登米市津山町、丘陵地の狭間の集落道を南へ歩いて行くと、山裾の杉林下に帯状の草地が
あって、そこに小さな淡桃色の花がたくさん咲いているのが見えます。
花の様子からミゾソバでしょうか。
歩み寄って観察するとつる植物で、茎や葉柄に鋭い逆さトゲが無数に生えていて、コンペ
イトウを思わすツボミがたくさん付いているので、ママコノシリヌグイでしょうね。
花は一斉に咲くことはなく、花序のうちの何個かに淡桃色の花が付いているのみです。
二枚とも2021.9.16撮影
茎はつる状に伸びてよく分枝していて、そこに逆さトゲがたくさん生えています。
つる植物は他物にらせん状に巻き付いたり、樹幹に気根で貼り付いて上へ伸びていったり
しますが、このママコノシリヌグイは他物に寄り掛かっては逆さトゲで引っかけ、つるを
安定させています。つるの長さが1~2mですから、それで間に合うのでしょう。
ママコノシリヌグイの名前には、児童虐待を連想させるものがあります。
実際にこの小さな葉で子供の尻をぬぐうことはできませんが、こんな鋭い逆さトゲで尻なり
皮膚をこすれば、血が出たりミミズ腫れになったりします。トゲの鋭さを誇張して、このよ
うな加虐的な名前を付けたのでしょう。
二枚とも2021.9.16撮影
タデ科イヌタデ属のつる性1年草で、日本全土に分布する。つるの長さは1~2m。
河川敷や耕作放棄地、湿地周辺や林縁などに自生する。
茎は赤みを帯びていてよく分枝し、下向きのトゲ(逆さトゲ)と細毛がある。
トゲに触ると痛い。茎は長く横に伸びて他物寄り掛かり、トゲを掛けて姿勢を安定させる。
葉は互生し、長さ3~8cmの長3角形で全縁、先端は鋭く尖り、基部は浅い心形。裏面脈
上に下向きのトゲがある。葉柄は葉身とほぼ同長で、茎同様に下向きのトゲと細毛がある。
花期は6〜10月、ミゾソバ似の頭状花序を出し、淡桃色の花を10個ほど付ける。花の直径
は4mmほど。花被は5深裂し、雌しべ1個、雄しべ8個。
花後もしばらくは宿存花被が閉じたまま果実を包むので、蕾のように見える。
果実は卵球形の痩果、黒色で長さ3mmほど、上端がやや尖る。
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