登米市東和町嵯峨立地区北西部、山地中腹の西向きの斜面を横切っていると、広葉樹林の
中に、短冊状に剥離した樹皮の高木が点々と聳えています。
初めはシナノキかと思ったのですが、シナノキの樹皮は剥離してもこれほど反り返ることが
なかった印象なので、別の樹種かも知れません。いつもの踏査ではあまり見かけないのに、
この斜面にはけっこう生えていて、見渡すと10本くらいは直ぐに見つけられます。
二枚とも2020.1.6撮影
樹木図鑑で落葉広葉樹の高木を調べると、樹皮が縦の短冊状に裂けたり、薄く剥がれたりす
るものにはハルニレ、シナノキ、カツラ、アサダなどがあり、特にアサダは薄く剥がれて反
り返るようです。ただ、樹木図鑑では写真の数が少なく、同定するには不安が残ります。
それで、ネットで各樹種ごとに樹皮の写真を見比べると、アサダの樹皮が私の写真の樹皮に
そっくりです。解説を読み込んでも矛盾点がないので、アサダで間違いないでしょう。
材は緻密で割れにくく、耐朽性は中程度。表面は磨くと光沢が出ることから、フローリング、
家具、建具、建築造作材などへの利用が多いようです。
「井伊影男の植物観察 アサダの樹皮より」
二枚とも2020.1.6撮影
カバノキ科アサダ属の落葉広葉樹で、北海道~九州に分布し、樹高15~20mの高木。
日当たりのよい山地の、適度に湿り気のある場所に自生する。雌雄同株。
樹皮は暗灰褐色で若いうちは平滑。成木では浅く縦に裂け、短冊状の反り返った剥片となる。
葉は互生し、葉身は楕円形~卵状楕円形で長さ 6~12cm、質は薄い。先端は鋭く尖り、
基部は円形~広い楔形または浅い心形。葉柄は0.4~0.8cm。
はじめ両面とも毛が密生してビロード状だが、しだいに脱落する。
花期は4~5月。葉の展開と同時に開花する。雄花序は黄褐色で長さ5~6cm、前年枝から
下垂する。雌花序は緑色で細く、新枝の先端に上向きにつく。
果実は堅果。果穂は長楕円体で長さ5cmほど、成熟すると垂れ下がる。
堅果は扁平な長楕円形で長さ5mmほど、袋状の果苞に1個入っている。
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