なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

急性リンパ性白血病

2024年02月03日 | 血液疾患

 2023年9月20日に記載した汎血球減少症の63歳男性のその後。

 9月15日に急性肺炎で入院したが、血液検査で汎血球減少を認めた。再検しても同様の所見だった。肺炎の治療は、免疫力低下を想定して、セフトリアキソンにレボフロキサシンを併用した。幸い解熱して、肺炎は軽快した。

 肝硬変、ビタミンB12欠乏など他の汎血球減少を来す疾患は否定的で、骨髄疾患の問題と判断された。退院日の決まらない入院中から、紹介先の血液内科の予約を取っていた。

 9月15日・19日の白血球分画で芽球は認めなかったが、9月22日の検査で芽球1%と出た。有意かどうかわからないが、予約をとっていた医療センター血液内科に連絡してみた。予定通りの予約日(9月26日)の受診で問題ないといわれた。(何をそんなに慌てているのかという感じだった。専門医とすればそんなものなのだろう。こちらが小心者ということ。)

 9月23日(土)に自宅退院したが、レボフロキサシンを受診まで内服継続としていた。9月26日無事に血液内科を受診していた(受診報告がFAXで来てほっとした)。

 

 1月31日に医療センターからの報告(診療情報提供書の返事)が来ていた。

 診断は急性リンパ性白血病。骨髄検査はdry tapだった。骨髄生検で芽球を認めて、B-ALL(Bリンパ芽球性白血病)と診断された。

 寛解導入療法(JSCTプロトコール)が開始されて、寛解となっていったん退院した。11月末には地固め療法(大量メトトレキサート療法)で入院していた。1月にまた地固め療法で入院している。(3回目の入院後に返事を出していないのに気付いた?)

 治療内容は難しくてわからないが、まず専門医の治療につなげられてよかった。

 

 研修医の時、20歳代の女性が出血性胃潰瘍(十二指腸潰瘍だったかも)で入院した。それは治ったが、血小板数10万未満が続いていた。特発性(現在は自己免疫性)血小板減少性紫斑病(ITP)を疑って、骨髄検査を行った。思いがけない結果で、急性リンパ性白血病だった。(白血球も3000くらいの低めの値で、貧血は出血だけの問題ではなかった。要は汎血球減少症だった。)

 研修病院に血液内科はなかったが、他院からの応援医師が血液内科で、そちらに紹介となった。女性は婚約中だったが、親同士の話合いで婚約は破談になったと聞いた。その後の経過はわからない。

 研修医の時から骨髄穿刺をしてきたが、教えてくれた指導医が思い出せなかった。研修病院の指導医ではなく、その応援で来ていた先生が指導してくれたのかもしれない。

 (骨髄像が自分では読めず、外注になってしまう。骨髄像だけではなく、特殊検査の提出もあるので、最近は自分ではやらなくなった)

 

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骨髄異形成症候群

2024年01月11日 | 血液疾患

 1月10日の外来に、血液内科のある病院から骨髄異形成症候群の92歳女性が紹介されてきた。

 

 隣町の内科医院に高血圧症・心不全で通院している。昨年(2023年)に8月に、汎血球減少症があり、先方の病院に紹介された。(白血球2400・Hb5.5・血小板9.5万)

 骨髄検査で典型的な異形成は認めなかったが、除外診断的に骨髄異形成症候群(MDS)とされた。紹介前の12月28日にも骨髄検査を再施行していた。芽球の増加はない、ということだった。

 本格的な治療の対象にならなかった。対症療法として輸血(濃厚赤血球2単位)をしていたが、月に1回から月2回に増えていた。

 高齢で通院も大変なので、近くの病院で輸血をしてくれる病院を当たっているという照会があった。もっと近い病院もあるが、引き受けるのはこの地域では当院くらいしかない。

 外来の看護師長さんに相談した。看護師不足で、特に午前中は外来患者の採血や点滴、発熱外来・救急外来の対応で忙しい。昼近くに来てもらってならば、外来で輸血することはできるという。当院で引き受けることにした。

 

 1月5日に輸血をしていたので、受診時はHb9.0g/dlで十分な値だった。どのくらいの間隔になるかわからないが、2週間後に再検とした。

 車椅子で診察室に入ってきたが、年齢を考慮すれば元気だった。指示の通りにHb7.0g/dlを目標に輸血をしていくことになる。当院では診断が正しいかもわからないが、何かいい治療はないのだろうか。

 

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腋窩リンパ節腫脹

2024年01月07日 | 血液疾患

 アルコール性肝硬変・糖尿病で外来通院している86歳男性が、昨年12月29日に救急外来(発熱外来)を受診していた。

 非代償性肝硬変の悪化(腹水貯留・全身浮腫・肝性脳症)で7年前に入院したことがある。その後、禁酒して娘さん(二人暮らし)が生活と薬剤の管理をすることになり、病状は安定した。1か月に1回の外来通院を続けていた。

 

 12月27日から発熱があり、12月29日は上気道・呼吸器症状はないが、型通りにコロナとインフルエンザの迅速検査が行われた。結果は両者陰性。

 日直は腎臓内科医だった。カルテ画面に非代償性肝硬変なども簡単な病歴が付箋をつけているので、血液検査と画像検査を追加していた。

 血液検査では、白血球10600・CRP18.8と上昇していた。(ただし検査技師がいなくてできる簡易検査)

 胸腹部CT(単純)で肺炎はなかった。肝臓はわかりやすい肝硬変像。おそらく思いがけなかったと思うが、右腋窩リンパ節が複数腫脹していた。頸部・左腋窩・鼠径部のリンパ節腫脹はない。膵周囲のリンパ節も腫脹しているように見える。

 悪性リンパ腫疑いと判断していた。とりあえずのアセトアミノフェンと、念のためということで抗菌薬内服(ケフレックス)も処方していた。後は年末年始の休み明けに受診とした。

 

 1月4日に外来に来てもらったが、12月31日には解熱したという。食事摂取はまだ本調子ではないが、6割くらいに戻っているそうだ。案外元気だった。抗菌薬が効いたような経過だった。

 血液検査の再検と頸部~腹部(骨盤・鼠径部も)の造影CTを行った。右腋窩リンパ節は変わりなかった。膵周囲のリンパ節腫脹はあるようだが、それほどは目立たない。

 白血球6500・CRP6.3と炎症反応が軽減している。普通は悪性リンパ腫疑いだが、腹部の問題がないとすれば、右腋窩の化膿性リンパ節炎はあり得るのだろうか。

 肝硬変と皮脂欠乏性皮膚炎で体幹・四肢の掻痒感が強い。軟膏は2種類出しているが、それでも掻いてしまう。右上肢の皮膚化膿巣(診察時は瘢痕だけで、明らかな化膿はない)からのリンパ節腫脹の可能性も出てきた。

 入院するほどの病状でもなく、希望もしなかった。可溶性IL-2受容体抗体の外注検査を提出して、結果待ちとした。同じ抗菌薬を1週間追加した。

 

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悪性リンパ腫の疑い

2023年12月14日 | 血液疾患

 12月13日(水)に別の内科の先生が、患者さんの家族に電話していた。悪性リンパ腫が疑われる、という。

 患者さんは79歳男性で、市内の内科クリニックからの紹介だった。診療情報提供書によると、ふだんは高血圧症・僧帽弁閉鎖不全症などで通院している。11月29日に微熱・頭重感で受診していた。

 コロナとインフルエンザの迅速検査は陰性だった。アセトアミノフェンなどで経過をみていた。12月4日に症状が続くので再受診している。またコロナとインフルエンザの迅速検査を行って、陰性だった(呼吸器症状はない)。

 胸部X線で肺炎は認めず、腹部エコーでも有意な異常はないが、白血球11200・CRP24と炎症反応の上昇があった。12月8日に38℃台の発熱となり、当院の新患に紹介となった。

 胸部CTで肺炎像はなかった(左胸水がごく軽度にあるだけ)。炎症反応は同程度で、肝機能障害を認めた。点滴と抗菌薬(レボフロキサシン注)で治療が開始されると、解熱して炎症反応も軽減していた(CRP25.3から15.7)。(抗菌薬の反応した理由は不明)

 検査結果では血清フェリチン2801が目立つが、可溶性IL2受容体は提出していなかった。胸腹部造影CTが行われて、放射線科の読影レポートでは、肝脾腫と腹部大動脈周囲のリンパ節腫大があり、診断は悪性リンパ種となっていた。

 

 表在リンパ節腫大や胸腔内リンパ節腫大はなかった。生検は簡単にはできない。週末退院にして、がんセンター血液内科の外来に紹介したい、という話を家族にしていたのだった。

 

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大腿骨が3回折れた

2023年12月09日 | 血液疾患

 12月6日(水)の当直の時に、施設に入所中の98歳女性が救急搬入された。車椅子から滑り落ちて、その後左膝のあたりを痛がっているという。

 搬入されると、左大腿骨が骨幹部で骨折したと思われたが、それは以前の骨折だった。

 2016年に右大腿骨転子部骨折で、2018年に左大腿骨転子部骨折で当院整形外科で手術を受けている。2020年に左大腿骨骨幹部骨折をきたして、その時は保存的治療となっていた。

 今の整形整形外科の先生方ではなく、以前在籍した先生たちだった。当時はメインの整形外科医がいて、大学病院から若い先生が交代で来ていた。その後、個人的な理由で辞めて、他の病院に移り、それとともに手術ができないので若い先生が来るのもなくなった。(昨年から新たに整形外科医2名が赴任している)

 搬入時に触れたのは2020年の骨折部だった。今回はその遠位部が痛いらしい。X線とCT骨条件でみると、左大腿骨の遠位端が折れていて、膝側に食い込んでいる。左大腿骨の3回目の骨折だった。

 整形外科はオンコールになっていない。その日は整形外科で担当は当方として入院とした。翌7日に整形外科医に申し送って正式に整形外科医担当となった。やはり、保存的に診ます、ということだった。 

 

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全身のリンパ節腫脹

2023年11月03日 | 血液疾患

 10月31日(火)のお昼に救急外来の患者さんを診ていた。血液尿検査を提出して、結果が出るまで30分以上かかるので、午後0時半に食堂に行った。

 職員食堂と患者さん向けの食堂があったが、業者が引き上げてしまった。その後は、宅配弁当業者の弁当を食べている。

 外科外来に来ていた外科医に声をかけられた。明日の内科外来に患者さんを紹介したのでよろしく、という。86歳女性が1週間前に気づいた左腋窩の腫脹・圧痛を主訴に外科外来を受診していた。

 現在外科の常勤医は不在で、週に4日大学病院から非常勤で来てもらっている。この火曜日の先生は以前当院の常勤医だったので、話はよくわかる。

 血液検査と胸腹部CTを行ったという。結果はまだ見ていないかったが、乳癌ではないなあ、ということだった。発熱はない。

 単純CTだけなので、すでに終わっていた。確認すると、両側頸部~両側腋窩~縦隔~小腸間膜~大動脈周囲~鼠径部にリンパ節腫脹を認めた。

 血液検査では白血球6000・CRP1,2と炎症反応はごく軽度の上昇だった。LDHが336(124~222)と上昇していた。生化学検体の残りで外注の可溶性IL2受容体抗体を提出した。

 外科外来に行くと、外科医が帰るとところだった。CTを見ていて、悪性リンパ腫だったねえ、といわれた。明日がんセンター紹介の手配をします、と伝えた。

 患者さんはすでに帰っていた。自宅に到着したころに電話をしてみた。患者さん本人が出た。夫が亡くなってからは一人暮らしをしているそうだ。はきはきと会話ができて、理解力も十分だった。病院受診や買い物はもっぱらタクシーを使用している。

 市内に息子さんがいるが、離婚していて出張も多く、頼みにくいという。隣の県内に娘さんがいて、高次医療機関受診の際は頼めるかもしれないという。

 地域医療連携室に連絡して、がんセンター血液内科の外来予約をあらかじめとってもらった。早めに抑えないと、だいぶ先になってしまう。(幸い11月6日にとれた)

 翌日は、息子さん娘さんが付き添って受診した。全身のリンパ節が腫脹していて、悪性リンパ腫が疑われるが、生検をしないとわからないと伝えた。予約日の受診は大丈夫という。

 

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肺腫瘍と骨腫瘍

2023年10月28日 | 血液疾患

 9月26日に89歳女性が腰椎の生検のために整形外科に入院した。生検の結果、骨髄腫plasma cell myelomaと診断されて、現在免疫染色追加で精査中だった。

 

 1か月前からの腰痛の悪化で、8月29日に整形外科外来を受診した。老人ホーム(ケアハウス)に入所している。腰椎X線で腰椎L2の圧迫骨折が疑われた。

 しかし腰椎MRIでは腰椎がつぶれているというより腫脹しており、骨髄転移が疑われた。胸部CTでは右肺中葉に胸膜嵌入を伴う腫瘤を認めた。(20年前に肺癌で右上葉の手術を受けているので中葉?)

 肺癌・骨転移が疑われたが、整形外科で脊髄を生検して診断することになった。呼吸器外来(大学病院から応援)に紹介されたが、肺癌の精査・治療は年齢的に難しいとされ、経過観察(6か月後に胸部CT再検)になった。

 生検結果が骨髄腫plasma cell myelomaと出て、事情が変わった。骨髄腫に対する根治的な化学療法は難しいが、緩和的放射線療法の効果が期待された。

 地域の基幹病院は血液内科の外来が大学病院からの応援で週1回ある。(血液内科としての入院治療はできない)まずそちらに紹介して、血液内科として治療の可否を判断してもらい、緩和的放射線治療だけでもお願いすることになった。

 肺病変は肺癌と思われ、骨髄腫と肺癌の両者があるということになる。

 

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悪性リンパ腫のはずだが

2023年08月22日 | 血液疾患

 朝に前日の当直だった整形外科医から、早朝に外来を受診した74歳女性の診察を依頼された。

 市内のクリニックに高血圧症と糖尿病で通院していた。8月初めから食欲不振となって、しだいに動くのも難しくなっていた。

 心窩部痛を訴えてクリニックを受診したという。その後8月20日日曜日に食欲不振で当院の救急外来を受診している。外来で点滴をして、翌月曜日に内科外来を受診するようにといわれていた(来なかった)。

 整形外科医から、血液検査(簡易検査)では白血球増加と若干の低ナトリウム血症(131)くらいで、CT(頭部・胸腹部)もやっておいたと言われた。脳血管障害の有無と、肺炎の有無を確認したのだろう。

 救急室に行って問診をすると、小声で弱弱しく答えた。左鎖骨上リンパ節の腫脹がある。単純CTでは胃噴門部と腹部大動脈周囲にもリンパ節腫脹がある。胃は噴門部の壁肥厚が疑われたが、はっきりしない。

 造影CTを頸部から腹部まで行った。上記の部位のリンパ節腫脹がはっきりするくらいだった。消化器の検査は外部の先生だったが、件数が少なかったので追加で上部消化管内視鏡検査を入れてもらった。

 胃噴門部と胃角部に隆起性病変があり、特に噴門部の腫瘤は胃癌としては奇異な隆起だった。内視鏡医は悪性リンパ腫でしょうという。2か所から生検してもらった。IL2受容体抗体(外注検査)で確認してくださいともいわれた。

 悪性リンパ腫だと、がんセンター血液内科に紹介になる。しかし今の病状で生検結果を待って、先方の病院の外来受診はできない。

 とりあえず当院に入院してもらって、点滴をしながら、生検結果と外注のIL2受容体抗体の結果を待つことにした。

 院内でまだできる腫瘍マーカーも検査していたが、CEAが321,5・CA19-9 が211.8と高値だった。これだと進行腺癌があることになる。悪性リンパ腫ではないのか。

 

 

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