なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

問題は肺

2024年02月08日 | 呼吸器疾患

 2月5日(月)に内科再来を診ていると、健診センターから患者さんが紹介されてきた。食事摂取量低下・体重減少と軽度の貧血があった。

 昨年までの会社の健診には上部消化管内視鏡検査・便潜血検査もあり、問題はなかった。今年は項目が変わり、内視鏡検査・便潜血検査は入っていなかった。

 昨年も腹部エコーは項目に入っていないので、肝胆膵腎の関してはわからないが、肝機能検査は正常域だった。

 症状は昨年10月の終わりごろから、食事摂取量低下があり、周囲から痩せてきたと言われた。食べていると上腹部がいっぱいになるような感じがするという。嘔気・腹痛はない。

 胸部X線を見ると肺気腫があり、喫煙者だった。若い時から1日20本で、最近数年は10本になっている。

 

 健診を担当した先生は、腹部の悪性腫瘍が疑われるとして、外来に回している。上部消化管内視鏡検査・腹部エコーを見て、異常がなければ大腸内視鏡検査になるが、腎機能は問題ないので、最初に造影CTを行うことにした。

 2月7日に行ったが、腹部疾患は指摘できず、病変は左肺にあった。胸部X線を見返すと、昨年と比較して左肺の心陰影の背側に陰影があった。少量の胸水も指摘できる。

 CTでは左肺下葉に陰影があり、下側へ伸展して胸水がある。肺癌が疑われるが、感染性・炎症性疾患の可能性はどうか。

 食事量低下と同時期に咳が続いていたそうで、その後咳があまり出なくなったので、症状としては言わなかったらしい。胸部X線で肺気腫を認めたので、最初に咳・痰と労作時息切れを訊いた時はないといっていた。改めて訊いたが、経過中に発熱はないそうだ。

 呼吸器外来に紹介して診てもらうことにした。

 

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間質性肺炎

2024年02月05日 | 呼吸器疾患

 2月1日(木)に呼吸器外来に来ている先生から入院依頼があった。間質性肺炎で診ている83歳女性で、間質性肺炎の増悪と細菌性肺炎の併発が疑われた。

 

 この患者さんは2018年に膝関節症の手術で当院の整形外科(当時)に入院した。入院時検査としての胸部X線で陰影があり、胸部CTで間質性肺炎があった。

 呼吸器外来に紹介された。呼吸器センターのある病院から、当院呼吸器外来に非常勤で来てもらっている先生が担当していた。2019年に自分の病院に紹介して、気管支鏡検査(TBLB)でUIPと診断された。

 プレドニン20mg/日で治療が開始された。プレドニンを漸減して、2020年からタクロリムス1mg/日が追加された。(その後2mg/日、体重が40kg弱)また、2021年にはステロイド糖尿病で血糖コントロールが悪化して、自分の病院の糖尿科に紹介して、治療を調整していた。

 昨年当院で外来応援を減らした時期に、ちょうどこの先生が開業する時期に重なった。呼吸器外来は、長年大学病院から来てもらっている今の先生の外来だけになった。この患者さんもそちらに回されていた。

 

 昨年12月の胸部X線と比較すると、陰影が明らかに増加している。(左が2023年12月、右が今回)

 胸部CTを見ると、間質性陰影(すりガラス様・網状陰影)が増加と浸潤影がある。

 間質性肺炎の増悪に対してプレドニン増量、細菌性肺炎の併発に対して抗菌薬を投与して経過をみてほしいということだった。

 

 それ以外にも問題があった。肺癌の鑑別のためか腫瘍マーカーを提出されていて、CEAは正常域だったが、CA19-9 が高値(1100)だった。ここまで高いとさすがに膵癌・結腸癌が疑われる。(肝胆道系の異常はない)

 

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多発性肺腫瘍~甲状腺癌の疑い

2024年02月02日 | 呼吸器疾患

 1月25日(木)、呼吸器外来に来ている先生に相談があり、外来に行った。もう少しで診察が終わるころで、最後の患者さんとの会話が聞こえた。

 肺の多発性腫瘍で市内の内科クリニックから紹介された69歳女性だった。診療情報提供書の写しを見ると、原発性肺癌の肺内転移か、他臓器の癌の肺転移が疑われる。

 

 2019年から当院の脳神経内科外来に通院していたが、2023年に市内のクリニックに紹介となっていた。高血圧症と高脂血症で脳神経内科(それも非常勤医師の外来)に通院していた理由がわからない。

 どこか他の医療機関で高血圧症の治療をしていて、直接脳神経内科の外来を受診している。神経症状があるというわけでもなく、初診の日から降圧薬の調整の話が出ていた。実際は処方通りに内服していなかったようだ。

 推定だが、通院しているところに不満があって、当院を受診したようだ。何故脳神経内科だったのかは不明だ。

 

 昨年6月にクリニックへ紹介となって、1か月分の処方が出されたが、クリニックを受診したのは12月だった。まだ薬はあると言っていて、ちゃんと内服はしていないようです、と記載されていた。

 診察で不整脈があり、心電図と胸部X線を行った。心電図では不整脈はなかった(期外収縮だったか)。胸部X線で右肺に多発性に大小の腫瘤が写っていた。精査として地域の基幹病院を勧めたが、行きたくないということで当院紹介となった。

 当院を受診してもCTが撮れるだけで、癌の精査・治療はほぼ高次医療機関紹介になる。診察した先生(大学病院から応援)は頸部~腹部CTをオーダーして、放射線科の読影レポートをみることにした。

 その日は患者さんひとりで来ていて、次回の結果説明の時は必ず家族を連れてくるようにと言われたが、いやがっていた。その説得で時間がかかっていた。

 

 後でCTを確認した。肺内の大小の腫瘤が描出されているが、肺門・縦隔にリンパ節転移は認めなかった。腹腔内に明らかな腫瘍は指摘できない。甲状腺右葉の腫瘤があり、甲状腺癌の肺転移が疑われた。

 甲状腺癌疑いだと(他の可能性の判断も含めてになるが)地域の基幹病院かがんセンターへの紹介になる。

 

 研修医3年目の時に診た、甲状腺癌(未分化癌)の多発性肺転移が思い出された。

 

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気胸

2024年01月30日 | 呼吸器疾患

 1月29日に慢性閉塞性肺疾患(COPD)の75歳男性が呼吸困難で受診した。内科再来を診ていたが、施設から脳梗塞の患者さんも紹介されていて忙しかった。

 すぐには対応できないが、酸素飽和度が70%台(室内気)だったので、受付から救急室に移動して酸素吸入を開始してもらうことにした。

 

 昨年9月にCOPDの増悪(喘鳴を伴うACO)で入院したが、入院拒否から妻の説得での入院だった。気管支拡張薬・ステロイド・抗菌薬を開始したが、入院翌日から退院を希望していた。結局喘鳴が続く状態で、5日目に退院になった(暴れる前に帰したということ)。

 労作時には息切れが増悪するので、在宅酸素療法を勧めていたが、それは拒否していた。外来で待たされるのが嫌いで、診察室に入ってもすぐ帰ろうとする(すぐ出ていく)。

 

 点滴と採血を入れて、胸部CTを撮影してもらうことにした。肺炎併発によるCOPDの増悪を想定していた。すぐに放射線科の技師さんから気胸の報告が入った。

 画像を確認すると、確かに気胸だった。2日前からの症状らしいが、週末だったので我慢していたらしい。妻の話では夜間寝られなかったという。救急車を呼ぼうとしたが、それはいやがったのでその日は妻の運転する車で来ていた。

 なんだか肺がぺらぺらで、胸腔ドレナージは当院でもできないことはないが、慣れない吸引すると肺損傷が広がってしまいそうな気がする。吸引だけでは治らず胸膜癒着術を要すると思われる(それも慣れていない)。年に1回やるかやらないかの処置なので自信はない。

 地域の基幹病院の呼吸器内科に連絡すると、昨年肺癌・COPDの患者さんが気胸になった時にお願いした先生が出た。引き受けてもらえることになり、救急搬送した。

 週末よく我慢していたというか、よく(緊張性気胸にならず)肺が保っていたものだ。

 

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非結核性抗酸菌症の疑い

2024年01月27日 | 呼吸器疾患

 1月25日(木)に市内のクリニックからの紹介で86歳女性が受診した。食欲不振があり全体に衰弱しているという内容だった。実際に来て見ると事情は違っていた。

 市の福祉サービスの方たちが連れてきた。娘と二人暮らしだが、介護放棄に近く虐待の可能性もあるという。今回母子を分離して、患者さんは施設入所に持っていきたいという話だった。自宅はいわゆるごみ屋敷になっているそうで、写真をみせてもらった。

 しかしそういう話も一面でしかないようだ。娘さんに会ったが、介護放棄というよりも、どうしていいかわからないのではないか(理解力が低い?)。

 患者さんは小柄でやせていた。会話はできて(頭部CTの著明な脳委縮があったが)、喋り方からみておそらく目の前に食事があれば食べられる。

 

 問題は発熱があり、肺病変があることだった。(紹介状には発熱の話はなく、連れてきた介護の人も認識していなかった)両側肺野にまず気管支拡張像があり、限局性の浸潤影・斑状・粒状影が多発している。

 当院には2014年に左橈骨尺骨開放骨折で整形外科に入院していた。その時に入院時検査として胸部単純X線が撮影されている。両側肺に陰影があり、内科でみればCTで精査となるが、整形外科医は気にしていなかったようだ。

 紹介状に「細気管支炎・肺サルコイドーシスの疑いで経過観察」の記載があった。クリニックでつける病名ではないので、どこかに紹介しているのだろう。

 問い合わせると、地域の基幹病院呼吸器内科に2020年に肺陰影精査で紹介していた。2021年まで通院して、その病名で終診となっていた。たぶんその見立ては違う。

 

 ちょうど受診日は、呼吸器外来があったので、相談した。画像をみて、第一印象は「非結核性抗酸菌症NTMではないでしょうか」といわれた。それそれ、という感じだ。

 ただ喀痰採取は難しそうだ。胃液採取?になるか。NTMだと胃液採取はどうかと思うが、結核との鑑別のためにも必要になるかもしれない。

 発熱と結構な炎症反応上昇があった(白血球24100・CRP11.3)。他の病変の影響下かもしれない。尿路感染症の可能性は低かった。仙骨部と両側転子部の軽度の褥瘡などもあるが、それでは炎症として弱いか。

 あとはNTMがあるとして、細菌性肺炎の併発だが、画像からは区別し難い。呼吸器外来の先生との相談で、まずはスルバシリン(ABPC/SBT)で治療を開始することになった。(血液培養2セット尿培養は提出)

 

 それにしても、いかにも当院向きの患者さんだと思われた。

 

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間質性肺炎

2024年01月23日 | 呼吸器疾患

 1月18日(木)午前中の救急当番の時に、体動困難・食欲不振の95歳男性が救急搬入された。この患者さんは1月13日に同様の症状で救急搬入されていた。肺炎として入院したが、認知症の不穏がひどく15日に退院になっていた。

 1月13日(土)は日当直が外部のバイトの先生だった。会ったことはなく詳しくは知らないが、内科専門医の専攻医か、それが終わって各分野の専門医コースのはずだ。東京の超有名病院に在籍していて(大学は当地)、月に1回バイトに来ている。

 搬入されたこの患者さんを両側肺炎として入院にした。内科当番は別の先生で、翌14日の日曜日に病棟に診に来ている。抗菌薬(スルバシリンABPC/SBT)が開始されていた。

 認知症の不穏がひどくて、15日月曜には退院にした。炎症反応は搬入時により軽減していて、抗菌薬が効いたような経過だった。退院時の内服抗菌薬は、なぜかオグサワ(AMPC/CVA+AMPC)ではなくてクラリスロマイシンにしていた。

 外注検査でKL-6を提出していたので、間質性肺炎も考慮していたのかもしれない。KL=6は上昇していた。

 18日に再度胸部CTで確認したが、最初に搬入された14日の画像と同じだった。炎症反応もその時の値に戻っている(白血球13400・CRP18.7)。

 画像上は間質性肺炎に見えるので、ちょうど呼吸器科外来に来ていた先生に相談した。間質性肺炎でしょう、といわれた。プレドニン30mg/日で治療開始とした。

 鑑別として薬剤性と非定型肺炎を上げられた。前者は新規薬剤また被疑薬らしい処方がないことから否定的だった。後者は否定できないが、抗菌薬(使用するとすればレボフロキサシン)を併用しないほうが、診断のためにもいいといわれた。(クラリスロマイシンが効かなかったことは参考になるか)

 

 この患者さんは総胆管結石・急性胆管炎で3回当院に搬入されて、その都度搬送している。2回は地域の基幹病院消化器内科で、1回はそちらが受け入れできずに県庁所在地の専門病院になっていた。今回も総胆管結石を認めたが、総胆管上部にあり、肝機能障害がないことから今のところ悪さはしていない。

 その時の胸部CTでは肺病変は下葉背側にわずかな間質性陰影があり、今回は増悪と判断された。

 入院後はさっそく不穏がひどく、体幹抑制はまた行うが、向精神薬を数種類併用することにした。最近、間質性肺炎をよく見る。

 

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間質性肺炎

2024年01月20日 | 呼吸器疾患

 1月6日に記載した間質性肺炎の92歳女性のその後。

 1月4日に発熱で受診して、間質性肺炎の増悪を認めた。ちょうど呼吸器外来に専門医(大学病院から)が来ていたので相談した。IPFの増悪だと厳しいと言われた(9割はダメ)。

 年齢と小柄な身長を考慮してプレドニン30mg/日注(0.75mg/日になる)を開始した。間質性肺炎に細菌性肺炎併発による悪化も否定はできないので、保険のために抗菌薬(セフトリアキソン)の併用した。

 ステロイドの影響か食欲不振は改善した。プレドニンとセフトリアキソンを継続していたが、セフトリアキソンは1週間で中止した。

 入院日は、白血球11300・CRP18.8と高値だったが、6日目の検査では白血球9600・CRP0.8と改善していた(白血球はステロイドの影響)。改善の程度が良すぎるような気もした。

 1月17日に胸部CT再検と血液検査を行った。CTでは間質性陰影(するガラス陰影+網状陰影)が軽減していた。含気がよくなっている。白血球15900・CRP0.1とさらに改善した。

 細菌性肺炎の併発の部分が良くなってというより、間質性肺炎自体が改善しているように見える。

 

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昨年の退院サマリー

2024年01月19日 | 呼吸器疾患

 1月17日に退院サマリーの記載催促が来ていた。通常は退院2週間後に記載がないと催促状が来る。大抵は退院当日には記載しているので、退院が休日だったりした時にうっかり忘れることはある。今回は昨年10月22日(日)の入院だった。(入院といっても1日だけ)

 施設に入所している85歳女性が心肺停止で救急搬入されていた。その日は日曜日で、日当直は外部の先生のバイトだった。診療科は違うが、救急の心得がある先生ではある。

 その日の朝に痰が絡んでいて、吸引している。午前11時に職員が気づいた時は、心肺停止だった。既往として、7月から8月まで約1か月肺炎で入院していた(別の内科の先生が担当)。

 救急要請されて、救急隊到着時も同様だった。医療処置の指示は地域の基幹病院に連絡して許可をもらい、ラリンゲアルチューブーブ挿入による人工呼吸と心臓マッサージ(胸骨圧迫)、それに点滴ラインをとってアドレナリン1Aを3回静注していた。

 3回目のアドレナリン静注後に心拍が再開したが、自発呼吸は出なかった。意識は昏睡。当院到着後はアンビュバッグで人工呼吸を行って、血圧は110くらいを保っていた。

 頭部CTでは脳委縮のみで、胸部CTで両側肺に浸潤影(粒状~斑状影)を認めたが、心肺蘇生の影響もあるだろう。既往とその日の状況からは肺炎はあるのだろう。痰が詰まったのかもしれない。(心疾患の可能性は残る)

 病棟に上げたが、血圧低下・心拍数低下があり、昇圧剤の持続静注が開始された。午後6時過ぎに心停止となり、死亡確認となった。

 

 その日当方が内科当番だったので、入院の担当名として名前が入った。実際は日当直医が救急搬入を受けて、適宜処置を行い自分で看取った、という経緯だった。

 基本的には当番といっても、その日は日直・当直医が対応して、翌日に申し送りを受けることが多い。(呼び出されれば、病院に行くことになっている)この患者さんも心拍が続いていれば、月曜に引き継ぐはずだった。

 

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間質性肺炎

2024年01月16日 | 呼吸器疾患

 1月14日(日)は内科の当番に入っていた。といっても、日直当直医が対応して(その日は日直消化器科医、当直小児科医)、内科入院があった時に担当になる。入院の連絡はなかった(消化器科で1名入院)。

 

 15日月曜に、14日の救急外来を受診した患者さんを確認していた。日直の消化器科医は、昨年末に続いて、また酸素吸入10L/分の患者さんを診ていた。

 患者さんは75歳男性で、関節リウマチ・間質性肺炎でリウマチ膠原病外来(大学病院からの応援医師担当、隔週)に通院している。前日までは何ともなく、その日から急に呼吸困難になって救急搬入された。酸素吸入10L/分で飽和度90%を保っていた。

 1月10日にリウマチ膠原病外来を定期受診していて、炎症反応の上昇があった(白血球はふだん5000の前後のところ9600、CRPがふだん1~3のところ7.0)。リウマチ症状には変化がなく、経過をみることにしていた。実際は間質性肺炎の悪化を示唆していた可能性がある。

 胸部CTで両側肺に胸膜下からの網状影が目立つ。

 2023年9月に胸部単純X線を施行していて、その時から下葉に間質性陰影が目立っていて、それと比べるとそれほどではないようにも見えた。消化器科医もその点は増悪としてよいか迷ったらしい。DOACを継続していたが、深部静脈血栓症の既往がある。

 しかし、2022年9月の胸部CTでは肺野には十分に含気がある。それと比較すると、今回はやはり網状影は増加していて、さらに両肺野全体が白っぽく見える。やはり間質性肺炎の増悪でいいのだろう。

 

 リウマチ膠原病外来に大学病院から専門医に来てもらうのは助かるが、原疾患や併発疾患が増悪した時には診てもらえない(大学病院で対応するのはまれ)。その点は困ってしまう。

 今回の患者さんはリウマチで地域の基幹病院にも通院していた既往があり、現在も前立腺癌で通院している。

 

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誤嚥性肺炎

2024年01月13日 | 呼吸器疾患

 1月12日に記載した脳神経の専門病院から転院してきた心原性脳塞栓症の83歳男性は、転院時にすでに肺炎があった。

 先方の病院に入院中の12月31日にCOVID-19に罹患した。コロナの薬を使用したかどうかは記載がなかった。セフトリアキソン点滴静注後に、経鼻胃管から抗菌薬(セフェム系第3世代)が注入されていた。転院前に微熱が続いていた。肝機能障害があり、胆道感染症も否定できません、という記載もあった。

 1月11日に転院してきて、翌12日の血液検査で白血球8100・CRP8.8と炎症反応の上昇があった。肝機能障害(AST 54・ALT 105・ALP 184・γ-GTP 101・総ビリルビン0.5)もある。

 胸腹部CTで確認すると、両側肺の下葉背側に胸水貯留があり、浸潤影もあるようだ。右上葉にするガラス陰影ともとれる陰影があった。そして肺野全体に気腫性変化があった(喫煙者)。

 ウイルス性肺炎も否定できないが、下葉の胸水を伴う陰影は誤嚥性肺炎だろうか。まずは誤嚥性肺炎の治療を開始することにした。

 そして肝胆道系にも問題があった。胆道系(胆嚢~胆嚢管~総胆管)に胆石と、胆石というより石灰化と表現するような陰影があった。胆嚢炎・胆管の可能性がある。セフトリアキソン投与があり、影響も否定できない。

 

 聴覚言語療法士(ST)に診てもらうと、嚥下はできそうといわれたが、転院翌日は痰が絡んでいた。まずは肺炎の治療をするので、嚥下訓練は一番最初の昼のみ訓練用ゼリーで週明けまで経過をみてもらうことにした。

 

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