里山の野草と花木 宮城県北トレッキング

宮城県北部の山野を歩き回り、季節ごとの草花や果実を撮影し、その特徴や自生地の環境等について記録する。

サトメシダ 沢沿いの湿地

2020-06-25 | 日記

石巻市北上町十三浜地区南西部、沢沿いの荒れた林道を上がって行くと、道下に湿地らし
き小平坦地があり、ミゾソバやスゲの仲間が生い茂っています。
その中に大形の羊歯らしきものが、島状に点在しています。草丈が1m以上ありそうで、
このような草姿の羊歯は見たことがありません。
湿地に踏み込むとジュブジュブ水が浸み出すものの、沈み込みが少ないので、かつては
田んぼだったのでしょう。

概観するとワラビに似ていますが、ワラビは乾燥気味の斜面などに生えていて、このよう
な湿地には生えません。それに、こんなに葉を密生させることもありません。
ワラビの仲間の可能性はあるので、先ずはそこから調べてみましょう。

                              二枚とも2020.6.18撮影

ワラビの仲間にイワヒメワラビがあり、草姿は似ているものの、葉柄や葉に毛が多くザラ
つくとあります。写真の羊歯には毛がありませんから別物ですね。

改めて羊歯植物図鑑をめくっていると、イワデンダ科にサトメシダという種があり、掲載
されている写真が私の写真の羊歯によく似ています。
解説を読み込むと「山際の湿地の草むらに自生」とありますからこれかも知れません。
さらに細部まで比較し、羽片や小羽片の付き方も同じなのでサトメシダと同定します。

                              二枚とも2020.6.18撮影

イワデンダ科メシダ属の大型の夏緑性羊歯植物で、北海道~九州に分布し、草丈は100cm。
丘陵~山地の湿地や溜池畔、耕作放棄地などに自生する。
根茎は塊状で斜上し、葉を叢生する。葉柄は葉身とほぼ同長、若い時は緑色だが、古くなる
とわら色となり、基部は褐色。葉柄基部の鱗片は淡褐色の膜質、狭披針形~披針形で鋭尖頭、
長さは1~1.5cmで、全縁。
葉身は三角形~卵状三角形、基部は狭くならず、長さ25~70cm、3回羽状深裂~全裂。
葉質は薄い草質で無毛、淡緑色。
羽片は三角状長楕円形で鋭尖頭、長さ12~25cm、鋭尖頭。羽軸裏面は無毛。
小羽片は短い柄があり、三角状狭卵形、鋭頭~鋭尖頭、小羽軸近くまで深く切れ込む。
裂片は大きさによって形にも変異があり、長楕円形~卵状長楕円形、鋭頭~ほぼ切形、
鋭鋸歯縁ないし羽状に浅裂する。
ソーラスは裂片の中肋寄りにつき、苞膜は長楕円形か鉤形、辺縁は細かく裂ける。



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