登米市中田町上沼地区の北東部、北上川の西側に広がる丘陵上の農道を北東方向へ
向かうと、農地が尽きて雑木林の中を行くようになります。
この辺りは岩手県境と接しているので、既に県境を越えているのかも知れません。
行く手の農道際の低木の葉に、実のようなものが付いています。
歩み寄ると低木はヌルデの木で、遠目に実と見えたのは虫コブのようですね。
葉の葉軸あたりに、淡い緑黄色のコブ状のものが幾つか付いています。
これに何か薬効があるような記事を、かなり前に読んだ記憶があります。
二枚とも2018.9.2撮影
これはヌルデシロアブラムシという、昆虫の寄生によってできた「虫こぶ」です。
長さは3~7cmほど、形は不定形ですが、だいたいはゴツゴツしていて、カリントウとか
金平糖の出来そこないのような形をしています。内部は中空になっていて、皮の厚さは
2mmほど。内側は黒っぽいゴマ粒のようなもので覆われています。
このゴマ粒の一つひとつが体長2~3mmのヌルデシロアブラムシという昆虫です。
晩秋には、虫こぶは茶色く変色して硬くなり、一部が破れて穴が開きます。
この穴から翅の生えた成虫が飛び出し、虫こぶの中は空洞になります。
晩秋に採取した虫こぶを乾燥したものが、五倍子(ごばいし又はふし)と呼ばれ、生薬になります。
成分としては多量のタンニンを含み、煎液は止血、下痢止めなどに内服し、口内炎、歯痛、扁桃炎
などの外用薬としても使われます。
明治以前は「お歯黒」といって、既婚女性は五倍子の粉と鉄汁で歯を黒く染める風習がありました。
2018.9.2撮影
ウルシ科ウルシ属の落葉広葉樹で、樹高3~8mの小高木。日本全土に分布する。
日当りを好む先駆樹種で、低地から山地の林縁部や道路沿い、伐採跡地などに自生する。
樹幹は灰褐色で小さな楕円形の皮目が多く、浅い縦の裂け目がある。
葉は互生。奇数羽状複葉で長さ30〜60cm、葉軸に翼があるのが特徴。小葉は3〜6対、
卵状長楕円形で長さ5〜12cm、先端は鋭く尖り、基部はくさび形または円形。縁には粗い鈍鋸歯
がある。表面は主脈以外は無毛、裏面は軟毛が密生し黄白色。秋には紅葉する。雌雄異株。
花期は8〜9月、枝先に円錐花序を出し、白色の小さな花を多数つける。花序は長さ15〜30cm、
花序の軸には淡褐色の毛が密生する。花弁は5個、楕円形で長さ2mmほど、雄花の花弁は反り
返り、5本の雄しべは花からつき出る。
雌花の花弁は反り返らず、雌しべの柱頭は3つに分かれる。
果実は核果。直径4mmほどの扁球形で、10〜11月に黄赤色に熟し、白いリンゴ酸カルシウム
を分泌する。外果皮には茶褐色の細毛が密生する。核は黄褐色で扁球形。
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