今の時季、東松島市の宮戸島内を歩くと、集落や耕作地周辺に、鮮やかに黄葉
したエノキをよく見かけます。ここではかなりの高木が目立ちますが、余所ではあまり
見掛けませんね。我が町では、生垣や屋敷林に若木が育っているのは見ますが、
たぶん野鳥の糞に混じっていた種が発芽して、何年か経ったものなのでしょう。
どこかに母樹があるはずですが、私はまだ見たことがありません。
これは私の想像ですが、エノキはある程度の大きさになると、ケヤキやヒバなどの
邪魔になるとして伐られてしまうのかも。
二枚とも2016.11.18撮影
エノキは青森県まで分布するものの、どちらかと言えば暖地の樹木に分類されます。
そのため、宮城県内では低地や海岸沿いに、より多く自生しているものと思われます。
エノキは大木になるので、遠くからでもよく目立ち、また木陰が旅人の休息場所を提供
することもあって、江戸時代は街道筋の一里塚によく植えられたようです。
現在では公園や寺社の境内などで、大きな木が見られます。熟した果実は甘く、干柿に
似た味がするとか。それで野鳥がよく啄ばみ、その結果としてあちこちに種を運ぶので、
気が付いたら生えていたと言うケースが多いのでしょう。
〈 白岩先生の植物教室 エノキより 〉
2016.11.18撮影
ニレ科エノキ属の落葉広葉樹で、樹高10~20mの高木。
本州~九州に分布し、集落から山地にかけて自生する。ただし北国では沿岸部に多い。
古くから人の生活圏の近くにあり、社寺や道路沿いなどに植えられた時代もあった。
幹が太く、枝を大きく広げ、ケヤキのような堂々とした樹形になる。
樹皮は厚く灰黒色で、小さな皮目が多い。
葉は互生し、葉身は広惰円形で長さ3~10cm、質厚く、葉表に光沢がある。
葉脈は三行脈の典型で、脈が縁まで達しない。葉の基部は左右不相称、上半部に
鈍い鋸歯がある。葉柄は長さ3~10mmで毛が密生する。雌雄同株。
花期は4~5月で、新枝の上部の葉腋に両性花、下部に雄花が付く。花は淡黄色で
直径2mmほどと小さい。両性花は花被片4個、雌しべの柱頭は2裂し、白毛が密生。
雄花は花被片4個、雄しべ4個。
果実は球形の核果で直径5~7mm、核は1個。9月以降に橙褐色に熟す。
果肉は橙色で甘い。核(種子)は直径4~5mm、表面に網目状のしわがある。
種子が鳥によって運ばれる鳥散布植物。
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