里山の野草と花木 宮城県北トレッキング

宮城県北部の山野を歩き回り、季節ごとの草花や果実を撮影し、その特徴や自生地の環境等について記録する。

オオムギ 長い芒(のぎ)

2023-06-27 | 日記

石巻市桃生町永井地区、田んぼの中の真っ直ぐな車道を走行していると、南側に収穫期の
麦畑が広がっています。今までは遠くから見るだけで、近くで観察したことがなかったの
で、良い機会ですから観察してみましょう。
畦道から観察すると、ふつうの小麦に比べて草丈が低いように見えます。
穂を見ると髭状の芒(のぎ)がすごく長いですね。これは小麦ではないかも知れません。

帰宅後に「イネ科ハンドブック」で小麦を見ると、髭状の芒が短いので、私の写真の麦は
小麦ではないことになります。前後のページをめくると大麦が載っていて、穂や芒が私の
写真の麦にそっくりです。解説文で草丈を比べると、丈が低いのが大麦で、丈の高いのが
小麦とあります。以上のことから、写真の麦は大麦ということになります。
宮城県の奨励品種はホワイトファイバーという品種ですから、写真の大麦もこれと推測さ
れます。なお、ホワイトファイバーは六条大麦という系統に属する品種です。

                             二枚とも2023.6.17撮影

大麦と小麦の名の由来には諸説ありますが、草丈や麦粒の大きさによるものではないよう
です。「大」は用途の範囲が広い、質のよい、という意味があり、「小」は代用品、質が
劣る、という意味があります。我国への伝来当時は、皮を取り除いたり精麦が容易で、麦
飯や粥として簡単に食べられる大麦が上質と考えられ、『大麦』と名付けられたようです。

現在の大麦の用途は多岐にわたっていて、ビール・ウイスキー・焼酎・みりんなどの醸造
原料、味噌・醤油・水飴・麦茶などの原料、若葉は青汁原料としても用いられています。
家畜飼料としての利用も多いようです。
ビールや麦焼酎の醸造に使われるのは主に二条大麦、麦ごはんや麦茶、麦味噌には食味の
良い六条大麦が用いられるようです。

                                 2023.6.17撮影

イネ科オオムギ属の二年草で、原産地は西アジア~中央アジア。草丈は60~100cm。
我国へは3世紀頃、中国から朝鮮半島を経て伝わったと考えられ、奈良時代には広く栽培
されていたとされる。 平均的な栽培暦では11月に播種し、6月に収穫する。
宮城県の栽培品種としてはシュンライ、ホワイトファイバーなどがある。
稈(茎)は叢生して直立する。中空で節間が長い。
葉は互生する単葉、長披針形~線形で長さ8~18cm、葉身はふつう平ら。
花期は4~5月。穂状花序は密で、長さ3~12cm。穂軸の各節に小穂が3個ずつ互生する。
各小穂の外側には、小さい芒(のぎ)状の包穎(ほうえい)が1対ある。小穂は1小花からなり、
その護穎の先端に芒があるものとないものがある。また芒にも長短、毛・鋸歯の有無など
品種により違いがある。穂の形から二条大麦、四条大麦、六条大麦などに分類される。
二条大麦は穂には実が2列に並んで付き、粒が大きく「大粒大麦」とも呼ばれる。
六条大麦は実が6列に並んでつき、二条大麦より小粒なため「小粒大麦」と呼ばれ、ホワイ
トファイバー、シュンライ、カシマゴールなどの品種がある。



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