一関市花泉町永井地区北東部、丘陵上の農道を東へ歩いて行くと、林際のクリの若木にた
くさんの実が生っていて、早いものはイガの口が開いて中の果実が顔を覗かせています。
ここには樹高3~4mの若木が4~5本並んでいます。
道路に面していて、向い側は牧草地ですから日当たりが良く、それで実生りが良いのかも
知れません。ただ、果実は小さめで、いわゆる柴栗と呼ばれる野生種ですね。
二枚とも2020.9.17撮影
クリの果実は縄文時代から、重要な食糧として利用されてきました。青森県の三内丸山遺
跡では、集落の周辺に大規模なクリ栽培の跡が見つかっています。クヌギやコナラ、トチ
などの果実はタンニンやサポニンなどが含まれているため、アク抜きをしないと食べられ
ませんが、クリの果実はそのまま食べられますから、大切にされ栽培もされたのでしょう。
野生種のクリの果実は長径で20~25mmと小さいのですが、その中でも大きなものを選んで
栽培種のクリが作られたとされます。栽培種を総称して「丹波栗」いいますが、これは京都
府の丹波地方で、平安時代から大粒のクリが栽培されていたことによるようです。
栽培種のクリには筑波、丹沢、銀寄(ぎんよせ)、石鎚などの品種があり、これらは果実の長径
が35~40mmもあるようです。
二枚とも2020.9.17撮影
ブナ科クリ属の落葉広葉樹で、樹高15~20mの高木。北海道西南部~九州に分布する。
丘陵地~ブナ帯以下の山地に広く自生し、もっこりした大きな樹冠をつくる。雌雄同株。
幹は灰黒色、縦に長い割れ目が入る。
葉は互生し、葉身は長楕円形で長さ7~14cm、先端は尖り、基部は円形又は浅い心形。
葉縁には鋸歯があり、鋸歯の先が刺状になる。葉質は薄い革質、葉表は濃緑色で光沢があ
り、主脈に星状毛がある。葉柄は長さ5〜15mm。
花期は6月、新枝の葉の脇から長さ10〜15cmの尾状花序をやや上向きにだす。花序につく
花はほとんどが雄花で、基部に雌花がつく。雄花は無柄で半円形の苞の脇に7個ほどが集ま
ってつく。雄しべは10個ほどで、花被の外に突き出る。
雌花は緑色の総苞の中に3個ずつ入っている。総苞は花時には直径3mmほどの球形。
花柱は長さ3mmほどの針状で、9〜10個あって総苞の外に突き出る。
果実は堅果。殻斗(いが)は扁平な球形で、外面に長さ1cmほどの刺が密生する。
堅果が成熟すると殻斗は4つに割れる。中にはおむすび形の堅果が普通3個が入っている。
堅果は艶のある褐色で、長径は20~25mm。
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