のクリスマスイルミネーション ----------

☆☆☆ 池袋 ☆☆☆






この写真は雰囲気が出ていて気に入っています^^


池袋は一つ一つのデザインが凝っていますね。
私は三枚目の写真のクリスマスツリーが良いなと思いました


☆☆☆ 八王子 ☆☆☆








八王子は池袋や新宿に比べると田舎になるので、イルミネーションもちょっと控えめのようです。
でもデザインにアットホームな雰囲気があって良いなと思います


☆☆☆  新宿 ☆☆☆


新宿はどの写真もクリックすると拡大されます。


アルタ前の広場にいます。
さすがにイルミネーションのレベルが高いですね。




青色ベースのイルミはなかなか良いですね




新宿は三大副都心の中でも一番規模が大きいので、イルミネーションも華やかですね。
が。。。一見無敵に見える新宿のイルミネーションですが、これをさらに上回るのがあります。
それはやはり、横浜みなとみらいだと思います。
さすがの新宿も、みなとみらいには敵わないような気がします。
本当はこの記事にみなとみらいも入れたいところでしたが、またの機会ということで。
各地のイルミネーションを見ていくと、それぞれの特色もわかって面白いなと思います。


※フォトギャラリー館を見る方はこちらをどうぞ。

八王子で忘年会

2008-12-14 14:05:18 | ウェブ日記


昨日は八王子で忘年会がありました。
六人集まったので、久しぶりに賑やかになりました。
写真はJR八王子駅を写したもの。
改札を出たところで待ち合わせて、居酒屋へと向かいました。

たぶんチェーン店だと思うのですが、行ったことのない店でした。
料理がかなり美味しかったです。
私にしては珍しく、酒も進みました。
生絞りのサワーを飲んだのですが、これは美味しかったです。
オレンジを丸々一個絞ったので、果汁たっぷりでした。

酉がメインの店で、揚げ物、ソテー風のもの、他にはチャーハンや豆腐料理など、色々なものを食べました。
けっこうな品数を頼んでいたので、会計の伝票には30000円強の数字が。。。
一人あたり、5000円くらいは飲み食いしていたというわけですね
すごいなあと思いました。
まあ、たまには良いのではないかと思います。

久々に楽しめて、沈みがちだった気分もいくらか上向いてきました
帰り際に少しだけ散歩して、クリスマスムードの八王子の街を見てまわりました。
何枚か写真を撮ったので、後で普段とは少し違ったフォトギャラリーをアップしようと思います。

「赤・黒 池袋ウエストゲートパーク外伝」石田衣良

2008-12-14 00:35:36 | 小説
今日は専門学校時代の友達と忘年会をしました。
その記事を書きたいところでしたが、電車の移動中にレビュー記事を書いたので先に掲載します。

今回ご紹介するのは「赤・黒 池袋ウエストゲートパーク外伝」(著:石田衣良)です。

-----内容-----
しがない映像ディレクターの小峰に、時給1億円というカジノ売上金強奪の声がかかる。
襲撃は成功!だが目の前で金を横取りされ…。
人生のどん底につき落とされた小峰に、容赦なく裏社会の影が襲いかかる。
赤か黒、全てをその一瞬にかけ、逆転を狙う男達の死闘が始まった―。
緊迫感必死のクライムサスペンス!

-----感想-----
タイトルの赤・黒はルージュ・ノワールと読みます。
たぶんルーレットの台の赤色と黒色から取ったのだと思います。
お金を強奪し、しかもそれを横取りされてしまうという展開は、井坂幸太郎さんの「陽気なギャングが地球を回す」が思い起こされました。
ただし本作では、陽気どころか本物のアンダーグラウンドな人達が出てきますが。。。
主人公の小峰含む四人の男たちは、氷高組(ひだかぐみ)が運営する地下カジノの売上金強奪を計画します。
計画自体は無事に成功。
しかし成功したと思ったのも束の間、そのお金を横取りされてしまいます。
さらに氷高組の追っ手に捕まり、小峰は絶体絶命に…。

ちなみに氷高組は、池袋ウエストゲートパークに何度もその名が登場しています。
マコトが事件を解決する際、氷高組の「サル」という男の力を借りることがあります。
中学時代の同級生なのですが、いつの間にかヤクザになっていたようです。
今回の外伝では、そのサルも大活躍します。

小峰は一ヶ月の猶予期間をもらい、お金を横取りした相手を捜すことになります。
その監視役としてサルが付き、行動を共にしながら少しずつ犯人の足跡をたどっていきます。
そして明らかになる、驚愕の事実。
どうやってこの事件に決着をつけるのか、とても興味深かったです。

外伝だけあって、池袋ウエストゲートパークシリーズには登場しない人達を中心に、話が進んでいきました。
緊迫感必死のクライムサスペンスとあったので、当初はきつい内容を想像していました。
しかし読んでみると、話のテンポが良くてとても読みやすかったです。
ヤクザな人達がたくさん出てきますが、話はとても面白かったです。
「キング」こと安藤崇も出てきたし、マコトの名前もチラッと出てきて、本編の雰囲気も少しだけありました。
語りがマコトから第三者目線に変わった分、普段とは違った雰囲気が楽しめました。
伝説のルーレットプロなども登場し、なかなか登場人物の多い作品だったと思います。
それらの人物が繰り広げるスピード感のある物語は、一読の価値ありです。
外伝としてとても楽しめる作品でした。


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メール

2008-12-11 23:09:24 | ウェブ日記
さきほど、妹にメールをしてみました。
今日が妹の誕生日なので、お祝いのメールを送りました
そしたら返事が返ってきて、何回かやりとりをしました。

メールで思い浮かぶのは二年前、大阪にいたときのこと。
深夜に電車に乗って帰宅途中、妹からメールが来たのです。
そのメールの馬鹿げた内容にイラついた私は、メールを無視しました。
人が仕事帰りで疲れているというのに、何なんだこのメールは、と思いました。
今思えば、ひどいことをしたと思います。
何か返事のメールをするべきだったと、たまに思い出して後悔することがあります。
とはいえ、ただでさえイライラしているところに、空気の読めていないメールを送りつけられたら、果たして怒らずにいられるでしょうか。
向こうはこちらがイラついていることは知らないので、何も悪くはないのですが…
もっと心の器を大きくしたいなと思いました。

今日はそういったことが頭をよぎる日でした。
どうも最近、気持ちの揺れが激しいようです。
今年春のことも思い出され、嫌な気持ちになりました。
もう何ヶ月も経っているのに未だに尾を引いているとは、自分でも驚きです。
ひょっとすると予想以上に深刻なダメージだったのかなと思います。
あまり考えたくはないですが、おそらくもっと休む必要があったのだろうと思います。
自分ではけっこう休んだつもりでいましたが、どうもダメなようです。
とはいえ、私自身が早めに活動し始めるべきだと判断して決めたことなので、今さら後悔はありません。

高校のとき、部活の顧問の先生が言っていた言葉があります。
「心・技・体が揃ってはじめて、良い形になる」
自分自身を見つめれば、今は心技体の心がイマイチなのがわかります。
時間が解決してくれるのを待つしかありません。

そんな中、色々な人のブログを見ていると随分元気付けられます。
妹と交わした他愛もないメールからも元気をもらいました。
記事を書く気力だってあるのだし、きっと何とかなるはず。
前向きに考えたいと思います。

「光」三浦しをん

2008-12-08 21:47:05 | 小説
今回ご紹介するのは「光」(著:三浦しをん)です。

-----内容-----
あれは罪じゃない。するべきことをしただけだ。
天災ですべてを失った中学生の信之。
共に生き残った幼なじみの美花を救うため、彼はある行動をとる。
二十年後、過去を封印して暮らす信之の前に、もう一人の生き残り・輔(たすく)が姿を現わす。
あの秘密の記憶から、今、新たな黒い影が生まれようとしていた―。

-----感想-----
久しぶりに三浦しをんさんの小説を読みました。
三浦しをんさんのすごいところは、一作ごとに作風が違っている点だと思います。
今回の「光」は、タイトルとは全く逆の、闇の雰囲気を持っていました。

物語は大きく五段落に分かれています。
それぞれの段落ごとに、語り手が変わっていくという構成でした。
最初の一段落は、美浜島という島が舞台になっています。
中学生の信之と美花、小学生の輔などがその島で暮らしていました。
人口は300人足らずの、のどかな島です。
この島にある日、恐ろしい天災が降りかかります。
生き残ったのはわずかに5人。
信之の両親などもみな死んでしまいました。
信之の幼なじみの美花も生き残っていたのですが、美花の身にトラブルが起こり、信之は美花を救うためにある犯罪をしてしまいます。
事件は信之と美花の胸の内にしまわれ、全ては闇に葬り去られた……はずでした。
しかし二十年後、もう一人の生き残りである輔が信之の前に現われたことによって、封印されていたはずの事件が呼び起こされます。

信之の重い過去を背負って生きる姿は、松本清張の「砂の器」と似ているなと思いました。
砂の器は2004年の1~3月に連続ドラマになったので、ご存知の人もいるかと思います。
忘れたい過去の記憶が、唐突に現われた人物によって引っ掻き回されるのは、嫌なものだと思います。

信之の前に輔が現われたことによって、かなり重い人間ドラマが繰り広げられていくことになります。
今まで読んできた三浦しをんさんの作品の中では一番重い作品でした。
こういった作品も書けるのかと思いました。

第二~第五段落は、美浜島時代から二十年後が舞台です。
信之は既に結婚し、子供もいます。
各段落は、それぞれの語り手から見た過去のことや、現在のことが描かれています。
ある段落では、輔は最低な人間だなと思ったのですが、次の段落では信之もひどい奴かも…と思ったりしました。
信之の妻の南海子もひどいところのある人で、それぞれの人物の心の影の部分が描かれているような作品だったと思います。
そういった意味では、少し「私が語りはじめた彼は」と似ているような気もします。
しかし「私が語り始めた彼は」はシリアスさの中に人間ドラマの面白さがある感じでしたが、こちらはシリアスさの中に人間の醜さや怖さがある作品でした。
それでも終わり方が比較的穏やかだったので、読後感はそれほど悪くなかったです。
この静かに燃え上がるような人間ドラマの中で、最後がうまくまとまったのは、さすが三浦しをんさんだと思います。

今回も三浦しをんさんの新たな一面が見られました。
ただ、だいぶ重い作品だったので、次はもう少し軽めの作品を読みたいなと思います。
来年は「まほろ駅前多田便利軒」の続編となる「まほろ駅前番外地」が発売されると思うので、今から楽しみです


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