里山の野草と花木 宮城県北トレッキング

宮城県北部の山野を歩き回り、季節ごとの草花や果実を撮影し、その特徴や自生地の環境等について記録する。

ヤマウコギ 黒紫色の果実

2018-07-29 | 日記
南三陸町歌津地区の半島部、細い農道をしばらく行くと、道下に畑が広がっていて、
その法面に低木が茂っています。よく見ると、枝葉の間に黒っぽい実が生っているような ?
草むらに分け入って確認すると、球状の散形果序ですからヤマウコギの実でしょう。

仲間のオカウコギが南関東以西に分布しています。
エゾウコギは北海道に分布し、幹や枝に鋭いトゲが密生しています。
他には古い時代に中国から渡来したヒメウコギがあって、庭木や生垣として利用されています。
これは葉の先端が鋭く尖り、葉縁に明瞭な鋸歯があるのでヤマウコギとは容易に識別できます。




                             二枚とも2018.7.20撮影

ヤマウコギの若葉は山菜として食されています。若葉を摘み、茹でてから刻んでご飯に混ぜた
のがウコギ飯で、葉を茹でてから乾燥させたのがウコギ茶。おひたしや味噌和えなどにしても
美味しいようです。これらは古くから強壮効果があるとされています。
果実はウコギ酒に入れることもあるようです。

早春に根を掘り上げ、皮を剥ぎ陽乾したものが生薬の五加皮(ごかひ)です。漢方処方の五皮飲
(ごひいん)に配合され水腫や尿量減少に際し用いられます。
また強壮薬としても配合されリウマチ、腰痛、下半身に作用する強壮、鎮痛薬とされます。
薬効成分はエレウトロシド、フェニルプロパノイド、リグナン、クマリン、ポリサッカライド、
トリテルペノイド・サポニン、グルカンなど。




                             二枚とも2018.7.20撮影

ウコギ科ウコギ属の落葉広葉樹で、樹高2~4mの低木。雌雄異株。
岩手県以南の本州と、高知県に分布し、丘陵~山地の林縁や原野、耕作地周辺に自生する。
枝はよく伸びてしだれ気味になる。樹皮は灰黒色。縦に長い皮目ができる。本年枝は緑褐色
または灰褐色。扁平な細い刺が葉痕や葉の下につく。短枝がよく発達する。
葉柄は長さ3〜7cm、無毛で上面には溝がある。
葉は互生し、掌状複葉で頂小葉が大きい傾向がある。小葉は5個、倒卵形~倒卵状長楕円形で
長さ3〜7cm。先端は鈍く、基部はくさび形で、しだいに狭くなって小葉柄に流れる。
花期は5月、短枝の先に散形花序を1個だし、黄緑色の小さな花を多数つける。
花序の柄は長さ2〜6cm、小花柄は長さ8〜12mm。花弁は5個で長さ1.5〜2mm。
雄花には花弁より長い雄しべが5個ある。雌花の花柱は2裂する。
萼筒は鐘形で、微小な萼歯が5個ある。
果実は液果。直径5〜6mmのやや扁平な球形で、7〜8月に赤褐色から黒紫色に熟す。
種子は長さ5mmほどの半球形。


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