しらの風景

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ツルたちの現実。(11/17*木)

2011-11-17 | 生態系トラスト協会ニュース
*たくさんのツルたちが飛んでくる姿は美しく、
 どれだけ見ても見飽きることがありませんでした。

今回、出水を訪れて知ったのはツルたちがおかれている現実。
ここ出水では、ツルは特別天然記念物に指定され、
ねぐらの整備や給餌などの保護策がとられているので
毎年一万羽以上のツルたちが越冬のため渡来しています。


*こちらがナベヅル。羽の色が濃く、
 鍋を焦がしたような色だからナベヅルなのだとか。


*こちらがマナヅル。ナベヅルより大きく、羽の色がグラデーションで美しい。
 本当のツル、という意味でマナヅルというそうです。


*時々披露してくれるダンスも見ていて楽しい。
 それにここはツルの声で溢れていて、日本の音百景にも選ばれています。

しかし、繁殖地のロシア辺りでは九州くらいの広さの沼が消え、
中国では農作物を荒らす鳥として殺されているそうです。
出水にたくさんのツルが集まってくるのは、裏を返せば、
人の保護がないと越冬する場所がないという厳しい現実。
かつては日本中に飛んで来ていたツルたちが、この場所にしか
たどり着けないというのは何とも悲しいことでもあります。

*ツル観察センター。私たちはこの隣の建物の
 食堂の屋上で観察しました。

大型の鳥であるツルは臆病で、出水でさえ
たどり着いたときにはびくびくしているそうです。
四国などに少数が降り立つツルの現実は、保護対策がないため、
見物人やカメラマンに追われたり、銃猟解禁のため
鉄砲の音におびえ、ほとんどが越冬できずに
飛び去ってしまうといいます。

ツルたちがなんとか生き延びられるよう、日本のあちこちで
越冬できるように対策がとれればいいのですが・・・。
生きものたちとの共生を考えるとき、(ツルたちの視点に立つと)
やはりあまりにも傲慢な人間社会のあり方が見えてきます。
この星は、一体誰のもの?