読書日和

お気に入りの小説やマンガをご紹介。
好きな小説は青春もの。
日々のできごとやフォトギャラリーなどもお届けします。

お風呂と入浴剤

2016-06-13 23:45:07 | ウェブ日記
引越しを機に、ここ数年シャワーで済ませていたお風呂を湯舟にも浸かるようにしました。
また湯舟に入浴剤を入れるようにしました。
以前から湯舟にも浸かろうかなと思ってはいたものの、億劫でついついシャワーで済ませてしまっていました。
引越しのタイミングは心機一転に良いかと思います。

シャワーで済ませるのは時間は短縮されますが体の疲れは取れません。
特に最近は体の疲労を感じることが多いので湯舟に浸かることの良さを見直すようになりました。
そしてせっかくなら入浴剤も入れてみようと思い、日々色々な香りを試しています。

湯舟にじっくり浸かるのは体が芯から温まってなかなか良いものです。
また湯舟に浸かって脚や肩をほぐすと、脚の疲れや肩の凝りが少し軽くなります。
次の日起きた時の疲労感も湯舟に浸かった場合のほうが少ないです。
毎日続けていれば疲労を和らげられるのではと思います。
お風呂の時間をじっくり取って疲労回復に努めていきたいと思います。

市役所ご飯

2016-06-12 23:59:53 | ウェブ日記
写真は岩国市役所で食べた日替わり定食です。
引越しがあったため、転出の手続きで久しぶりに岩国市役所に行きました。
そして市役所一階にある食堂が目に留り、この地を旅立つのなら最後に市役所のご飯でも食べてみようかなと思い寄りました。
「四季音」という名前の食堂でした。
市役所の職員さんの他に業者さんや高齢者さん、小さな女の子を連れたお母さんの姿などもあり、いかにも市役所のお昼といった雰囲気でした。
そしてかなり盛況だったのが印象的です。

定食はあじの天ぷらをメインにしていました。
この天ぷらが予想以上に美味しくて驚きました。
あじの美味しさが上手く引き出されていて、何も付けずにそのままどんどん食べていきました。
そのほか副菜として焼きうどんやもやしのピリ辛炒め、こんぶを細くカットして味付けしたものなどがありました。
どれも美味しくて、全体的に美味しく仕上がった定食だと思います。
値段は550円と安く、安い上に美味しいというのは素晴らしいと思います。
ご飯は各自で好きな量を盛ってよく、しかも柔らかめで美味しく炊き上がっていました。
ご飯もおかずも美味しく、良い定食だと思いました。
たまに自分が住んでいる地域の役所のご飯を食べてみるのも良いかも知れません。

中部地方へ

2016-06-11 22:31:32 | ウェブ日記
先日転勤により引越しをしました。
今回は愛知県に引越しました。
山陽地方から中部地方へとやってきました。

愛知県は日本の真ん中辺りにあり、東日本、西日本に対して「中日本」と呼ばれています。
実家への帰省の際には山陽地方よりは短い時間で帰れるようになりました。

愛知県といえば東京、大阪と共に三大都市に名を連ねる名古屋があります。
JR名古屋駅もかなり大きく、なかなか都会的な雰囲気があります。
また、名古屋城をはじめ観光名所もあるようです。
食べ物は味噌カツ、鶏の名古屋コーチン、ウイロウなどが思い浮かびます。
山陽では広島のお好み焼きを食べるのが楽しみでしたが、愛知県では味噌カツと名古屋コーチンの親子丼などを食べてみたいと思います。
まだ引っ越したばかりで地域に慣れていないので、段々と慣れて色々な場所に出かけて行きたいと思います。

「嫌われる勇気」岸見一郎 古賀史健

2016-06-10 19:05:26 | 心理学・実用書


今回ご紹介するのは「嫌われる勇気」(著:岸見一郎 古賀史健)です。

-----内容-----
フロイト、ユングと並び「心理学の三大巨頭」と称され、世界的名著『人を動かす』の著者・D.カーネギーなど自己啓発のメンターたちに多大な影響を与えたアルフレッド・アドラーの思想を、1冊に凝縮!!
悩みを消し去り、幸福に生きるための具体的な「処方箋」が、この本にはすべて書かれている。
「人生が複雑なのではない。あなたが人生を複雑にし、それゆえ幸福に生きることを困難にしているのだ」
「『変われない』のではない。『変わらない』という決断を常に行っているだけだ」
「自由とは、他者から嫌われることである」
他者の期待を満たすために生きてはいけない。
アドラー心理学の新しい古典。

-----感想-----
この本は人生に悩む「青年」と、アドラー心理学を修得した哲学者「哲人」の対話という形で物語が進んでいきます。
物語の舞台は京都で、青年はこの地に一風変わった哲学者が住んで「人は変われる、世界はシンプルである、誰もが幸福になれる」という看過しがたい理想論を唱えているという噂を聞いてやってきました。
青年は実際に自分の目で哲学者の主張を確かめて、おかしな点があればその誤りを正してあげようとしていました。

世界について「誰がどう見ても矛盾に満ちた混沌ではありませんか!」という青年に対し、哲人は「それは「世界」が複雑なのではなく、ひとえに「あなた」が世界を複雑なものとしているのです」と言います。
そして「あなた自身が変われば、世界はシンプルな姿を取り戻します。問題は世界がどうであるかではなく、あなたがどうであるかです」と言っていました。
世界が複雑になるかシンプルになるかはその人の考え方次第だということのようです。
反論する青年の語り口が面白く、「ははっ、大きく出ましたね!おもしろいじゃありませんか、先生。いますぐ論破してさしあげますよ!」というような台詞をよく言っていました。
そしてことごとく哲人に論破されることになります。

哲人の専門はギリシア哲学ですが、「もうひとつの哲学」としてオーストリア出身の精神科医、アルフレッド・アドラーが20世紀初頭に創設した「アドラー心理学」も修得していました。
フロイト、ユング、アドラーは最初は一緒に精神分析学を研究していましたが、後に考え方の違いからアドラーとユングはフロイトから分派し、アドラーは個人心理学(アドラー心理学)を、ユングは分析心理学(ユング心理学)を確立します。
そして哲人にとって「アドラー心理学はギリシア哲学と同一線上にある思想であり哲学」とのことです。

哲人は過去について、「過去など関係ないというのがアドラー心理学の立場」と言っていました。
アドラー心理学では過去の「原因」ではなく、いまの「目的」を考えるとのことです。
青年には外に出た時の不安感から引きこもりになっている友人がいるのですが、哲人によると「アドラー心理学では友人は不安だから外に出られないのではなく、外に出たくないから不安という感情を作り出している」と考えるとのことです。
外に出ないという目的が先にあって、その目的を達成する手段として不安や恐怖といった感情をこしらえており、アドラー心理学ではこれを「目的論」と呼ぶとのことです。
「不安だから外に出られない」という原因論とは違いがあり、我々は原因論の住人であり続けるかぎり、一歩も前に進めませんとありました。
この目的論の考えに青年は猛反発していて、私も違和感を持ちました。
全ての事例を目的論で片付けるのは無理があるのではと思います。

哲人は「アドラー心理学では、トラウマを明確に否定します」と言っていました。
フロイト的な原因論ではトラウマを重視しますが、アドラー心理学ではトラウマは存在しないと考えるとのことです。
また、アドラーはトラウマの議論をする中で次のように語っていたとのことです。

「いかなる経験も、それ自体では成功の原因でも失敗の原因でもない。我々は自分の経験によるショックーーいわゆるトラウマーーに苦しむのではなく、経験の中から目的にかなうものを見つけ出す。自分の経験によって決定されるのではなく、経験に与える意味によって自らを決定するのである」

経験に与える意味によって自らを決定するとありますが、これは例えば、女性が男性から酷い目に遭わされて激しい精神的ショックを受けて男性不信になっている場合にもこの言葉を言うつもりなのでしょうか。
私はそういうのこそ「トラウマ」と言うのだと思いますし、トラウマの全てを「存在しない」と否定することはできないと思います。

哲人は「変わることの第一歩は知ることにある」と言っていました。
また、自分のことを好きかどうかについて、「少なくとも別人になりたいとは思いませんし、自分が「この私」であることを受け入れている」と言っていました。
自分が「この私」であることを受け入れているというのは良い考え方だと思います。
自分自身と向き合い、長所も短所も受け入れてあげるのが一番良いと思います。
哲人がアドラーの言葉で印象的なものを紹介していました。
「大切なのはなにが与えられているかではなく、与えられたものをどう使うかである」
これは良い言葉だと思います。
「この力がない」とないことを悔やむより、「今あるもの」に目を向けたほうが良いです。

不幸についての話で、哲人は「いまのあなたが不幸なのは自らの手で不幸であることを選んだからなのです」と言っていました。
これも極端な考え方だなと思います。
哲人は次のようにも言っていました。

「アドラー心理学は、勇気の心理学です。あなたが不幸なのは、過去や環境のせいではありません。ましてや能力が足りないのでもない。あなたには、ただ“勇気”が足りない。いうなれば「幸せになる勇気」が足りていないのです」

アドラー心理学の本では「勇気」という言葉が何度も出てきます。
そしてこの「勇気を持て」という考えは企業が社員への研修で好むであろうと思います。
手っ取り早く「変わるためには勇気を持て。心理学三大巨頭のアドラーもそう言っている」と言うことができるからで、何だかアドラー心理学が研修で都合よく使われるのではという懸念を持ちました。

対人関係で悩んだり傷ついたりすることについてのアドラーの言葉は興味深かったです。
「悩みを消し去るには宇宙の中にただひとりで生きるしかない」
これは良い言葉だと思いました。
実際にはそんなのは無理であり、それぞれ悩みを持ちながら生きています。

「優越コンプレックス」という言葉も興味を惹きました。
例として権力者(学級のリーダーから著名人まで)と懇意であることをアピールし、それによって自分が特別な存在であるかのように見せる人が挙げられていて、このタイプの人は見たことがあります。
一番印象的だったのが歌舞伎俳優の市川海老蔵さんが不祥事を起こした際、電車の中で「私のお母さんが芸能界にコネがあってさ。海老蔵の家の詳しい情報も入ってくるの。海老蔵も馬鹿だよねー」と友達に話していた女の人でした。
かなり大きな声で話していて、それが聞こえていた私は「たぶんこの人は母親が芸能界にコネがあるのを周りに見せつけたいんだろうな」と思いました。
哲人によるとそういう人は「わたし」と権威を結びつけることによって、あたかも「わたし」が優れているかのように見せかけ偽りの優越感に浸っていて、その根底には強烈な劣等感があるとのことです。

「優越性の追求」について、哲人は「自らの足を一歩前に踏み出す意思であって、他者よりも上を目指さんとする競争の意思ではない。誰とも競争することなく、ただ前を向いて歩いていけばいい」と言っていました。
人は人、自分は自分ということで、とても良い考えだと思います。
ただし変な解釈をして「小学校の運動会の徒競走などで順位付けをするのは他者との競争になり良くない。アドラー心理学も誰とも競争することなく前を向いて歩いていけば良いと言っている。順位付けは撤廃すべきだ」というような妙な主張になりかねないので注意が必要だと思います。
この辺り、アドラー心理学は言っていることが非常に具体的であるだけに、変な解釈をして悪用する人が出るのではと懸念しています。

アドラー心理学では人間の行動面と心理面のあり方について次のように目標を掲げているとのことです。

行動面の目標
1.自立すること
2.社会と調和して暮らせること

この行動を支える心理面の目標
3.わたしには能力がある、という意識
4.人々はわたしの仲間である、という意識

また、アドラー心理学は「承認欲求」を否定するとのことです。
承認欲求とは他者から認められたいという思いのことで、この気持ちがあると自分ではなく他者の人生を生きることになるので良くないとありました。
承認欲求があるのは「適切な行動を取ったらほめてもらえる、不適切な行動を取ったら罰せられる」という賞罰教育の影響とのことです。
そしてアドラーはこうした賞罰教育を厳しく批判していたとありました。
親が子を誉めたり怒ったりして育てようとするのは間違っているとあり、なるほどと思いました。
ただ一切誉めてはいけないというのは極端ではと思います。

哲人によると、ある国に「馬を水辺に連れていくことはできるが、水を呑ませることはできない」ということわざがあり、アドラー心理学におけるカウンセリングや他者への援助全般も、そういうスタンスとのことです。
そこから哲人が言っていた「自分を変えることができるのは自分しかいない」というのはそのとおりだと思います。
自分の強い意思によって初めて変われるものだと思います。

哲人は「自由とは他者から嫌われることである」と言っていました。
「あなたが誰かに嫌われているということは、あなたが自由を公使し、自由に生きている証であり、自らの方針に従って生きていることのしるしなのです」とありました。
さらに「幸せになる勇気には、「嫌われる勇気」も含まれる」とありました。
周りから好かれるために周りの目ばかり気にしていたのではとても自由とは呼べないということであり、良い考えではあると思います。
ただし受け取り方を間違えると何でもかんでも自分勝手に振る舞って周りを凄く不快にさせる存在になりかねないので注意が必要です。
この辺り、やはりアドラー心理学は「勇気を持て」と体育会系な面があったり、極端なことを言う原理主義的な面もあり、解釈の仕方に気を付けるべきと感じています。

物語の最後、「いま、ここを真剣に生きること」について哲人と青年が熱く語り合っていました。
例えば遠い将来の受験に向けて勉強をしている「いま、ここ」も準備期間ではなくすでに本番という考え方で、これは良い考え方だと思います。
毎日少しでも良いから数式を解いたり単語を覚えたりするとそこには必ず「今日できたこと」があり、今日という一日はそのためにあったと考えるようです。
決して遠い将来の受験のために今日があるのではないとありました。
「いま、ここを真剣に生きる」とはそういった意味です。

私はこの本を読む前にユング心理学の本を読んでいるので、ユング心理学との違いを感じながら読み進めていきました。
ユング心理学は抽象的なのであまり具体的な批判はないですが、アドラー心理学は具体的なので批判点も明確になるなと思いました。
ユング心理学もアドラー心理学も心理学として目指す方向は「自分自身を生きやすくする」で同じだと思います。
その方法がユング心理学ではしなやかに、アドラー心理学では力技でという印象を持ちました。
私の感性にはユング心理学のほうが合うのでユング心理学をベースに、アドラー心理学も良い面は取り入れ、自分自身を生きやすくすることに役立てていければと思います。


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梅雨入り

2016-06-07 00:08:40 | ウェブ日記
先週の土曜日、九州地方から東海地方の広い範囲にかけて梅雨入りの発表がありました。
岩国は梅雨入りの発表があった土曜日は一日ずっと雨の降りやすい状態が続いていました。
強く降るわけではなく静かにシトシトと降っていて、いかにも梅雨らしい雨です。
日曜日は朝少し降った以外は時折霧雨が舞うくらいでしたが空は一日ずっといつ雨が降ってもおかしくないような雰囲気でした。
また、日曜日は関東甲信でも梅雨入りの発表がありいよいよ雨の気節に入ったなと思います。

意外なことに関東では雨の降らない状態が続いてかなり空気が乾燥していたようで、つい先日この時期としては異例の乾燥注意報が出ていました。
そして前回この時期に乾燥注意報が出たのは2004年とのことです。
この年は記録的な猛暑になった年で、梅雨入り後も晴れて暑くなる日が多くあまり雨が降らず、7月10日くらいで早々に梅雨が明けました。
この梅雨明けの早さも記録的だったのをよく覚えています。
そして梅雨明け後は連日猛暑の凄まじい夏になりました。
この2004年と梅雨入り直前の状況が似ているのは気になるところです。
また、今年の関東地方は梅雨入り後もあまり雨が降らないかも知れないと言われていて、それも状況が似ています。
私は夏は晴れて暑くなってこその夏だと思うのでそれなりに暑くなる分には良いですが、連日猛暑日というような圧倒的な暑さになるとさすがに辛いです。
また、夏に備えるためにも梅雨の時期は例年どおり雨が降ってほしいと思います。
今年の夏がどんな夏になるのか、今から気になっています。

「ユング心理学へのいざない」秋山さと子

2016-06-05 23:59:51 | 心理学・実用書


今回ご紹介するのは「ユング心理学へのいざない」(著:秋山さと子)です。

-----内容&感想-----
文章がですます調で語られていて、とても丁寧な語り口の本でした。
1ページの行数を数えてみると15行でシンプル目の小説と同じくらいで、文字も少し大きめになっていて読みやすかったです。

「元型的イメージについて知ることはユング心理学の中心的課題であるとともに、人間の内的な世界を探究する鍵となる」とありました。
元型とは人間の心の中に場所や時代を超えて受け継がれてきた共通のイメージパターンです。
母親元型や父親元型などがあります。

この本では夢との対話である「夢分析」について詳しく
書かれていました。
夜に眠っている間の、暗い無意識の中の世界の動きを何とかしてとらえ、それにある程度筋道を通して考えてみようというのが夢分析とのことです。
こちらが夢に興味を持ち出すと、意識が向けられたことで刺激されるためか、夢の背景にある無意識の動きが活発になって、夢を通して色々なことを伝えてくることがあるというのは興味深かったです。
ただし夢分析については専門家ではない人が本格的に分析しようとするのはあまり良くないようです。
これは間違った解釈をして深刻に考え込んでしまったりする場合があるからだと思います。
私としては「嫌な夢を見た場合は心が疲れているから気分転換をしよう」など、軽く分析するくらいが良いのだろうと思いました。
そして本格的に分析したい場合は分析家に付いて一緒に分析する形のほうが良いとありました。
分析家というのは臨床心理士ように高度な心理の知識を持っていてさらに夢の分析についても高度な知識を習得している人のことだと思います。
ユング派による夢分析については次のように書かれていました。

ユング派による夢分析は、誰かが誰かの心の状態を分析するというようなものではなくて、夢について相談するものと、その相談を受けるものの二人が、明瞭な意識を持って協力し、二人の知識と連想を駆使して、夢を通して意識的世界に訴えてくる無意識の謎を解こうとすることです。

「夢は予想外の強い影響力を持つものですから、みだりに夢について考えたり、勝手な発言をすることは危険です。それは自分の夢について考える時も同様です。」
これは良いことを書いていると思いました。
分析家は相手への影響を考えて慎重に発言をすることが大事だと思いますし、夢が訴えているものを知りたいと考える人は深刻に考え過ぎないようにすることが大事だと思います。

絵について、子供の描く絵のほうが大人が描いた絵より内的世界が現れるとありました。
また、子供たちの絵の中にある輝きや力強さは、明らかに無意識の領域から現れる元型的イメージと関連があるとのことです。

「元型的イメージは大きな力を持つものとして古代の神像や宗教的な文献、儀礼の中に残されて、今日まで伝えられてきました。
さらに、古今の芸術家の作品の中にも、深い感動と神秘的な美しさを感じさせるものとして、表現されてきました。」
これらのことから、「集合無意識の概念は芸術や文学とも関わる」とあったのは興味深かったです。
優れた芸術家や小説家などは集合無意識がもたらす元型的イメージによるひらめきを巧みに捉えて、誰の目にも見えるもの、聞こえるもの、考えられるもの、感じられるものとして表現できるとのことです。
それが特に顕著な例としてピカソの絵が紹介されていました。

ペルソナという、どんな人でも持っている社会の中でつける仮面があります。
自分とペルソナを混同しないようにしなければ、自分のつけた仮面に自分自身が振り回されることになります。
「先生や医者はついそれを忘れていつでも権威的な態度をとりがちで、商人はあいそ笑いがくせになり、芸能人は普段の自分に戻っても人気者である癖が抜けなくてかっこばかりつけがち」とありました。
元型のシャドウ(影)についても書かれていました。
シャドウは自分自身の心の奥底にある「こういう人は嫌だな」というような暗い部分のことです。
この本はペルソナやシャドウについて詳しく書かれていてすごく分かりやすかったです。

グレート・マザー(太母)という元型イメージについても書かれていました。
母親の胎内を思わせるようなトンネルや洞窟、あるいは迷路、その中に住むドラゴンや魔女や海獣たち、さらにこれとかかわる蛇の持つ大地的なエネルギーなどがグレート・マザーの元型イメージです。
人間が一人の個人として自分の足で大地を踏みしめてしっかりと立ち上がるためには、心の奥にある本能的な母のイメージと戦って、その力を明るい意識の光で照らし、自我の領域に取り入れていかなければならないとのことです。
母のイメージに無意識なままでいるとあらゆるものを飲み込む鬼のような恐ろしい力となって現れる場合があるようです。
私は幼稚園生くらいの子供の時に自分が押し入れの中に入っていて、その押し入れを開けて恐ろしい顔の鬼が入ってくるという悪夢を見たことがあり、今でも覚えています。
ひょっとしてあれは集合無意識がもたらすグレート・マザーの元型イメージだったのかも知れないと思いました。

火は意識の象徴、水は無意識の象徴とのことです。
たしかに火は無意識のうちでは起こせず意識して起こすものですが、水は無意識のうちに飲んでいるということがあります。

臨床心理の現場での夢分析、箱庭療法、自由画の例を用いながら元型的イメージなどを説明していましたが、そんなに難しくはなく興味深く読むことができました。
既にユング心理学の本は「ユング名言集」「面白くてよくわかる!ユング心理学」「ユング心理学でわかる8つの性格」の三冊読んでいて下地があったのも大きいです。
私はユング心理学はとてもしなやかな心理学という印象を持っていて、私の感性と合うなと思います。
心を知ることで自分自身を生きやすくすることに役立てて行きたいと思います。


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消費税増税延期 最初から特別扱いの人達

2016-06-04 20:43:28 | 政治
6月1日、安倍晋三首相が国民に向けて記者会見を開き、消費税増税の延期を表明しました。
当初は2017年4月に消費税率10%への引き上げを予定していましたが、2019年10月まで2年半延期するとのことです。
また、この判断の是非について7月10日に行われる参議院選挙で国民に信を問うとのことです。

私は消費税についてはいつかは10%に上げざるを得ないと思っていますが、何が何でも来年4月に上げろとまでは思っていないです。
中国経済が今後さらに失速した場合に日本経済及び世界経済に与える影響が懸念され、その状況下で消費税を10%に上げるのは無茶だと思います。
その危険性に備えての増税延期の判断だと思います。

また、よくテレビにキャスターやコメンテーターとして出るようなお金に余裕のある人達とは違う一般の国民、特に家計を預かる主婦にとっては「しばらく上がらないならラッキー」が正直な心境ではないかと思います。
10%だと1万円の買い物をした場合には千円も税金を取られることになり、さすがに心理的にも家計的にも負担が大きいです。
なので上げる場合には今問題となっている「中国経済の失速」のような、日本経済に悪影響を及ぼす危険要因がなくてさらに日本経済自体も好調という、二つの要因が両方とも揃っている時に上げるべきだと思います。

ちなみに消費税の8%から10%への引き上げについて、新聞は「国民の知る権利」を盾にして8%のままにすべきだと主張し、軽減税率の対象に入れてもらうという特別扱いを受けていました。
その新聞が消費税増税の延期について「予定どおりに10%に上げるべきだ」と主張して安倍晋三首相を批判しています。
これは「たとえ増税になったとしても自分達は8%のまま。現在新聞を取っている国民の購買意欲が露骨に下がることはない」という安全地帯に居るから言えることであり、物凄く無責任な主張だと思います。
新聞の「予定どおり増税すべきだ」という主張はこういった特殊事情があってのものなので、鵜呑みにしないように気を付けたほうが良いと思います。
気楽な立場であれば、それは声高に「10%にすべきだ」と言えますね。

そんなわけで、やけに強硬に「来年4月に増税すべきだ」と主張している人達に対しては、その人達がどんな業界や立場の人なのかをよく見ることが大事です。
新聞のように増税になっても自分達は特別扱いだったり、テレビのキャスターやコメンテーターのように元々の給料が凄く高く消費税が上がっても大して影響がなかったりします。
私はそんな特殊状況の人ではないのでなりふり構わずに増税してかえって経済が悪化した場合には影響を受けます。
なので増税の決断は経済状況を慎重に見極めて行ってほしいと思います。

6月は一番日の長い月

2016-06-02 23:50:58 | ウェブ日記
昨日から6月に入りました。
6月は夏至があり、一年で一番日の長い(昼間の時間が長い)月として知られています
今年の夏至は6月21日で、そこまではどんどん昼間の時間が長くなっていきます。

私は夏至に向かって昼間の時間が長くなっていくのが好きです。
活力が感じられて気持ち的にもワクワクします
そして夏至を過ぎてしまうと今度は少しずつ昼間の時間が短くなっていくので寂しい気持ちになります。
6月は昼間の時間が長くなっていく最後の月なので晴れた日には昼間の時間の長さを噛み締めています。
山陽は関東に比べて夜になるのが少し遅く、この時期は20時になってもまだわずかに空に明るさが残っています。

そして6月といえば梅雨に入る時期です。
何日か雨が降り続くタイミングで梅雨入り発表があると思います。

嬉しいことに昨日も今日も朝から一日快晴となりました。
しかも6月にしては珍しく湿度があまり高くなく朝の空気が清涼で清々しかったのが印象的です。
ただし日差しには力強さがありそこはやはり着々と夏になってきていると思いました。
明日も晴れてくれるようなので6月の日の長さを実感したいと思います

「マンガでやさしくわかるアドラー心理学 人間関係編」岩井俊憲

2016-06-01 23:30:09 | 心理学・実用書


今回ご紹介するのは「マンガでやさしくわかるアドラー心理学 人間関係編」(著:岩井俊憲)です。

-----内容-----
小笠原つぐみ(28)のひそかな悩みは、つい他人に合わせてしまってホンネをなかなか口に出して言えないこと。
ある日、ひょんなことから謎の少女ヒナコと一緒に暮らし始めることになり……。
゛いい人゛をやめて自分の人生を生きる!
職場のいざこざ、友人・恋愛・夫婦関係のモヤモヤ、親とのしがらみ…。
あなたの苦しみを解く勇気の教え。

-----感想-----
心理学には「心理学の三大巨頭」と呼ばれる偉人がいて、ジークムント・フロイト、カール・グスタフ・ユング、そしてアルフレッド・アドラーです。
フロイトが「精神分析学」を創始しユングとアドラーも一緒に研究をしていましたが、後に考え方の違いからユングとアドラーは分派します。
ユングは「分析心理学」を創始し日本では「ユング心理学」と呼ばれるようになり、アドラーは「個人心理学」を創始し日本では「アドラー心理学」と呼ばれるようになります。

この本自体は昨年の秋に「ユング心理学」の本を二冊読んだ流れで買っていました。
※「ユング名言集」のレビューをご覧になる方はこちらをどうぞ。
※「面白くてよくわかる!ユング心理学」のレビューをご覧になる方はこちらをどうぞ。
ただその時はパラパラと読んでみて「ガツガツした心理学」という印象を持ったため通しで読むまではしませんでした。
昨年秋の時点でも結構名前を聞くようになっていた「アドラー心理学」ですが、最近は益々名前を聞くようになり、書店でも「嫌われる勇気」に代表されるアドラー心理学の本が大々的に売り出されるようになっています。
そこで今回、この本を読んでアドラー心理学がどういったものなのか、ユング心理学とはどう違うのか触れてみることにしました。

サイバーバードの広報部に勤める小笠原つぐみは悩み多き女性です。
彼女の悩みを中心に話が進んでいきます。
ある日仕事を終えたつぐみがアパートに帰ってくると同じ階の部屋の前に女の子が座って寝ているのに遭遇します。
女の子は大空ヒナコ(20)と言い、部屋の人を訪ねて来ていました。
しかし部屋の人はしばらく海外に行って不在のため、「それなら公園で野宿でもしながら待つ」と言うヒナコを見かねたつぐみは「何か食べる?身体冷えてるでしょ」と声を掛け、そのまま成り行きで部屋に泊めてあげることになりました。
心の中で「どうして私って無駄にいい人なんだろう」と思うつぐみに対し、ヒナコが
「お姉さん、自分のことええ人やと思うてるでしょ?」と言います。

「けど息苦しいんとちゃうそんな生き方。アドラー心理学やったらもっと自分らしく生きられるんやで。」
「人間のすべての悩みは対人関係って知っとった?一宿一飯のお礼なんで色々教えたげるね」

このヒナコの語りかけからアドラー心理学についての話が始まっていきました。
アドラーは「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」と語っています。
それだけに対人関係をうまくこなせば悩み・苦しみとは縁遠くなり、充実した日々を送ることが可能になるとありました。
私は人間の悩みが全て対人関係の悩みなのかは分からないですが、かなりの比重を占めているとは思いました。

アドラーは私達が人生で直面しなければならないさまざまな課題のことを「ライフタスク」と呼び、このライフタスクを仕事・交友・愛の3つのタスクに分類しています。

(1)仕事のタスク……役割・義務・責任が問われる生産活動への取り組み
(2)交友のタスク……身近な他者とのつき合い
(3)愛のタスク……カップルを基本とし、親子も含めた関係

この3つはそれぞれ対人関係を免れることができず、ライフタスクへの取り組みの中で私達の心の健康度が試されるとありました。
アドラーは次の言葉を残しています。

「心理学的な見地からも、正常な人は、人生の課題と困難がやってきたときに、それに対応するに十分なエネルギーと勇気を持っている」

この本では「逆に言えば、不健康な人は、人生の課題と困難がやってきた時に、それらに対処するための十分なエネルギーと勇気を持ち合わせていないため、ためらいの態度を示したり、回避的になったりしがちです」ともありました。
不健康な人を「勇気がない」で片付けていますが、この決め付けには疑問を持ちました。
そしてアドラー心理学はもしかすると体育会系的なものがあるのかなという印象を持ちました。

「欧米での職場の人間関係は仕事のタスクだが、日本の職場での人間関係は交友のタスク」というのは興味深かったです。
たしかに日本の職場では飲み会や社員旅行などがあります。

人間関係の4つの要素「自分、相手、関係、環境」について、変えやすい順番はどうでしょうか?という問いがありました。
私は「自分、環境、関係、相手」の順にしました。
この本では「自分、関係、環境、相手」となっていて、私は結構近い考え方でした。
「多くの人は、相手を変えようとして空しい努力をしています」とあり、これについて私の場合は「相手の性格などそうそう変わるものではない」と考えているため、「相手」については迷わず一番後ろに回しました。

「人間関係面で健康な人は、自己受容している」とありました。
自己受容とは「自分を満点に評価するのとは違い、自分の短所・欠点も知りながら、自分自身を受け入れ、自分を自分の協力者にすること」とありました。
この考え方はユング心理学と似ていると思いました。
人は完全ではないのが当たり前で、短所もあります。
その短所がありながらも現在の自分が形作られていて、何とか歩いてこれているじゃないかと自分自身を受け止めてあげるということであり、私はこの考え方は好きです。

つぐみは彼氏との旅行に行く予定を立てていたのですが同じ日に開催されることになった会社の同期会の誘いを断れず、同期会に行くことにしてしまいます。
そのことをヒナコに非難されます。
ヒナコはアドラー心理学を語ります。

「どんなにつらいことにぶち当たっても人はそれに立ち向かうだけのエネルギーと勇気を持っている」

「本当の人間関係は…嫌われることを受け入れる勇気が必要なんよ!」

「本当の人間関係は嫌われることを受け入れる勇気が必要」についてはたしかにそう思います。
「関わりのある人全員」に好かれようと思ってもそれは無理です。
ただしもう一つの「どんなにつらいことにぶち当たっても人はそれに立ち向かうだけのエネルギーと勇気を持っている」については、解釈の仕方に注意が必要だと思います。
これは元々は持っていたとしても、現在強い精神的ストレスで学校や職場に行けなくなっている人はそのエネルギーと勇気が出せなくなっています。
そんな精神的にまいっている人に対し「人はみんな困難に立ち向かうエネルギーと勇気を持っているのだからそれを出せ」と言うのは「あなたが学校(会社)に行けないのはあなたにエネルギーと勇気が足りないからだ」と責めているのと同じで明らかに逆効果であり、やってはいけないことです。
長い時間をかければ元々持っているエネルギーと勇気が回復する可能性はあるので、「人はみんな困難に立ち向かうエネルギーと勇気を持っているのだからそれを出せ」とするのではなく、自然にエネルギーと勇気が回復されるように注力するべきだと思います。
この辺り、考え方の押し付けを感じるものがあり、やはり体育会系的な面のある心理学という気がしました。
私はアドラー心理学の本を読んで解釈を勘違いした人が身の回りの精神的にまいっている人に対し、「人はみんな困難に立ち向かうエネルギーと勇気を持っているのだからそれを出せ」と言って事態を悪化させる場合があるのではという懸念を持ちました。

「日本人の根底の心理」は興味深かったです。
日本人は外国人に比べて「嫌われたくない」「周りに合わせよう」という心理が強いとありました。
これはユング心理学にあった「日本人は女性性の高い民族」の部分が似ていると思いました。
ユング心理学ではその女性性の高さを認めつつ欧米的なリーダーシップも取り入れて両方のバランスを取ると良いと説いていましたが、アドラー心理学の場合は欧米化したほうが言いと説いています。
私の心にはユング心理学のほうが合っていると思いました。
女性性の高さは日本人の元々の民族性なのですから、それを否定するのではなく自分達の民族の特徴として受け止めてあげて、それをベースにして欧米的なリーダーシップも取り入れて両者のバランスを取るという考え方のほうがストンと心に入ってきます。

「みんなに好かれたいと思うのは、幻想にすぎない」
「みんなに嫌われていると思うのは、妄想にすぎない」
これは興味深かったです。
相性の法則というものがあり、2:7:1か2:6:2の割合で相性の良い、普通、悪いの分布があるとのことです。
人が10人居たとしてその中で相性が良いのは2人くらいで6~7人は普通、さらには相性の悪い人が1~2人は居るということです。
この数字を見るとヒナコの「本当の人間関係は…嫌われることを受け入れる勇気が必要なんよ!」の言葉のところで触れたようにやはり「全員に好かれる」というのは無理であり、そして余程酷いことでもしない限り全員に嫌われることもないようです。
考えすぎないのが一番良いのだと思います。

アドラー心理学は全体的に「勇気を持て」と言っていて体育会的なものを感じました。
私はユング心理学での「人の性格には思考、感情、感覚、直観という4系統があり、人によってそれぞれの系統に対して向き不向きがある」という概念を重視しています。
なので人による向き不向きをアドラー心理学では一括で「勇気を持て」で片付けているところに強引さを感じました。
ただしユング心理学でも「最終的には苦手な系統の力も伸ばしていくことが望ましい」としていて、目指す方向はユングもアドラーも「自分自身を生きやすくする」で同じだと思います。
その方法がユング心理学ではしなやかに、アドラー心理学では力技でという印象を持ちました。
そして私の感性にはユング心理学のほうが合っているので、ユング心理学を基準としつつ、アドラー心理学についても参考として本を読んでみて、良いものは取り入れるというやり方が良いかなと思いました。
次はぜひベストセラーとなっている「嫌われる勇気」を読んでみようと思います。


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